『なつぞら』『かぐや様は告らせたい』出演で大きなインパクト 女優・池間夏海の快進撃を追う

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2019年09月28日 08:01  リアルサウンド

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『なつぞら』(写真提供=NHK)

 通算100作品目のNHK朝の連続テレビ小説ということもあって、『おしん』の小林綾子をはじめ『ええにょぼ』の戸田菜穂や『純ちゃんの応援歌』の山口智子、『ひまわり』の松嶋菜々子ら歴代の朝ドラヒロインが総勢15人も顔を揃えたことで大きな話題を集めた『なつぞら』が、いよいよ9月28日に最終回を迎える。この“お祭り感”ただようキャスティングがひとつの魅力として際立った本作では、やはり朝ドラには欠かすことのできない「若手女優の登竜門」としての色合いも非常に強く感じることができた。ヒロイン・なつ(広瀬すず)と共に柴田家で育ってきた夕見子を演じた福地桃子はもちろんのこと、大原櫻子や富田望生、伊原六花、鳴海唯、そしてAKB48を卒業して女優に転身した渡辺麻友などが、これまでの多くの女優たちと同じように、朝ドラきっかけで飛躍を見せてくれるに違いない。


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 そんな中で、出番こそ少なかったがインパクトたっぷりの登場を果たしたのが池間夏海だ。彼女が演じたのは、なつの母の従姉妹である川谷としの娘・川谷幸子。一切の事前告知なしに第11週の終盤に突如姿を現し、第12週の放送で役柄が明らかにされるまで、彼女が演じている役柄はなつの生き別れた妹・千遥(結局はドラマが後半に差し掛かった第14週で、清原果耶が演じていることが明らかにされたが。そういえば清原も事前告知なしの登場だったはずだ)なのではないかという憶測が飛び交ったほど。わずか数話しか登場しなかったとはいえ、視聴者に強烈な印象を植え付けたことは言うまでもない。


 もっとも、これだけベテランも若手も問わず女優陣の層が厚い作品なだけに、まだまだキャリアも浅い池間の出番が少ないのも致し方ないというネガティブな見方もできる。けれど改めて考えてみれば、半年つづく物語の前半のクライマックスに差し掛かるところで閃光のごとく登場し視聴者の興味をそそるというのは、実においしい役どころではないだろうか。同じNHKで9月に放送された『ひなたの佐和ちゃん、波に乗る!』で主演を飾った池間。同作に向けた認知度アップの狙いもあったのではないかと邪推してしまうが、いずれにしても池間への期待値の高さを表した起用であるとみて間違いないだろう。


 そんな池間、これまでのキャリアをたどってみると17歳にしてなかなかの苦労人のように思える。元々は子役時代として活動し、民放の人気ドラマはもちろんNHKドラマにも出演を果たすものの、確たる代表作は得られず。その後、地元・沖縄のローカルCMを中心にキャリアを積み重ね、ご当地アイドルグループでの活動も並行していく。そして彼女が一躍全国区に上りつめたのは昨年の春。中学の卒業とアイドルグループからの卒業と同時に上京し、奇しくも今回『なつぞら』でヒロインを演じた広瀬すずがそれまで務めていたシーブリーズのイメージキャラクターに抜擢。さらにはマクドナルドのCMで力強く演説する女子高生を演じる。


 こうして2018年のCM界における若手女優の話題を独占したかと思えば、年末にはSexy Zoneの中島健人と中条あやみがダブル主演を務めた河合勇人監督の『ニセコイ』でいきなりダブルヒロインの一角で原作でも人気の高い小野寺小咲役に選ばれるという大出世を果たす。そして、同じく河合監督がメガホンをとった現在公開中の映画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』にも柏木渚役で出演。いずれもそのルックスに関していえば、実に魅力的に原作を再現してくれているといえよう。


 とくに『かぐや様〜』においては、『ニセコイ』と同様に主人公たちをはじめ他の登場人物たちが見た目と雰囲気の両方を徹底的に原作に寄せてきていることが目立つのだが、そんな中で池間の演じたキャラはストーリーの脚色上出番が少なく(ざっと3つのシーンぐらいしか登場しないのではなかっただろうか)、それでいて原作にあったような際立ったキャラ立ちも薄くなっていたように思える。それでも、彼女が演じた渚は同級生の翼から告白されて付き合うようになり、クライマックスの生徒会選挙のシーンでは翼をドライな態度でたしなめる。まさに、劇中のテーマである“告白”によって生じる男女間の主従関係というものを実例として示す重要な役目を果たしているわけだ。


 『なつぞら』と『かぐや様〜』、この両作で共通していたのは出番が少ないながらも強烈なインパクトを残し、かつ作品自体の極めて重要なポイントを担うこと。たしかに、まだ彼女が演じる役柄というのはキャリアの浅さを、いかにも現代的で爽やかな典型的美少女像というパブリックイメージと登場のインパクトによって補っている部分が見受けられる。けれども絶対的なヒロインオーラとは異なる、どこか親しみやすいナチュラルな表情であったり、やたらとハードルが上がる“美少女”としてのポジショニングに何の違和感もなくハマってしまうあたりは、同世代の他の女優陣の追随を許さないほどの安定感を持ち合わせているのではないだろうか。


 今回『なつぞら』で共演した広瀬を憧れの女優として挙げ、また朝ドラヒロインになることをひとつの目標として掲げている池間。ここ最近の朝ドラはすでにブレイクしている俳優の起用が続いているとはいえ、群雄割拠の若手女優界に数名いる“朝ドラヒロインに向いている”中に、池間夏海という女優は確実に入っている。 (文=久保田和馬)


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  • なつぞらでの放送当時、「あの昭和みたいなきれいな女優さん誰?」ってみんな言ってたらしい。
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