SHOCK EYEが語る、“強運”のからくり 「不運なことで終わらせなければ、いいことが起きる必要条件になっていく」

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2021年05月15日 20:01  リアルサウンド

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SHOCK EYEが語る、“強運”のからくり

 「SHOCK EYEの画像を待ち受け画面にするといいことがある」と話題になった「歩くパワースポット」こと湘南乃風のSHOCK EYE。占い師・ゲッターズ飯田氏によって「最強の運の持ち主」と太鼓判を押されたSHOCK EYEが、強運を呼び込むためのヒントを『SHOCK EYEの強運思考』にまとめた。


 すべてが順風満帆とは言えない日々を過ごしながらも、好きなことを貫き、幸せを手にしてきたSHOCK EYE。今回のインタビューでは、本書に綴られた強運思考をさらに紐解き、今すぐにできる「発想の転換」 も伝授してもらった。さらに、SHOCK EYEが運を磨いた先に見つけた、新たな夢とは――!?(佐藤結衣)


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■「言語化することが苦手だからこそ、とにかく人と会って話す」


――本著は、『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』(2019年)、『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている運気アップの習慣』(2020年)に続く3冊目となりますね。


SHOCK EYE:はい。これまでの2冊は、自伝的というか、自分の過去を振り返りながら検証を含めて書かせてもらったものでした。その後、湘南乃風の活動再開もあり、インプットを中心に取り組んでいこうかなと思った矢先に、このコロナ禍がやってきて……。ツアーもなくなり、いろいろな予定が全てキャンセルになって、「さあ、どうしたものか」という中で今回のお話をいただいたんです。担当編集の方に「前作を読んで人生観が変わりました」というようなありがたい言葉も添えてあって嬉しかったですね。お話ししていくうちに、僕の考え方や習慣、行動に至る思考プロセスの絶対的なルールのようなものがあることに気がついたんです。そこで、今回はその思考の部分を紐解く本にしていこうと、企画がまとまっていった感じですね。書き始めたのは、確か2020年9月あたりからだったと思います。


――あとがきにも執筆は好きだという言葉がありましたが、本を書くことと、音楽を作ることとは、繋がっているところはありますか?


SHOCK EYE: 基本的には、どう自分の思いを伝えるかっていうところでは一緒だと思っていますけど、音楽のほうが原稿用紙にしたら1枚ぐらいになっちゃうので、そこは書籍を執筆するよりも制限があるかもしれないですね。とはいえ、いくらでも書けるからといって「話長いね」とか「くどいね」と思われてしまうのも違うなと。言葉のリズムっていうか、語り口のようなものを意識しなくちゃいけないなとは思っています。どうしても音楽は、音色の部分で演出ができるんですが、テキストだけだとそこがどこまで伝えられるかの試行錯誤が面白いですね。


――本の中では「言語化することが苦手だった」という少年時代についても書かれていましたが、音楽にしても本の執筆にしても、今はその言語化を楽しまれているのが印象的でした。


SHOCK EYE:今でも、言語化は一番難しいなと思っていますよ。だから、1冊目、2冊目と出させていただいたときに「できるだけたくさんの取材やインタビューを受けたいです」と希望したんです。言語化することが苦手だからこそ、とにかく人と会って話して、自分の中にあるものを目の前の人に伝えていくことを勉強したかったからなんですけど。


■「絶望することができない。ずっとその状態でいることに耐えられないから」


――「苦手」「難しい」と言っても、「できない」と絶望せずに、できるようになるまで繰り返すところにも、SHOCK EYEさんの強運思考がにじみ出ていますよね。


SHOCK EYE:絶望は多分したことないですね。生まれてこの方。生まれつきの負けず嫌いなのが大きいのと、単純に耐えることができないんですよ。絶望って、僕から見ればその「嫌だ」「辛い」っていう心の痛みを受け入れているように見えるんですよね。でも僕は、そこにずっとその状態でいることに耐えられないから、絶望はできないんですよ。どうにかして抜け出たい、ここにいる自分を受け入れられない、ってもがき続けるしかない。だから、我慢強くないんだと思います。


