子を持つ人生か、持たない人生か。2択で考えてしまう私たちの“呪い”

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2021年04月23日 09:21  女子SPA!

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 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 季節の変わり目、皆さん体調などお変わりないでしょうか。個人的な話ですが、私は2月に引っ越して生活環境が変わった関係なのか、ホルモンバランスを崩してしまい婦人科系の不調に悩んでいます。病院に駆け込んだものの、ホルモンバランスの問題は薬でパッと治るわけではないため、数年ぶりにダラダラと続く不調に自己肯定感がグラつく感覚がありました。

◆女の価値や義務という幻想に振り回される私たち

 私はもともと、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と先天性の子宮奇形である重複子宮という病気を持っています。
 そのせいなのか不規則な働き方のせいなのか、ホルモンバランスが崩れやすく、婦人科系の不調とは結構仲良しな関係がデフォルトです。そんなわけで、体調を崩しては治し、崩しては治しを繰り返す中で、以前は「女性としての機能すらきちんと果たせない自分なんて、女としてやっぱり欠陥品だ」くらいに、長く思い込むこともありました。

 そんな被害者意識にも似た時期があったわけですが、色んな経験をしていく中で、今は「持病は良くも悪くもその人の特性の1つ」と思えるようになり、“女性の価値”なんて誤った結びつけをすることはなくなりました。
 しかし、こうして久しぶりに自分の体の繊細な問題と直面する時間が設けられると、どこからともなく、「やっぱりお前は女として……」と、ふたたび呪いのような声が聞こえてくる気がして、背中がゾワリとします。

「これって、私が抱える呪いであり、女が抱える呪いだ」
 なんて気づいては手放せるくらいには、もうきちんとした大人ではありますが、女性は(こうしてひとくくりにすると乱暴ですが)結婚や出産にまつわるあれこれに、まだまだ女性としての義務や価値といった考えを持ち出しがちです。
 それはすべて、古い時代の価値観から来る“呪い”という名の思い込みですが、この思い込みに私たちは今も大きく影響されているように思うのです。

◆30歳までに結婚しないとヤバいって誰が決めたの?

 先日もある28歳の女性が、「30歳までに結婚しないとヤバいって漠然とした感覚があって焦る。冷静に考えれば、今は仕事も勉強も頑張っている時期だから、30歳がマストってわけじゃないはずなのに。それでも30歳までに何とかしなきゃって思ってしまう自分がいる」と、葛藤を聞かせてくれました。

「それは30手前の女性がかかる“病気”のようなものだよ」と説明したら本人も一応納得したようですが、分かっても治らないのが病気ってやつです。

 そんな時、気になる映画があり鑑賞することとなりました。
『Eggs 選ばれたい私たち』(監督・川崎僚)。
 日本ではまだ知られていない卵子ドナー制度と、それに登録する中で自分の女性としての葛藤を描いた話題作です。

◆卵子提供で、自分の遺伝子を残そうとする主人公

『Eggs 選ばれたい私たち』は、卵子提供のドナー制度(以下エッグドナー)をテーマに、2人の20代女性の葛藤が描かれた作品です。子どものいない夫婦に卵子を提供するエッグドナーの制度は、日本ではまだあまり知られていません。プロフィールを提出してドナーに選ばれた人は、ハワイやマレーシアなどの海外で卵子を摘出し、謝礼金を受け取るというものです。

 主人公の1人である純子は、あと3ヶ月で30歳を迎える独身主義者。結婚したいと思わない反面、いつか生まなかった後悔を抱くかもしれないと考え、エッグドナーに登録することで自分の遺伝子をどこかに残し、“女としての義務”を果たそうと考えます。

 そんなタイミングで、同じくエッグドナーに登録をした従姉妹でレズビアンの葵(25)と偶然再会することとなります。

 葵は「生理は無駄」という価値観を持っており、純子に母親にドナーに登録したことを秘密にするかわりに居候させて欲しいと持ちかけます。最初は迷惑がっていた純子ですが、だんだんと「子を産まない=女性としての役割を果たさない」という意味で、葵に同士感覚を抱き始めます。
 そしてお互いがドナーに選ばれ、遺伝子上の母になることで“女としての義務”を果たそうと考え始めるのです。

◆30歳目前、選ばれたい私

 この物語で1つ鍵となっているのが、30歳という年齢を迎える前の、純子の焦燥感や戸惑いです。

 作中では、純子の周りで身ごもる友人がいたり、婚活を始める友人がいたり、そして見えない将来に迷ったり、自分にとって意味をもたない生理が来たりと、大抵の女性が経験するであろうイベントが訪れ、そしてよくある不安感が描かれています。

 こうした悩みの中、純子は「選ばれない自分」に、絶望感や孤独感のようなものを抱いていくのですが、その感覚には、昔の自分が勝手に感じた呪いや、先日私に悩み相談をしてくれた女性が感じていたような焦りと同じようなものが、脈々と受け継がれてきているように感じたのでした。

◆「多様性」の時代、女性の生き方の多様性とは

 映画館を後にした時、共感と解決策のない無力さ、それを踏まえて自分の中でもっと自分らしさを確立しなくては……といった身の引き締まる思いなど、色んな感情が混ざる感覚がありました。

 もちろん人が人生のどこで幸せを感じるかは、経験してみないと分かりません。「選ばれたい」と焦って結婚し、その中でこの選択で正解だったと幸せに感じる人もいるでしょうし、違ったと後悔する人もいるでしょう。

 時代は令和となり多様性が大事と叫ばれるようになりました。しかし「多様な生き方を知って受け入れるべき」と叫ぶ声が大きくなる一方で、まだまだ産まない選択など、現状少数な生き方に対しては、否定的な意見が多くあったり、当事者である女性の中にすら、フラットに受け入れられていない現状があるように思います。

◆自由に自分らしく生きたいはずなのに

 女性は(ここでもひとくくりすべきか迷いますが)仕事や恋愛など、人生のできごと全般の中で、「自分らしさ」という感覚をとても大事に生きているように思います。
 本来自分らしさを極めるには、物事をゼロイチで捉えるのではなく、多様な感覚で捉えられないと、真の意味での追求は難しくなるように思います。しかし、自分らしさを強く求める私たちの中には、一方でまだまだ時代錯誤の「呪い」がどこかで張り付いていたりもする。

 自由に自分らしくなりたい私たちと、どこかで「こうあるべき」といった呪いに振り回される私たち。
 ひとりひとりが最適解を自分に問い続け、そして行動する中で見つけていくしかないのかな。そんな事を思いながら、私は調子の悪いお腹をさすってみたりするのでした。

<取材・イラスト・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

このニュースに関するつぶやき

  • 30歳まではきっと結婚じゃなくて子供を設けるなんだと思うけど?今は40代後半でも出産は出来るけど成人した時に60過ぎよ、子供は下手したら育児と介護の両方地獄かとw
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  • わたしはこども好きだから、子が無い人生は考えられない。だから二人育て上げ、里子や養子を育てる余裕すら作り出してる。そのぶん他に大きな趣味も、職に就く能力もスキルも無いけどね。
    • イイネ!4
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