映画『SLAM DUNK』は宮城リョータが主人公なのか 幻の読切『ピアス』で描かれた“岩場の秘密基地”

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2022年11月06日 12:11  リアルサウンド

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pixabayより(イメージ)

 12月3日、満を持して公開されるアニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』。11月4日には東映アニメーション公式YouTubeチャンネルにて、テレビアニメ版から一新したボイスキャスト、主題歌アーティストが発表され、ファンの間で大きな盛り上がりを見せている。


(参考:【写真】映画公開が待ちきれない! 名シーンが描かれた『SLAM DUNK』のプレミアムグッズたち


 そして、ファンの考察を呼んでいるのが、湘北高校不動のPG・宮城リョータにフォーカスが当たった予告映像だ。


 映像の中で、砂浜を走る個別カットがあり、「オレたちならできる!」と唯一セリフを発するキャラクターが宮城だ。そして、『スラムダンク』という作品をよく知るファンが着目せざるを得ないのが、不意に映された「岩場」の描写である。これが、井上雄彦が『SLAM DUNK』の連載終了後、「週刊少年ジャンプ」1998年9号で発表(のちに「週刊ヤングジャンプ」(2001年49号)で再掲載)した読切作品『ピアス』を想起させるポイントになっている。


※以下、『ピアス』のネタバレを含みます。


 『ピアス』はタイトルの通り、“ある少年”がピアスを開けるまでのエピソードを描いた作品だ。『SLAM DUNK』との関係は明言されていないが、小学校6年生の「りょうた」と「あやこ」の物語であり、りょうたがピアスを開ける理由として、「マイケル・ジョーダンがしてるから オレもする」というセリフがあることからも、宮城リョータの前日譚と見られている。


 そのなかで登場するのが、岩場の洞穴にある、りょうたの「秘密基地」だ。バスケットボールが転がるその場所で、彼はあやこが海に投げ捨てて“いわくつき”のピアスをつけるため、安全ピンで耳に穴を開ける。そのボーイ・ミーツ・ガール的青春を感じさせるエピソードとともに、3年前の悲しい出来事が明かされるのが印象的だ。りょうたには兄がいた。しかし3年前、一緒に釣りに連れていってほしいとせがむりょうたに、まだ船に乗るのは危険だから「6年生になったら」と言い残し、そのまま帰ってきていない。当時、思わず「もう帰ってくるな‼︎」と叫んでしまった後悔を抱え、りょうたは岩場の秘密基地で、兄の帰りを待ち続けている。


 『SLAM DUNK』ほどの人気作であれば、桜木花道の不良時代を始め、スピンオフとして描かれれば注目を集める前日譚はいくらでも想像できるが、キャラクターたちを掘り下げるエピソードは、ほぼ作中に限られている。そのなかで、鮮烈な印象を残した『ピアス』という物語が宮城リョータに紐づけられることは、映画の公開とともに『SLAM DUNK』像を更新する情報になり、長年のファンにはうれしいサプライズだ。


 映画『THE FIRST SLAM DUNK』で『ピアス』のエピソードが描かれるかどうかは不明であり、今後、湘北メンバーそれぞれを“主人公”に据えた予告映像が公開されていく可能性もあるため、ファンが考察する「宮城リョータ主人公説」が的中しているかどうかはわからない。しかし、自分より何十センチも身長の高いプレイヤーたちに囲まれながら、「No.1 ガード」になるため奮闘し、「スピードと感性」で湘北高校を全国区に押し上げた宮城は、紛れもなく主人公級のキャラクターだ。そんな彼にスポットライトが当たるかもしれない『THE FIRST SLAM DUNK』の公開が、さらに楽しみになった。


(向原康太)


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