『ぼっち・ざ・ろっく!』主人公・ひとりの愛すべきキャラクターとは? 原作との比較から考察

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2022年10月22日 17:01  リアルサウンド

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 2022年秋季アニメとして放送・配信が開始された『ぼっち・ざ・ろっく!』(TOKYO MXほか)。アニメ『その着せ替え人形は恋をする』や「青春ブタ野郎シリーズ」を手掛けたCloverWorksが制作を担当しており、クオリティの高さも含め注目を集めている作品だ。


参考:『おひとり様物語』は人生の伴走者だったーー連載17年、見事なフィナーレを見届けて


 原作は『まんがタイムきららMAX』(芳文社)で連載する同名作品であり、既刊4巻ながらアニメ化を果たした作品でもある(2022年10月現在)。そんな本作の魅力はどんなところにあるのか、本稿で考察したい。


■主人公・ひとりの独特な行動と思考


 文化祭で演奏することを夢見てギターの練習を続けた少女・後藤ひとりは、友だちが1人もできないまま中学時代を終えた。高校では絶対にバンドを組むと意気込んでいたものの、やはり友人をつくることに苦戦する。そんなひとりはギターの演奏者を探す他校の生徒・伊地知虹夏と出会い、急遽ライブに出演することとなる。


 人見知りなひとりの交友関係が少しずつ広がっていく本作において、ひとりは他の登場人物とは少々異なる行動を起こす。


 たとえば虹夏の(強制的な)誘いからひとりはライブに出演することとなるが、お客さんの視線に緊張してしまうためひとりは段ボールの中で演奏することとなる。いつも自宅の押し入れでギターの練習をしていたこともあり、薄暗く狭い段ボールの中でひとりは安心を覚え、ときにライブのMC風トークを披露する瞬間も見られた。


 また、ひとりは行動だけでなく可笑しな思考も働かせる。


 虹夏たちとはじめて演奏を行った際にひとりはメンバーと息を合わせることができず、役に立つことができない自分を悲観しステージ上で自身の腹を切ることを提案した。バンドの活動費が足りないため他のメンバーはアルバイトのシフトを増やそうとするなか、ひとりは真っ先に自身の肝臓を売ることを思い浮かべている。


 極度の人見知りと天然とも言える価値観。この2つを合わせ持つひとりの独特な行動と思考は、作中で非常に新鮮なものとして輝きを放つ。そんなひとりのキャラクターは本作の魅力の1つであろう。


■怒涛の勢いで展開するひとりの可笑しさと彼女へのツッコミ


 ひとりの存在感が際立つ『ぼっち・ざ・ろっく!』。原作コミックスは多くのページが同じ大きさをした8つのコマで構成されており、4コマ漫画の集合体としても捉えることができる。


 1つの物語として進行しつつ4コマごとにオチとなるシーンが挟まるため、ストーリーは非常にテンポよく進んでいく。ひとりが段ボールの中からMC風トークを披露したり、肝臓の売買を考えたりなど、前述したひとりの可笑しな行動や思考もオチとなるシーンで描かれているものだ。


 怒涛の勢いで展開する個性的なヒトリの可笑しなエピソード。個性的なひとりへのツッコミをはじめとするキャラクターたちの掛け合いも本作の大きな魅力であると感じる。


 ちなみにアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』では4コマ的漫画を映像として表現するため、原作漫画とは構図を変えて描かれるシーンが多く存在する。


 たとえばアニメ第1話「転がるぼっち」では段ボールの中でのライブを終えたあと、段ボールを脱ぎ捨て虹夏たちの元へ迫ろうとするひとりを魚眼レンズで撮影したような映像で映している。ホラー映画のような演出もあいまってひとりが迫りくる様子は(虹夏が思わず「怖いんだけどっ」とこぼすほどに)恐怖を覚えるものとして描かれた。


 漫画とアニメを見比べることでテンポ感や画の違いを味わうことができ、少しずつ広がるひとりの世界をより一層楽しむことができるはずだ。


このニュースに関するつぶやき

  • 今期いちばんの大当たり。原作との比較なんて野暮言わないで楽しむのが粋では?
    • イイネ!1
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