黒島結菜が走って蹴り飛ばして大健闘! 『スカーレット』夫婦の刺激剤に

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2020年01月09日 12:42  リアルサウンド

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『スカーレット』(写真提供=NHK)

 美大出身の若者・松永三津(黒島結菜)が、川原夫妻のもとに弟子入り志願にやってきた。ヒッピーファッションに身を包んだ、じつに快活な女性である。


 連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第82話では、喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)の、とある大切なノートが盗まれてしまう。


 年明けそうそうに登場した、新キャラクターである三津。“年明け”というのは私たち視聴者にとってのことだが、このところ物語が停滞気味だったのは正直なところ。喜美子と八郎の夫婦の仲睦まじさは変わらずだが、どこか落ち着いてしまっている印象もあった。そこに“新風”としてやってきたのが三津なのである。


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 彼女の目的は、この二人の“かわはら工房”に弟子入りすることだが、彼らはつい最近、苦渋の決断の末に二人の弟子に辞めてもらったばかり。喜美子は三津の受け入れに対して肯定的なように思えるが、八郎はそう簡単に納得しない。全国をまわって釉薬の原材料になるものを調達してきた三津は、その品々を八郎らの前に並べ、自身のアピールポイントとするものの、これにも八郎は首を縦に振りはしない。彼は信楽で調達できるものだけで焼き物を作っていきたいという、強いこだわりがあるのだ。これに対して三津は、「頑固だ」なんてことを言い放つ。


 この『スカーレット』において、おもしろエピソード(問題)を持ち込むリーダー格といえば、喜美子の父である常治(北村一輝)だったが、彼が亡きいま、その枠が空いている印象だった。もちろん、その最強の遺伝子を継ぐ存在に、喜美子の妹である直子(桜庭ななみ)がいるわけだが、彼女の登場は不定期なうえ、持ち込む問題が毎度デカすぎる。この点、三津は適度な刺激を日々与えてくれそうなのだ。


 さて、そんななか盗まれた川原夫妻の大切なノート。辞めさせた二人の弟子が犯人なのだと、彼らはすぐに当たりをつけた。盗まれたのは八郎の研究内容が記された“陶芸ノート”だと誰もが考え、喜美子の母・マツ(富田靖子)も警察への通報を勧めたようだが、彼らはそれに乗らなかった。弟子たちを一方的に辞めさせてしまった後ろめたさがあるのか……などとてっきり思っていたが、そうではないのだ。


 ここでさっそく三津が大健闘! 犯人二人を追いかけ、問い詰め、膝蹴りまでをかまして、ノートを取り返してきたのだという。これには“あっぱれ”というほかない。さすが全国を一人で渡り歩いてきただけのことはある。アーティストである川原夫妻の周りには、どうにも胡散臭い連中がいるとあって(これはいつの時代でも、世の常なのだろう)、彼女のような“武闘派”が一人いると心強いのではないだろうか。


 ところで、盗まれたこのノート。実際に開いてみると“陶芸ノート”などではなくて、あの“夫婦ノート”だったのである。とたんに流れ出す、なんとも照れくさい穏やかなムード。そこに記されている内容に対して三津も、「釉薬の調合ではなく、ご夫婦の調合だったんですね」などと上手いことを言ってみせる。彼女は腕っぷしだけでなく、ユーモアもあるのだ。もちろん、陶芸に関する知識もである。物語の展開的に弟子入りは確実だろうが、現時点でも声を大にして彼女の弟子入りを後押ししたい。彼女の存在があれば、川原夫妻の関係や、彼らの人生においての現在地、現状などが、よりくっきり見えてきそうである。


(折田侑駿)


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