「ファンにつけてもらった名前」 オリックス・T-岡田は登録名を変えずに復活を期す

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2023年01月20日 06:52  ベースボールキング

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自主トレを公開したT-岡田 [写真=北野正樹]
◆ 猛牛ストーリー【第54回:T-岡田】

 2023年シーズンはリーグ3連覇、そして2年連続の日本一を目指すオリックス。今年も監督・コーチ、選手、スタッフらの思いを「猛牛ストーリー」として随時紹介していきます。

 第54回は、プロ18年目を迎える「浪速の轟砲」T-岡田選手(34)です。昨季はケガやコロナ感染で戦列を離れ、わずか1本塁打。打撃不振の理由は“体重移動のタイミング”にあったそうで、19日に公開した自主トレの打撃練習でも確認を重ねていました。

 前日にはK-鈴木選手が本名に登録名を変更することが発表されましたが、約7000人の応募者の中から選んだ「T-岡田」への愛着は強く、「変えるつもりはありません。成績が残せていないのは自分のせい」と言い切ります。


◆ 明確にとらえている課題

 19日午前10時から、3年ぶりにほっともっとフィールド神戸で自主トレを公開したT-岡田。快晴無風の好コンディションだったが、標高の高さから球場入りした午前8時半過ぎの気温は5度。ケガ防止のため、ウォーミングアップやキャッチボール、ノックに2時間をかけ、正午過ぎから打撃練習が始まった。

 「速い」「まだ速いな」。ゲージの中からT-岡田の声が何度も漏れた。意識しているのは、踏み出した右脚への体重移動だ。

 「右脚のかかとに入ってしまうのが速いんです。ちょっとのことなんですが」


 かつての本塁打王も、昨年はデビュー年(0本)を除き、2019年以来の1本塁打に終わった。

 オープン戦で右ふくらはぎを痛め、筋損傷で戦列離脱。8月にはコロナに感染するなど、ベストコンディションで戦える期間が極めて短かったが、打撃不振のポイントは「右かかと」だったという。

 「打ちにいって右のかかとに乗るのが速かったんです。練習では出来て分かっているのですが」

 ちょっとしたタイミングのズレなのだが、「腰が開いてしまうので、ファウルに出来ていたボールが空振りになってしまったり、変化球への対応が悪くなってしまったりするのです。外角のボールが遠く見えてしまいますし、横振りになってしっかりとバットに乗ってくれません。弊害しかありません」という。


◆ 登録名変更は「考えたこともありません」

 この前日には、球団から「K-鈴木」が登録名を本名の「鈴木康平」に変更することが発表された。

 入団時に同じ読み方の選手がいたことと、三振(K)へのこだわりもあり、「T-岡田」に倣う形で「K」になったが、6年目を迎え「2月1日からが勝負」と心機一転をはかる意味も込め、本名での登録に踏み切った。


 一方、本家の「T」は「考えたこともありません」と登録名変更の予定はない。

 誕生のきっかけは、2009年オフに就任した岡田彰布監督(現・阪神監督)が「同姓が2人いてはややこしい」と登録名変更を提案したこと。球団が名前を募集し、約7000通の中から本名の「貴弘」と、攻撃力を例えた恐竜のティラノサウルスの「T」を取った「T-岡田」が誕生した。

 登録名変更1年目の2010年には、33本塁打を放ち本塁打王に輝いた。縁起のいい名前であるとともに、「ファンのみなさんが付けて下さった名前で愛着はあります。逆に『岡田』となったら、えっ!というかもしれませんね」。

 誕生までのいきさつやファンの命名などの違いがあり、単純に比較できるものではない。鈴木の変更には「心機一転になるかもしれませんね」と理解を示す。


◆ 「悔いが残らないように」

 その一方で、自らについては「成績が残せないのは、自分のせい」と、厳しく自分と向き合う。

 始動は1月2日。「2日も動かないと体がおかしくなる」と言い、自宅が近い日本ハムにFA移籍した伏見寅威と公園でキャッチボールをし、「お互い、頑張ろう」と別れた。

 「打たないと試合に出ることは出来ません。キャンプも大事ですが、オープン戦からしっかりとアピールしたい」と語り、吉田正尚のメジャー移籍に伴う外野守備にも「試合に出られるよう、しっかり動ける体を作ります」と意欲的だ。

 10日から始まったほっともっと神戸での自主トレは25日まで。初本塁打を放った場所であり、本塁打王に輝いた舞台でもある。

 「自宅も近いし、(屋外で)こんな良い球場はありません。少し寒いですが、キャンプ地も寒いので」と狙いを明かした。


 球団OBで、この場所で自主トレを行ったこともあるイチローさんとは、今年も球場で挨拶はしたそうで「挨拶だけでもいい緊張感がありました」。イチローさんからは「今年も見ておくよ」と励ましの言葉があったという。

 「今やっていることをキャンプでも継続できれば、ある程度の成績は残せると思います。1年、1年が勝負。1日、1日を大切に悔いが残らないようにしたい」

 背番号55は逆襲に向けて、静かに闘志を燃やす。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)

このニュースに関するつぶやき

  • T-岡田が「.270で15HR」位の数字を残して、FA加入の森と併せれば正尚の抜けた穴は埋まりそうなのよね。
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