――今の言葉が一つの発想の転換でした。むしろもがき続けるほうが、我慢強く努力を続けているという印象だったので。


SHOCK EYE:いやー、忍耐力がないから出ようとするんですよ。その方法は、強引な方法もあるし、知恵を巡らせて糸をたどるように脱出することもあったし、いろいろでしたけど。だから、よっぽど絶望しながらも頑張って生きている人のほうが、僕は強いと思いますね。でも、その我慢できる強さって限度を超えたときに、その人の心に傷を負わせたり、後戻りできないような傷跡になっていたりすることもあるから。僕は、できる限り工夫して、我慢しなくていい方法を試してほしいなって思いますね。僕も最初から全部その方法がわかっていたタイプではなくて、1つひとつ飛び込んで「あ、ここは行ってもダメなんだ」「ここは意外と大丈夫」ってもがき続けるうちに見つかるものがあると思うので。


■「スマホを眺めるスキマ時間が、不安や不満を探す時間になってはいないか」


――痛みや苦しみという言葉が出ましたが、時代の移り変わりによって衝突を避ける風潮が強くなった一方で、自分がどこまで耐えられるのかという「痛みの免疫」のような部分が、実感しにくくなっているようにも思うのですが。


SHOCK EYE:僕の少年時代は、肉体的な衝突も多かったですからね。そういう性格もあったので、そうなりましたけど、痛みを伴う衝突はできるなら避けられたほうがいいとは思います。でも、衝突の仕方っていろいろあって。やっぱり世の中、大きく変わることがないので、意見の衝突っていうのはなくならないと思うんですよね。僕みたいな衝突の仕方は決してオススメしないけれど、経験がない人が衝突すると取り返しがつかないことにもなると思うので。衝突とまではいかなくとも、自分の意見を発信するとか、人の意見に耳を傾けるとか、そういうバランスを取りながら、免疫をつけていく必要はあるんじゃないでしょうか。


 僕は今子育てをしているので、より感じるところがあるんですけど、自分の意見が言える環境に身を置くというのは大事なことだと思うんですよね。例えば、自分が好きだと思っているものを「好きだ」と言えるコミュニティにいれば、ポジティブを前提としたディスカッションをすることができる。意見交換の経験値を積むことで、衝突しそうになる前に回避する術も身についていくと思うので。そもそもネガティブなことが前提となる場所からは、離れてみるというのも一つの方法じゃないかな。


――本の中には「居場所」というキーワードも出てきましたね。


SHOCK EYE:そう。自分が今いるこの場所が、自信を持って「いたい」と思える場所なのかどうかをまず疑うことも大事で。その上で、起こせるアクションは2通りあって、1つは飛び出すこと。そして、もう1つはいいところを探して「いたい」と思える場所にすること。この2つしかないんですよね。自分と似たような価値を持っている人を新たに見つけて、ときには余計な情報をシャットダウンすることも必要なんですよね。今、ネットを見ているとひっきりなしに色んな情報が入ってくるじゃないですか。一生会わなくてよかった人の生活も流れてくる時代なので、そもそもなかった妬みとかも生まれやすかったりすると思うんですよ。自分の「好き」が揺らいだり、居場所の魅力が見えなくなってしまったりすることもあるんじゃないでしょうか。


――SHOCK EYEさんも、そういう場面はあるんですか?


SHOCK EYE:ときにはありますよ。例えば、このコロナ禍で僕は音楽活動ができなくなったのに、普通に仕事が続けられている人を羨ましいなって思うこともありますし。そうやって人と比べると「今の自分は不幸なのかな」って気分が落ちるものなんですよね。他にも「あの人は給付金もらえてずるい」とか「自分は外出を我慢しているのに出歩いていてけしからん」とか。本来であれば、知ることもなかった人に対して怒りを抱いてしまう。もしかしたら、その情報からは汲み取ることができない複雑な事情があるかもしれないのにね。それって、あまりいいエネルギーの使い方じゃない。


 時々思うんですけど、みんなスキマ時間にスマホから情報収集をしていますが、それって不安や不満を探している時間になっていないかって。だから、もっと自分の生活に時間をかけたらいいと思うんですよね。今、家電が便利になりすぎて、いろいろ時短ができる分、スキマ時間ができすぎちゃうのかもしれない。面倒だけど、時間をかけて掃除をしたら気持ちがいいし、手間暇かけて料理をしたら幸せじゃないですか。そういうエネルギーの発散をするといいんじゃないかなって思っています。


