フィオレンティーナの主将であるイタリア代表DFダヴィデ・アストーリが、4日に睡眠中の不整脈により急死するという悲報に見舞われたフットボール界。イタリアでは同日予定されていたセリエA第27節の全試合が延期され、第28節でも全スタジアムで黙祷が行わるなど、各クラブが31歳の若さで不慮の死を遂げた故人を追悼したが、スペインにも特に深い悲しみに包まれたクラブがある。
そのクラブとは、フィオレンティーナとあまりにも似た悲劇を味わった経験を持つエスパニョールに他ならない。今から8年7カ月遡ること2009年8月8日、プレシーズンの遠征でイタリアを訪れていたエスパニョールは、主将を務めていたスペイン人DFダニエル・ハルケを急性心筋梗塞により失った。若干26歳の守備の要が息を引き取ったのは、奇しくもフィオレンティーナが本拠地とするフィレンツェのホテルだった。
主将が心不全により非業の死を遂げるという、フィオレンティーナの心の痛みを身をもって知るエスパニョール。リーガ・エスパニョーラ第28節のレアル・ソシエダ戦では、試合前に1分間の黙祷を捧げたうえ、電光掲示板に両選手の写真と共に「君のことは決して忘れない」とのメッセージを掲げ、ハルケにも思いを寄せながらアストーリを追悼した。だが、エスパニョールのサポーターの行為はこれだけに止まらず、ハルケの背番号である21分に行っている恒例の拍手を、アストーリの背番号である13分にも鳴らした。
フィオレンティーナへの共鳴を表したエスパニョールでは、キケ・サンチェス・フローレス監督がチームを代表してアストーリへの哀悼の意を述べた。
「悲しみや辛さは心の中にある。これは外から制御できるものではない。我々はいつでも彼の傍にいる」
なお、揃って11日に第28節に臨んだ両チームだが、フィオレンティーナはベネヴェントを1−0で完封し、エスパニョールはレアル・ソシエダを2−1で逆転するなど、共にアストーリに捧げる勝利を飾っている。
文=北村敦
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