「いびき」は家族の睡眠妨害だけではない! 本人の健康に悪影響

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2020年08月12日 17:00  AERA dot.

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写真※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)
 日本人の3人に1人が睡眠に関わる問題を抱えていると言われている。なかでも、睡眠中の問題として代表的なものが「いびき」だ。いびきは誰にでも起こり得るが、自分自身では気づきにくく、家族や友人に指摘されて自覚することが多いだろう。一緒に寝る人の睡眠を妨げるもの、というイメージが強いかもしれないが、いびきは自分自身の健康に悪影響を及ぼすという。いびきを中心に診療をおこなう歯科医師に取材した。

【写真】鈴木浩司歯科医師

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 寝ている間にグーグーと音を鳴らすいびき。多くの人が一度は指摘されたことのある現象だが、なぜいびきが起きるのかを説明できる人は少ない。

 日本大学松戸歯学部付属病院「いびき外来」の外来長である鈴木浩司歯科医師は、いびきのメカニズムを次のように説明する。

「何らかの原因で上気道(喉の奥の鼻と口がつながっている周囲)が塞がれてしまい空気の通り道が狭くなると、いびきが起きます。狭い隙間を空気が通ったときに周りの粘膜が振動して、いびき音が出るのです。代表的ないびきの原因は、舌の沈下です。上を向いて寝たときに、舌が喉の奥に落ち込んで気道を塞ぎ、いびきが起きます」

 舌の沈下による影響は、主に肥満の人に起きやすいという。肥満の人は舌にも脂肪がついて肥大化しているので、口腔内のスペースに舌がおさまらず、喉の奥に沈下してきてしまう。ただ、肥満の場合は首回りについた脂肪が喉を圧迫するなど、沈下以外の要因もあることに留意したい。

 また、顎(あご)が小さい人も舌の沈下による影響が起きやすい。顎が小さい人や後ろに引っ込んでいる人は、喉が顎に圧迫されるので、もともと気道が狭い。太っていなくてもいびきをかくという人は、顎の大きさが原因であることが多い。

 一般的にいびきは、一緒に寝る人の睡眠を妨げるもの、というイメージが強い。しかし、いびきは自分自身の健康とも大いに関係があると、鈴木歯科医師は言う。

「いびきが起きるとき、空気は喉のわずかな隙間を通っています。では、もう少し舌が沈下したらどうでしょうか。完全に隙間が塞がれて、呼吸が止まってしまいます。この呼吸停止が頻繁に起こるようになると、睡眠時無呼吸症と診断されます」

 睡眠時無呼吸症は、眠っている間に何度も呼吸が止まる病気で、代表的な睡眠障害の一つに数えられる。以前は睡眠時無呼吸症候群の名で知られていたが、現在では病態が明らかになったことで「症候群」が外れ、正式に睡眠時無呼吸症と呼ばれている。

 いびきが起きるのは、空気の通り道が塞がれ、呼吸停止寸前である証拠。いわば、いびきは睡眠時無呼吸症のサイン、前ぶれとなる症状といえる。

 睡眠時無呼吸症はしばしば、居眠り運転の原因としてニュースなどで取り上げられる。実際に重大事故につながった例も多く、たかが日中の眠気といっても、決して油断はできない。

 通常、眠っているときは副交感神経が優位になり、呼吸数や心拍数が減少し、からだはリラックス状態になる。しかし、眠っている間に無呼吸になると、からだが低酸素状態になり、心臓が酸素を届けようとして交感神経が働く。こうなるとからだはリラックスできず、ベッドの中にいても眠れたことにはならない。

 また、呼吸停止による健康被害は眠気だけにはとどまらない。重症度によっては命の危険もあるという。

「睡眠時無呼吸症が直接の死因になることはありませんが、さまざまな病気を呼んできます。寝ている間も心臓が激しく動くので、高血圧症や、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まります。さらに酸素が不足することによって低酸素脳症の恐れもある。呼吸をしないとからだの二酸化炭素もたまってしまうので、高炭酸ガス血症にもなります」

 睡眠時無呼吸症が重症化すると、1時間あたり30回以上も呼吸が止まる。また、1回の無呼吸・低呼吸状態が1〜2分になることもある。起きているときに1分間も息を止めれば、ほとんどの人は苦しくて仕方がないはずだ。それが寝ている間に何度も発生していると考えると、睡眠時無呼吸症の怖さがわかる。

 現在、睡眠時無呼吸症と診断されている患者数が200万〜300万人であるのに対して、未診断の人を含めた推定患者数は800万人にものぼる。寝ている間の病気であるがゆえ、症状が自覚しづらいことや、たかがいびきと高をくくっている人が多いのが原因だと言われている。

 だがその半面、睡眠時無呼吸症には効果的な治療法が確立されていて、早期に治療を開始すれば、さまざまなリスクを減少できる。

 では、どのような兆候が見られたときに病院を受診すればよいのだろうか。

「主な兆候は二つあります。いびきと日中の眠気です。日常的に大きないびきをかいていると指摘された人は、受診されたほうがよいでしょう。もちろん、寝ているときに呼吸が止まっていると言われた人もです。一人暮らしなどでいびきを指摘されたことがない人でも、日中の眠気が強い人や、朝起きたときにいつも頭が痛い、あるいは重い人は、誰かにいびきがないか確かめてもらうことをおすすめします」

 最近はいびきの音を拾ってくれるスマホアプリもあるので、それを活用するのも手だろう。受診の際にアプリで取ったデータを歯科医師に見せれば、診断がスムーズになるという。(文/中川雄大)

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  • へ〜こんなに多いのか〜。CPAPする人多そう〜 https://mixi.at/ad61Wrs
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  • うちの主人、それで治療中。不思議な機械を装着して寝てる。相当重症と言われ始めたけれど、今は結構静かになったし血圧も下がった。睡眠て大切だねえ。
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