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あの任侠漫画家が一念発起で“萌え”を追究 「何枚も描く!それで見えてくるものがある」

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2019年12月08日 08:10  ORICON NEWS

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写真硬派な画風と細部まで分析された渾身の美少女画の比較
硬派な画風と細部まで分析された渾身の美少女画の比較
『代紋TAKE2』『三億円事件奇譚 モンタージュ』など、いわゆる極道や反社系キャラがふんだんに登場する硬派な作風で知られるベテラン漫画家・渡辺潤先生。2019年現在で50歳、失礼ながら立派な「オッさん」作家がいま、なぜか熱心に「萌え」を研究しているとTwitterで話題だ。いったいなにが起きているのか? さっそく先生ご本人にその真意を直撃した。

【画像】セーラーマーズレイちゃん、キツく見えないのは縦長のツリ目!

説得力のある“萌え画”解説に原作ファンもうなる

「#オッさん漫画家の萌え探索」というハッシュタグをご存知だろうか。これは漫画家・渡辺潤先生のTwitterから生まれたもの。渡辺先生とは、『週刊ヤングマガジン』(講談社)で15年間の連載を飾った『代紋TAKE2』(原作・木内一雅)の作画を担当していた。『代紋TAKE2』完結後も、『RRR』(ボクシングもの)、『三億円事件奇譚 モンタージュ』(ミステリもの)、『クダンノゴトシ』(ホラー)、『デガウザー』(ムー要素込みサスペンス)と意欲作を連続して発表し、およそ30年のキャリアを誇る、堂々たる人気漫画家だ。しかもその作品のほとんどは、ヤクザや反社風な人々の個性が際立つ、非常に硬派なもの。その渡辺先生が、あえて「萌え」を探求する。

 扱われるのは『まどか☆マギカ』や京アニ作品、『らき☆すた』『めぞん一刻』、さらに手塚治虫先生や吾妻ひでお先生などなど、まさに膨大な「萌えアーカイブ」たる作品群。本業(もちろん連載作品の制作)の息抜きなのか「#オッさん漫画家の萌え探索」の発掘結果がTwitterなどに新規イラストとして投稿されるたびに、様々な反応を界隈に呼び起こしている。

「極道」イメージと「萌え」というギャップに加え、幅広いアニメやコミック作品群から「萌えキャラ」を的確に抽出し、その根源的な魅力を模写から探ろうとする真摯な姿勢に、従来のファン層とはやや異なる若い女性層などからの注目も大いに集まっている。

 この「萌え」分析、2019年12月の時点ですでに1年以上も継続されている。ちなみにシリーズの発端は『けいおん!』秋山澪から。基本的に、キャラクターの模写の1枚絵+その中に手描きで書き込まれる分析コメントで構成され、そのコメント群がいずれも対象への愛情があふれるものになっているのが特徴だ。たとえば「共通する後頭部の丸み」「ネコ目に三白眼は怖がられるのに必要か(君に届けの爽子)」「綾波レイは鼻と口が近い。ジブリと逆!」「マスコットキャラ的な指は愛しやすい(らきすたのこなた)」など、どれも独自の着眼点からの説得力ある分析となっている。それらの投稿に対して一般ファンなどからは、「上手いし綺麗だし可愛い」「さすが」「見る目の解像度が違う」「単行本化を希望」「読み取ってる情報量が段違い」「別ジャンルへの柔軟さや謙虚さが素晴らしい」「プロはインプットも凄い」といった驚嘆の声が寄せられ続けている。

『けいおん!』での気づき 「はっ!そうか…これが萌えか!!」

——そもそもなぜ、よりによって「萌え」という概念を研究することになったのですか?

【渡辺潤さん】ぶっちゃけ美少女アニメ的なものが苦手でした。石頭というか、古い感性のタイプだったんでしょうね。髪の色が青だのピンクだの…もう本当に理解不能だったんですよ。たとえば『RRR(ロックンロールリッキー)』という作品に取り組んでいた頃、主人公が元はバンドやってたりしたこともあったせいか、若いスタッフが「いいから観て下さい!」と勧めてきたのが『けいおん!』でした(苦笑)。やはり初めは理解できなかったんだけど…楽器やバンドの描き方だけは、どうもやけにリアルだなあとか気になるポイントもあって。中古のギブソンSG(ギター)が高値で売れた、というエピソードの辺りでは、元バンドマンの僕もすっかりハマっちゃってました! そして気づいたのです。「仔犬のようにじゃれ合うこの娘たちは、いつまでも観ていられる。はっ! そうか…これが萌えか!!」って(笑)。