■「不運なことがあったとしても、そこで終わらせなければ次の幸運のきっかけになる」


――本の中に「幸せや幸運は、いま目の前にある状況に満足できた人のところに訪れる」というフレーズが印象的でした。今に満足できないから運を呼ぶのではなく、満足しているから運が舞い込んでくるんですね。


SHOCK EYE:僕は、そう思ってきました。もっと言えば、もともと不運とか幸運だって考えない人間だったので、とにかく目の前に起きたことが嫌なことで終わらせないようにしてきたところが、幸運に繋がっているのかなと思ったんですよね。今、仮に不運なことがあったとしても、そこで終わらせなければ、いいことが起きる必要条件になっていくわけじゃないですか。例えば、自分がすごく大きな木に育てようと思っていた木があったのに枯れてしまった。「あのとき水をあげればよかった」「もっと日のあたるところに植え替えればよかった」と枯れた木を眺めているのは、たしかにつらいこと。でも、「この木をつかって何かを作ろう」と思えたら、新しい芸術作品が生まれるかもしれない。悲しいことも無駄にしない方法が必ずあると思うんです。


――目の前にある不運は、結果ではなく、途中経過として見ると?


SHOCK EYE:そう。まだそれが不運なのか幸運なのか決めるタイミングじゃないと思っていて。僕は24歳の時に、「26歳までにうまくいかなかったら音楽をやめる」って約束を当時の彼女、今の奥さんとしたんですね。今ありがたいことにプロになれましたけど、なっていなくても、きっと俺は「あの時音楽やめていて良かったな」って言っていると思うんですよ。


――自分が「よかった」と思えるゴールまで走り続けるんですね。


SHOCK EYE:そうそう。人生なんてね、そもそも思い通りにいかないんですよ。思い通りにいかせようと思うから、思い通りにいかなかった時に不幸を感じる。思っていたのと違うってね。だったらもう思い通りになんてなるわけがないんだから、目の前に起きたことをとにかくよくしていこう、向上していこうっていうことでしかない。もちろん、ときには「全部終わりにしてやる」っていうような心境になることもあります。僕も学校を辞めさせられたとき、本気で人生終わったって思ったんですよ。でも、その人生の終わりが本当の人生の始まりだったっていう経験をしたから。その成功体験が自分にとっては大きかった気がします。


――なるほど。確かに、その考え方さえできれば、すべて強運につながっていきますね。


SHOCK EYE:でも、それは他人からしたら、僕を見て「そんなの全然成功じゃない」「よかったって言えるのか?」ってなるかもしれない。僕の主観と、どこかの誰かの考えはイコールじゃないから。もう、それを追い始めると答えは出ないんですよ。苦しいだけで。自分を自分で認めるために、言い訳がましく自分を肯定しているわけですから。でも、それはただの気休めで終わらなくて、ちゃんと向上していく、前に進んでいく。そうやって自分を大事にして自分のためにやってきたことが、結果として人のためにもなっていくっていうのを経験してきたので。


■「時間はかかるけれど続ければ、誰でも身につくのが自信と誇り」


――この本を読むと、SHOCK EYEさんが本当に真面目にコツコツと向上されてきたことが伝わってきます。


SHOCK EYE:でも、一朝一夕のものではなくて、本当に続けることで生まれる自信っていうのがあるんですよね。僕も最初は「歩くパワースポット」って呼ばれ出したとき、どう振る舞えばいいのかわからなかったんですよ。けれど、僕の写真を待ち受け画面にしたら「いいことがあった」と感謝の言葉をいただく機会が増えて、なかには「引きこもりだった子どもが頑張って学校に行ってくれるようになった」とか「病気が快方に向かった」といった報告まであって。どんな形であれ、僕に期待をしてくれている人がいるんだと思ったら、それに応えられる人でありたいと思ったんですよね。


 アーテイストであれば音楽を極めて、よりよいパフォーマンスを見せていくことになるわけだけど、「歩くパワースポット」としては何ができるんだろうと思って、まずは神社を巡ることから始めたんです。その中で何か見つかるかも知れないと思って。誰に命令されたわけでもなく毎朝神棚に手を合わせて、神社を巡っていくうちに、「歩くパワースポット」と呼ばれることを受け入れられるだけの誇りが生まれてきたんです。これだけ頑張っているんだから、続けているんだから、大丈夫だって思えるようになるんですよね。


