【F1第12戦無線レビュー(1)】「じゃあ、僕たちはソフトタイヤで行こう」の提案が却下されたボッタス

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2020年10月29日 14:41  AUTOSPORT web

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2020年F1第12戦ポルトガルGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)
F1第12戦ポルトガルGPではメルセデスがワンツーを達成。ルイス・ハミルトンは通算92勝をあげ史上最多記録を達成した。突如降った雨によりアクシデントが発生したポルトガルGPを無線とともに振り返る。

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 第12戦ポルトガルGPは、スタート直前に降り出した雨で、1周目からあちこちで激しいバトルを繰り広げながら、幕が開けた。

スタート前

ピエール・ガスリー:雨がポツポツ降ってきたよ

 激しいバトルの中、最初に起きたアクシデントは4コーナーでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とセルジオ・ペレス(レーシングポイント)の接触だった。3コーナーでバルテリ・ボッタス(メルセデス)に弾き出されて少し失速したフェルスタッペンを、4コーナーでアウトから仕掛けたペレスだが、2台は接触。ペレスは最後尾までポジションを落とした。

ペレス:(2台並んで通過できる)スペースは十分あったと思うけどね!!
レーシングポイント:チェコ、BOX、BOX、BOX、BOX

 ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)は滑りやすい路面に足をすくわれて、1周目にボッタスとカルロス・サインツJr.(マクラーレン)にオーバーテイクを許す。

ハミルトン:雨だ!
メルセデス:ピットレーンではまったく降っていないけど……
ハミルトン:ぜんぜんグリップしない
メルセデス:了解だ、ルイス。とにかくいまは路面に気をつけて走ってくれ

サインツ:雨がすごく降ってきた
マクラーレン:こちらのレーダーには、雨はこれ以上ひどくならないと予報されている。雨はいまはピットレーンでは降っていない。雨はもう上がった
サインツ:了解。これで、いったん会話を止めて欲しい

 そう言って、1周目に2番手までポジョンを上げたサインツは、2周目にはボッタスも抜いて5周目までレースをリードしていく。しかし、雨はすぐに上がり、路面にグリップ力が戻り出すと苦しい展開に。6周目に「タイヤに苦しんでいる」と無線で叫んだ後、ポジションを落としていった。

 そのサインツを8周目に抜いて、メルセデス勢を追っていたフェルスタッペンも、スタートで履いたソフトタイヤに早くも苦しみ始める。

11周目
フェルスタッペン:左フロントは、もうそんなに長くないよ

13周目
フェルスタッペン:左フロントが逝っちゃったよ

 7周目から1-2体制を築いていたメルセデスも、苦しんでいた。

14周目
メルセデス:風が強くなっているから、気をつけて

15周目
ハミルトン:左フロントがあまり良くない

 するとレッドブルはスタート直後からグリップ不足に悩んで後退を余儀なくされていたアルボンにこんなメッセージを送る。

レッドブル・ホンダ:ミディアム勢も何人かがグレイニングに苦している。ミディアムタイヤでも楽なレースじゃないから、あきらめるな

 その直後の18周目、7位争いを繰り広げていたランド・ノリス(マクラーレン)とランス・ストロール(レーシングポイント)が1コーナーで接触した。

ノリス:なんて****なんだ。この*****野郎は何をしてくれたんだ。フロントウイングにダメージを負ったから、ピットインする。たぶん、ステアリングにもダメージがある

ストロール:パンクした
レーシングポイント:ピットインだ。でも、データではパンクは見当たらない
ストロール:でも、マシンがなにか変だ
レーシングポイント:たぶん、フロントウイングだ。じゃ、ピットインだ

■ミディアムタイヤで好調なペースだったルイス・ハミルトン
 3番手を走行していたフェルスタッペンが上位陣で最初にピットインする中、20周目にボッタスを抜いて先頭に立っていたハミルトンはチームメイトと同様、ミディアムタイヤでスタートしていたため、フェルスタッペンがピットインした後も快調なペースを維持していた。

25周目
ハミルトン:タイヤのフィーリングが戻ってきた。雨はどう??

 するとメルセデス陣営は、第1スティントを延ばす戦略に出る。

30周目
メルセデス:このタイヤでもう少し走ろう
ハミルトン:Yep(ヤップ=わかった)

 逆にボッタスは、ハミルトンほどいい状態でレースができていなかった。

33周目
ボッタス:マシンを冷やせという警告灯が点いているんだけど

38周目
メルセデス:ターン4でトラックリミッドを超えている。次やったら、警告だ
ボッタス:タイヤにバイブレーションが出ているから(マシンをコントロールするのが)難しいんだよ

 これを聞いてメルセデスが動き出す。しかし、先にピットインさせたのはボッタスではなく、ハミルトンだった。ハミルトンは37周目の段階で「タイヤは問題ない」と無線していたばかりだった。

メルセデス:ボッタスに対して10.5秒あるから、ピットインしよう。
ハミルトン:タイヤはまだ大丈夫だよ
メルセデス:わかっている。でも、BOX、BOX

 するとボッタス陣営も動く。

メルセデス:ルイスがいまピットインして、ハードタイヤに交換した
ボッタス:じゃ、僕たちはソフトで行こう
メルセデス:よし、ピットインしよう

 しかし、直後にこう返信する。

メルセデス:タイヤはハードだ。ジェームス(・バレス/チーフレースストラテジスト)がそうアドバイスしている。

 するとバレスが直接、ボッタスに無線で説明する。

バレス:バルテリ、ルイスが先にピットインしたのは、君がタイヤのバイブレーションに苦しんでいるからなんだ……。

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