——そこで「萌え」の魅力に気づいたのですね。

【渡辺潤さん】そこで思ったのは「登場してる女の子たちは、決して人形なんかではない。だからスタイルが良い必要もないし、なんなら鼻水垂らした顔ですら、描き方しだいで魅力的になる、そういう表現もできるんだ」ということ。それで次の『三億円事件奇譚 モンタージュ』からは、女の子キャラを楽しく描けるようになりました。調子に乗った表現、というか調子に乗ったエロ表現で、一時期は本気で娘に嫌われてしまうほど楽しみました! 探求するうち、僕がたどり着いた「萌え」というのは 今のところ「たわむれる仔犬+案外身近な存在」。己のルーツを考えると、初めて好きになったアニメキャラは『宇宙戦艦ヤマト』の森雪さんなんです。でも彼女はやはり綺麗すぎるんですよね。憧れのお姉さんであって、「萌え」ではない。『うる星やつら』のラムちゃんは、惜しいかなややセクシー過ぎるかな! 仮に最初の『機動戦士ガンダム』で「萌え」を探すなら、明らかにセイラさんではなくて、フラウ・ボウなのだと思います。

——先生ほどの人気作家が、あえてTwitterで「萌え」を研究することが少し不思議です。投稿の頻度もかなり高いようです。

【渡辺潤さん】ツイッターを始めたのは、正直なところ、シンプルに商業作家としての宣伝目的です。だからこそ、遊びではないわけです。そういう意識があったからこそ、毎日の投稿を心がけてもいます。が、当然ネタも尽きますよね…。困ったあげくに投稿したのが「けいおん!のベースの娘」でした。これがまた、いつもより反応良かったんですよねぇ。もちろん人気キャラなんだから、当然っちゃ当然なんですが。さらに後日、アズにゃんこそ萌えが詰まってるのでは、と何枚も描いてたら妻に見られて微妙な顔された(苦笑)。「これ(萌えの感覚)をマスターしたら老後はきっと安泰なんだ」と説明してみたりしつつ。で、なんとなく始まっちゃってました!

——題材として選ぶ作品、またそのなかで描きたくなるキャラクターは、どんなふうに選んでいるのですか。

【渡辺潤さん】描くのは、基本的に自分が作品本編を観て「かわいい!」と思ったキャラクターです。じゃないと、うわべだけの分析になっちゃうから。…どこに反応して考察してるのかとか、まあフェチがバレますけどね(苦笑)。作業としては、とにかく模写。自分を出さずに似せる。ポーズは変えます。上手く似るまで、納得いくまで何枚も描く!! だからこそ、描くうちに見えてくるモノはあります。目と眉が離れてる方が幼く見えるとか、後頭部は必ず丸いとか、鼻と口の距離で時代が違うとか。手塚治虫先生の『ふしぎなメルモ』のメルモちゃんでは、とにかく「丸」ばっかりで構成されていることを改めて知り、驚くとともにどこか納得もしました。

——そうした「萌え」の研究結果は、先生の活動にどんな影響を与えていますか。

【渡辺潤さん】正直、血がドバドバ出るような僕の作品に「萌え」をマッチさせる事は難しいのですが、ようはマインドかなと。先日、NHKで高橋留美子先生のアニメ特集をやっていたのですが、本当にキャラの宝庫。特に美少女の幅の広さに改めて衝撃を受けました。『デガウザー』の寧々子など、知らぬうちに高橋ワールドの影響を受けていたのかと気づかされたり。正直、美少女や「萌え」への苦手意識はいまだにあります。ですが、現実に生きている女性を自然に描いて行く事が、今後の目標のひとつでもあって。そこをもっと表現するためにも、逆説的な意味も含めて、新しいアニメや漫画にもっと触れていかないといけない。と思ってはいるのですが…時間が…いやいや、頑張って…違うな…とにかく、楽しみます!

 ともあれ「#オッさん漫画家の萌え探索」タグは大好評につき絶賛継続中。Twitterフォロワーも急速に増え、渡辺先生はそれを驚く家族の様子を描いた4コマなども追加で投稿しているほど。「令和の新時代を生き残るために、もう少し頑張ろう」と心に誓う姿にも、ユーザーから温かいコメントが寄せられていた。また、「萌え」研究にともなって、改めて自身の作品を「歴代反社」「歴代ヒロイン」というテーマで時系列とともにイラストを公開しており、こちらも話題を集めている。ベテラン漫画家であっても、常に研究心をもって、不断の努力を惜しまず続けている。自身の知らない新たなジャンルに積極的に飛び込んで研究を重ねる姿は、多くのクリエイターの参考にもなるはずだ。
(文・及川望)

このニュースに関するつぶやき

  • この手の漫画家さんはタッチ的にも「描ける人」が多い印象で作風的に女性の登場人物は少ないけど結構美人さんに描けてる場合とか多いイメージ���ʥѡ���
    • イイネ!1
    • コメント 0件
  • 自分の枠を決めずに、何かを学ぶ姿勢というのは大事だと思う。
    • イイネ!56
    • コメント 1件

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