――なるほど。


SHOCK EYE:それは、どんなことにも通じているロジックだと思っていて。最初、湘南乃風って「なんであんな素人みたいな連中がウケてるんだ」とバッシングを受けて、嫌だったんですよ。そのときこそ、「恥ずかしい」「否定された」って腐らずに、音楽の勉強を続けて、人一倍大きな声で歌って、体を鍛えて、言葉に責任を持って……そういう意識で続けてきたから湘南乃風であることに誇りを持っていますし、そんな声を聞いても恥ずかしいことなんてひとつもないって言える。でも、そうなるまでは数年はかかりますよね。時間はかかるけれど続ければ、誰でも身につくこと。それが、誇りとか自信なんだと思うんです。


――身近なことでいえば、ダイエットとか筋トレもそうですよね。それをやれば自分に自信が持てるというものは、実は心の中でわかっている感じがします。あとはやるかやらないか……。


SHOCK EYE:みんな、すごく先のことを見て「やらなきゃ」ってなっちゃうんですよね。そこが、しんどくなるポイントというか。「やらなきゃ」よりも「やりたい」と思うようなやり方を見つけることから始めたほうがいい。僕も、神社巡りを「やらなきゃ」って思ったら続いていないですよ。最初は、何も思わずに行ってみたら気分がよくって、その写真をインスタに載せたら少しずつ「いいね」を貰えるようになって、より楽しくなった。その楽しいことをまた「やりたい」って思えた。それが続くコツです。


■「“面白い”や“やりたい”をつないで、夢を見つけてきた。そしてこれからも……」


――その楽しくなる方法を見つけるのが大事ですね。


SHOCK EYE:ダイエットとか筋トレも、きっと探せば楽しくできる方法があるはずなんです。仲間と一緒に励まし合いながらやるのが向いている人もいれば、家事をしながら体が引き締まったっていうお得感が嬉しい人もいるだろうし。小さな楽しみを続けていくことで、自分に自信が持てるようになる。そうするとポジティブなマインドが生まれて、最終的には運が巡ってくる。自分の気分が良くなるちょっとしたことから始めるのが大事です。


――毎日ここだけはキレイに掃除する、とか?


SHOCK EYE:そうそう。小さな目標をクリアすると、楽しくなっていくものなんですよ。そしたら「ここも一緒にキレイにしよう」「これも一緒に片付けよう」ってなっていく。ふと振り返ると「こんなにできるようになった、自分すげぇ!」ってなるじゃないですか。自分のためになかなか頑張れないって人は、損得抜きに人のために動き出すのもオススメです。僕は自転車置場で自転車が倒れているとするでしょ、それ直すんですよ。ゴミがあったら、拾うんですよ。そういうのをしている自分にちょっと誇らしくなりませんか?


――わかります。その後、気持ちいいですよね。


SHOCK EYE:あれをね、積み上げるんですよ。僕が神社に毎日行くことも、今ではみんなにいい写真を届けて、みんなにいいことが起きますようにっていう気持ちが強い。そしたら、年間100ヶ所とか行っていた。最初から、100ヶ所行こうと思っていたわけじゃないから面白いですよね。少しずつ少しずつ。で、新しくやりたいなって思うことまで見つかったんですよ。


――なんと! お聞きしてもいいですか?


SHOCK EYE:いい写真を届けたいって思ったら、カメラにハマっちゃって。最初スマホだったのに、デジカメになって、それがもう風景を撮るのに最高峰のカメラを奮発して買っちゃって(笑)。神社に行く楽しさとカメラで撮る楽しさで、2重に楽しくなっているんですよね。なので、いつかこれまで撮った写真で、写真展をしたいなって思っているんですよ。ご利益のありそうな、パワーを貰える写真ばかりの写真展。みんなが喜んでくれそうじゃないですか?


――それは見てみたいです! 繋がりますね、夢が。


SHOCK EYE:面白いですよね。 「歩くパワースポット」と言われなかったら、神社巡りもしなかったし、カメラに興味を持つこともなかったし、写真展をやりたいなんて思いつきもしなかったわけですよ。でも、僕はこうやってずっと生きてきたんですよね。「面白い」や「やりたい」をつないで、夢を見つけてきた。それが誰かの喜びに繋がって、僕自身の幸せにもなっていく。そうやってこれからも生きていくんだと思います。


(取材・文=佐藤結衣/鷲尾太郎)


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