難解な税金ワールドを「人間界に通訳」、安藤由紀税理士「ストーリーを考えるのが好き」

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2018年05月21日 11:02  弁護士ドットコム

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生活していく上で、イヤでもついて回るのが「税金」です。現状、100円のおにぎりを買えば、8円の消費税がかかることは感覚的にわかりますが、例えば消費税の課税根拠や実際に税金を納める流れを説明できる人はどれほどいるでしょうか。


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身近なようで、難しい税の世界。少しでもわかりやすく伝えようとブログやセミナーで発信を続ける安藤由紀税理士にインタビューをしました。(主なやりとりは以下のとおり)


●個人事業主の開業届、「税務署への挨拶状のようなもの」

ーー税を身近なものにするために心がけていることは何でしょうか


「ご相談に来られた方に対して、できるだけ専門用語を使わないようにしています。税金は私たちのすぐ近くにあるのに、同じ日本語なのかなと思うくらい複雑な世界です。税金という別世界の言葉を人間界に通訳するようなイメージでいます」


ーー具体的にはどのような説明をしていますか


「例えば、年末調整なら『小さい確定申告のようなものだよ』とか、言葉を変えて伝えます。個人事業主の開業届に関しては、『税務署への挨拶状のようなもの、引っ越したらご挨拶しますよね』とか。一般の方は、専門用語を覚える必要は全くなくて、イメージを掴めれば足りると思っています」


ーーブログなどでも発信されていますね


「私は親族に税理士がいなくて、完全にゼロからのスタートでした。ゼロから頑張って10年経つタイミングで、何か発信していきたいと思ったんです。もっと幅広い方に自分の知識を役立ててもらいたいと。


私、一応、難しい話もできるんですが、ブログはわかりやすさを重視しています。細かい、深いことを知りたければ専門書とか国税庁のホームページなどを見ていただければいいと思っています」



●「これってバレますか」という相談は困る

ーー税理士の仕事の魅力を教えてください


「税金のことで困っている人を助けることができることが魅力です。税金って身近なわりには、なんかあった時に、どうしていいかわからない方が多いと思います。そういう方が助けてくださいと来た時に対応するだけで喜んでもらえます。


また、仕事上、いろいろな事業をされているオーナー、社長さんに会えて、一緒に歩んでいける。会社を設立して『1歳ですね、2歳ですね』と一緒に喜んでいけるところが楽しいです」


ーー困る相談はありますか


「『これってバレますか』という相談は困りますね。『そんなのね、ちゃんと申告しましょうね』とはっきり言います。脱税志向の人とは一切お付き合いしないです。判断に迷うグレーなら検討するけど、黒に関しては、『これは確実に条文に書いてあるんでダメです』と伝えるようにしています」


●仮想通貨の課税、ふるさと納税に異論あり

ーー税に関して、最近どのようなことが気になりますか


「仮想通貨の課税が、今だと煩雑すぎると思います。納税者に悪気がなくても、漏れなく申告するのは難しい。同じ投資でも、株の取引では証券会社が、申告用の取引履歴をまとめてくれているから、とても便利ですよね。このような仕組みが、仮想通貨にもあると、申告の手間も軽減されて多くの人が利用できるようになると思います。


また、株式投資で前にあった、個人投資家がどんどん市場参加するために導入された証券優遇税制や、現在のNISAのようなものが仮想通貨にもできて、税率の優遇や非課税枠ができたら嬉しいです。譲渡所得と雑所得で課税方法が違うから、同じ方法ではないかもしれないけど」


ーー問題だと感じる税制はありますか


「ふるさと納税は問題だと思っています。返礼品の競争が激しくなりすぎていると感じています。もちろん、ふるさと納税を利用して地域が活性化していくというのは素晴らしいことだと思います。


ただ、本来はお礼の品をもらうということが目的のシステムではないです。いずれは、お礼品なしでも、自分のふるさとへ税金を払いたいという、本来の趣旨に戻っていくのではないでしょうか。ただ、制度があって寄付金控除という恩恵があるので、おすすめはしています。普段、税金は嫌がられますが、唯一好かれる税金ですね」


●高校生の頃からなりたかった税理士

ーー税理士になったのはどうしてですか


「高校生の時からなりたかったんです。何かの専門家になりたいという思いでした。経済界のキャリアウーマンになろうって。かっこいいから。


大学に入ると学生生活が楽しくて勉強をした記憶がないのですが、銀行に入ってから『やっぱりなりたいな』と思って勉強を始めました。税理士になっていなかったら、童話作家を目指していたかもしれないです。ストーリーを考えるのが好きなので」


ーー今後、税理士として挑戦したいことはどのようなことでしょうか


「メディアで、何かしら節税に関するコメンテーターみたいなことはしてみたいです。例えばワイドショーではよく節約の話が出てきますが、節約より節税の方が効果が高いんじゃないかなと思うんです。


また、書くことも好きなので、本やコラムも書いていきたい。起業したい人とか働いている女性向けに発信していくこともできたらいいなと考えています」


【プロフィール】


安藤 由紀(あんどう・ゆき)税理士。大学卒業後、銀行勤務を経て2008年に税理士登録(簿記、財務諸表論、法人税法、所得税法、相続税法の5科目合格)。大学講師、セミナー、執筆など業務は幅広い。経理初心者向けのわかりやすい解説に定評あり。(ブログ : https://ameblo.jp/ando-tax/ Twitter : @andoyuki_)


事務所名:安藤由紀税理士事務所


事務所URL:http://www.ando.jdlibex.jp/index.html


(弁護士ドットコムニュース)


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  • 難解な言葉がたくさんあるが、なかでも「控除」は一番わけがわからない。
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