「もう中学生」なぜ再ブレイク 有吉のお墨付きハマるとクセになる言葉選びの魅力

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2021年05月08日 11:30  AERA dot.

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写真もう中学生(C)朝日新聞社
もう中学生(C)朝日新聞社
 お笑い芸人の中には「ワールド系」の芸人というのが存在する。私が勝手に作った言葉だ。その発想やキャラクターが他の追随を許さないほど奇抜で、独自の世界観を確立しているために、しばしば名前の後ろに「ワールド」をつけて呼ばれるようなタイプの芸人のことだ。

 例えば、ベテラン演歌歌手「水谷千重子」をはじめとする数々のクセの強いキャラクターを持つ友近の芸風は「友近ワールド」などと呼ばれることがある。

 そんな「ワールド系」の芸人の中で、最近にわかに注目されているのがもう中学生である。もう中学生は、段ボールの小道具を用いた不可思議なネタで知られるピン芸人だ。その芸風は「もう中ワールド」としか言いようがない。

そんなもう中学生の姿をバラエティ番組で見かける機会が増えてきた。人気番組『有吉の壁』には何度も出演していて、その度に話題を呼んでいる。最近では『マツコ&有吉かりそめ天国』『テレビ千鳥』などにも出演していたし、ゴールデン番組の『オトラクション』ではナレーションを担当している。

 もう中学生は、2009〜2010年頃に『爆笑レッドカーペット』などのネタ番組を中心に活躍していたが、その後はテレビ出演も少なくなっていた。今は「第二次もう中ブーム」を迎えつつある状態だ。

 もう中学生が再評価されるきっかけになったのは、2020年に有吉弘行のラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』にゲスト出演したことだ。

パーソナリティの有吉は、もう中学生のことを「もうTHE中学生」と呼んで持ち上げて、次々に話を振っていった。もう中学生は発言のひとつひとつに彼独自の「角度」がついていて、ハマるとクセになる魅力がある。有吉は終始彼のことを面白がっていた。

 当代随一の実力者である有吉がもう中学生にお墨付きを与えたことで、業界全体で彼を再評価する機運が高まってきた。有吉が出演している『有吉の壁』をはじめとして、お笑い色の強い番組に呼ばれる機会も増えつつある。

 もう中学生のネタは、一見すると子ども向け番組のようなほのぼのとした雰囲気に満ちている。だが、私は、そんな和やかな空気の奥に潜む彼の言葉選びのセンスを気に入っていた。

 もう中学生は、着眼点と単語やフレーズの選び方が普通ではない。平成ノブシコブシの徳井健太が語っていたところによると、もう中学生が大喜利をするときには、言いたい単語を先に思い浮かべておいて、与えられたお題に対してその単語をどうやって言えるかを考えるのだという。

 お題から答えを考えるのではなく、言いたい言葉が先にあって、それをお題に合わせていくというのだ。これはまさにワールド系の芸人らしいアプローチである。極端に言うと、自分の世界が最初にあり、それを表現するための手段としてたまたまお笑いというジャンルを選んでいるだけ、という感覚に近いのかもしれない。

 ワールド系の芸人は、芸人の間ではもともと高く評価されていて、「天才」などと言われることも多い。芸人は笑いのプロである。通り一遍のパターンやセオリーで作られた笑いは彼らの目には退屈に映る。その点、ワールド系の笑いは唯一無二のものであり、芸人にとっては大好物なのだ。

 同業者が認めれば、世間の人はあとからついてくる。有吉という強力な後ろ盾を得ていることは、もう中学生にとって大きなアドバンテージとなるだろう。もう中ワールドの類まれなる面白さが世間に伝わるまでもう少しだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

このニュースに関するつぶやき

  • ☆ 当人のみのネタはシュール過ぎて人を選ぶんだが、他人のコントネタに客演すると演技力あってエッセンスとして成立するんだよなぁ…。 (「有吉の壁」鑑賞者のおっちゃん談)
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  • もう中学生を新宿で正月に見た事がある。新宿花園神社にはいくつかお社があるが、その全てに一生懸命お祈りしていた。1人だった。そのおかげかは分からないけど、実ったのかね。
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