「男は女性にやさしくあるべきだ」
いたるところで、この言葉を耳にする。しかし、本当に、優しくさえしていれば、女性の恋心に火をつけ、切っても切れない関係になれるのだろうか? 傾聴能力は年齢が上がれば上がるほど男が持ち合わせていなければいけない素養だ。
しかし、この包容力ややさしさは、弱さや自信のなさの裏返しであってはならない。女性はその本質をすぐに見抜く。「やさしさ」は人の何倍もあるが、そのやさしさが弱さと自信のなさの裏返しで「やさしくするしかない」という男性は選ばない。腰が引けて出会いの場所に行かない。行っても女性の記憶に残らず忘れられる。いなかったことと同じ扱いを受ける。これが現実だ。
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とくに人気の高い「いい女」と言われる部類の女性、売れ時の年齢の女性は200%「やさしいだけ」の男を選ばない。暖簾に腕押し男に対し、旬な女性がその唇を近づけ、味わうことはまずない。万が一、交際に至ったとしても悲劇が待っている。その頼りなさがゆえに彼女の性格までゆがめてしまうのだ。
僕も20代前半にその経験がある。年上の姉御肌の女性と交際したときのことだ。彼女は僕に対し「やさしくしてくれそうだから」とアプローチしてきた。そのせいで僕は「過剰にやさしいスタンス」を崩せなくなってしまった。そのうち彼女は「やさしいだけ」の僕を甘く見てバカにするようになった。わがまま言いたい放題、最後には「あなたを見ているとイライラする。そしてイライラする自分も嫌いなの……」と。「あなたが今一生懸命にやっているイベント活動なんてバカバカしいわ」と頭ごなしに言ってきた。彼女とはそれ以来、会っていない。
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「やさしいだけ」は、女性にナメられる。女性を凶暴にし、暴走させる。普段から「そういう言い方は腹立つからやめろよ!」などと小出しに言っていれば、こうはならなかった。それが言えない僕に、きっと彼女は愛想をつかし、暴走したのだと思う。
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「大人の男の気遣い」
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