「野菜中心」「バラン禁止」幼稚園の弁当チェックに悲鳴! 園の教育方針とぶつかるママたち

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2019年01月08日 20:32  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

Photo by Photography from AC

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 結婚・出産年齢の上昇に伴い、10年前と比べ、30代後半や40代で子どもを持つ親が増えてきた。10代後半や〜20代という若年層より、社会経験が長い彼らは、ネットなどで気軽に育児情報が手に入る時代であることもあいまって、周りからの“押しつけ型”のアドバイスを嫌う傾向がみえる。また、一人っ子が増え、親がやや過保護気味になるケースもあるという。そのため、幼稚園や保育園といった幼少期の育児が園側の方針とぶつかるトラブルも、後を絶たないそうだ。

若い保育士の対応に物申すママたち

 関東にある認証保育園に、もうすぐ1歳になる娘を通わせている薫さん(仮名、30代後半)は、現場の保育士の対応について不満があるという。

「うちの子が通っている園は、保育士をある学校から一括で採用しているようで、新年度になると卒業してすぐの保育士が配属されます。こちらから見ると、まだ学生のように見える保育士に、0歳児を任せるのは不安でした。迎えの時も『離乳食は半分食べました』『排便は1回です』など、連絡帳に書いてある通りのことしか言わないんです。つかまり立ちも、いつの間にかできるようになっていたのですが、いつできるようになったのか保育士に尋ねても『ちょっとわかりません』の一言で済ませられました。ほかの園に通っているママは、『今日、初めてつかまり立ちができました』という報告をきちんとされたそうなので、楽しみにしていたのですが……。若い保育士は、何時間おきにミルクをあげて、オムツを替えて、寝かしつけてとマニュアル通りにやっているだけに思えてきて仕方ありません」

 一方、保育士側も、保護者からの要求に困り果てているようだ。大型認可保育園で、保育士歴6年目になる恵子さん(仮名)は、小柄で若々しい印象なこともあり、保護者から“頼りがいなさそう”と思われるのが悩みだという。

「うちの保育園は、数年前駅前にタワマンが建った影響からか、比較的、経済的に余裕のある年齢層高めの親を持つ子が通っています。母子同伴の保護者会で、ぐずる男児にスマホを与えていたママに、小学校高学年になる上の子を持つママが『今からスマホなんて与えていたら、小学校で勉強についていけない』『将来、課金するような子どもになったらどうするの? 』と、注意しているのを見かけました。言われている方のママの顔が困惑していたため、私の判断で『音を出さなければ、スマホを見ていて大丈夫です』と間に入ったら、『子どものいないあなたに、なにがわかるの?』と逆に注意されてしまいました」

 恵子さんは6年目ながら、保育士不足によって、重要なポジションを任される立場にいる。すると、育児経験のある年上のママから「なぜこんな経験の浅い若い子が……」という見られ方をされ、「こうした方がいい」とアドバイスされてしまうケースもあるという。保育士という仕事は、3年もたたずに辞めてしまう人も多い。恵子さんも、辞めたいと思いつつ、担当した園児たちの卒園までは見守ろうと思い、続けてきたそうだ。

「うちの園は、園児の学年が上がる時、担任もそのまま持ち上がりになるのですが、『恵子先生だと心配なので、別の先生がいい』と言ってきたママもいました。保育士は、子どもたちの性格なども把握しているので、正直、担当しているクラスが変わると、また園児の名前から保護者についてまで覚えなおさなければならないので、児童数が多い園だと負担が大きいんです」

 若い保育士が、園児同士のトラブルやケガに対応しても、結果的に「もっと上の保育士を出してほしい」「園長と話をしたい」と言う30〜 40代の保護者も多いという。しかし、子どもはベテランの保育士よりも、若い先生を好む傾向があるため、新年度に上がる時、園側が担任の配置をどうするか悩むという面もあるそうだ。

弁当の中身チェックに、毎日憂鬱な気分に……

 古くからある私立保育園や、小学校受験をする園児が多い幼稚園などでは、ベテランの先生による行きすぎた指導が、保護者間で問題となっているという。

 独自の教育方法で人気のある幼稚園に3歳になる娘を通わせている幸恵さん(仮名、40代)は、こう語る。

「この幼稚園には、外国人講師がいたり、しつけやルールに厳しいところが気に入って、娘を入れました。運動会での組体操や、1年に1回の制作発表は、ほかの幼稚園と比べるとクオリティの差は歴然。問題だったのは、昼のお弁当。食育に力を入れているため、冷食と呼ばれる冷凍食品を使うのがNGだったんです」

 入園説明会では、昼は弁当持参だが、用意できない場合は園が契約をしている業者の弁当を依頼することができるとの説明だった。しかし、入園をしてみると、業者の弁当を利用する保護者は皆無で、自宅から持ち寄った弁当を食べている園児が大半を占めていたという。

「入園したい一心で、毎日の弁当作りのことはあまり考えていなかったんです。入園したばかりの時には、ウインナーやハムというような加工食品が多いことを、ベテランの先生から遠回しに『お野菜中心にしてください』と言われました。また、子どもが弁当を振り回してご飯が寄ってしまったようで、バランを使って仕切りをしたら『全て食べられるもので、仕切ってください』と……ピック(串)までダメだそうです。そこまで弁当の中身を見られているとは思わず、卒園までの2年間が長く感じています」

 幼稚園の場合、保育園とは違い、保護者は園の方針に納得したうえで入園するものだ。そのため園側は、「保護者もうちのやり方に理解を示している」と理解しており、その上で指導を行っているのだろう。幸恵さんにとっては苦痛でも、弁当作りが生きがいというママ友がいるため、周りに弱音も吐けないという。

「園長は、保護者会などで戦争経験を語ることがあります。『食べ物の大切さ』を問うのはわかるのですが、いくら専業主婦とはいえ、弁当の中身まで毎回チェックされると、転園しようか悩んでしまいますね……」

 反対に、ベテランと呼ばれる保育士たちも、保護者との育児方針の違いに、困惑している。夫婦で認証型保育所を運営している橋本さん(仮名)は、ネットなどで見た情報を鵜呑みにして、保育にクレームをつけてくる保護者が増えたという。

「5歳児クラスの保護者から、『読み書きや整列、体操座りでじっと話を聞くなど、小学校に入る前の準備を、なぜもっと早くやってくれないのか』という申し出がありました。基本的には、『こうしなさい』と園児に押し付けるような教育はしていないので、『自発的に読み書きもできるようになってもらいたいから、個別指導は行っていない』と伝えたのですが……。それでも納得がいかなかったようで、きっぱり『うちの園は設立して30年以上たつため、特に教育方針を変えるつもりはない』と言ったら、その保護者から役所の方にクレームが入っていました」

 保育士不足が叫ばれて久しいが、若手から年配の世代まで、それぞれ育児経験の有無にかかわらず、子どもをフォローできるような余裕のある体制が整えられれば、保護者側の不安も、園側の負担も少しは解消されるだろうが……。
(池守りぜね)

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