《血液型別かかりやすい病気》A型はがん、B型は肺炎、O型は胃潰瘍、AB型は認知症の“医学的根拠”

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2023年05月03日 18:00  週刊女性PRIME

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※画像はイメージです

 近年、血液型により病気のかかりやすさに違いがあることがわかってきた。

「世界中の科学者が長年研究を続けてきたなかで、2000年代以降さまざまな病気と血液型との関連が明らかになってきています」と語るのは、血液専門医の久住英二先生。

血液型ごとに細胞は異なっている

「私たちがよく知るA型、B型、O型、AB型という4つの血液型は、血液中の細胞成分“赤血球”の分類法のひとつです。それぞれの血液型は、赤血球の表面にある血液型物質『抗原』によって決まります。抗原は“糖鎖”とも呼ばれ、赤血球だけでなく消化器や生殖器、肺、腎臓、膀胱、皮膚など、全身のあらゆる臓器細胞の細胞膜に存在しています」(久住先生、以下同)

 つまり、血液型ごとに赤血球を含めた身体の細胞がすべて異なるということ。

「血液型ごとに細胞の性質が違うため、病気になりやすさにも差が生じてくるのです」

病気のリスクを下げるための行動を

 では、血液型ごとの特徴はどんなものだろうか。

「血液型は『ABO式血液型』の他にもたくさん分類法があり、Rh式、Glob式など、30種類以上にもなるといわれています」

 細かく言えばA型の人の中でも、いくつもの血液型に分類されるため、ABOだけで特徴をあげるのは難しい。

「ただ、血液型別の傾向があります。例えば新型コロナウイルスでは、A型の人が特に重症化しやすく、O型の人は重症化しにくいという傾向がありました。

 現段階でわかっているのは、この血液型だからこの病気になるということではなく、“病気ごとの患者数に血液型でばらつきがあった。それは血液型が関係しているのだろう”ということです」

 近年は、生化学や遺伝子レベルの研究が進み、血液型と病気に関連があることが次々と解明されつつある。

「もちろん“かかりやすいと判明している”だけで、生活環境や習慣によって、誰もがすべての病気に罹患する可能性はあります。しかし、エビデンスのある結果をもとに、血液型を取っかかりとして、病気のリスクを下げるためのアクションにつなげていただけたらと思います」

《日本の血液型人口の割合》
A型 38%
B型 22%
O型 30%
AB型 10%

◆ABO式血液型の違いとは……
ABO式血液型は、赤血球の表面にある血液型物質(抗原)によって決まる。この抗原は「糖鎖」とも呼ばれ、基本形はO型の糖鎖(H抗原)。A型はそこに“N-アセチルガラクトサミン”という単糖がつき、B型は“ガラクトース”という単糖がつく。AB型の人は、A型の糖鎖とB型の糖鎖の2種類が細胞膜上に存在する。

「病気別」要注意の血液型はコレだ!数ある病気の中から、血液型に有意な差がみられ、また重症化率の高い病気を紹介する。それぞれに有効な対策も必読!

日本人の死因のトップ「がん」

◆A型の罹患率が高い胃がん

 胃がんの罹患数は近年減少傾向にあるものの、国立がん研究センター がん情報サービスの統計によると2019年の罹患数は3位と、相変わらず上位に入っている。

 2010年にスウェーデンのカロリンスカ研究所が発表した研究(疫学調査)によれば、胃がんになった688人を調査した結果、A型はO型に比べ1・2倍も罹患率が高いことがわかった。

「胃がんの主な原因はピロリ菌の感染。ピロリ菌がいなければ胃がんになる可能性は極めて低い。いた場合でも、除菌することで発がん率を3分の1に減らすことができます。胃の具合が悪くなくても、バリウム検査で異常がなくても、ピロリ菌検査は受けましょう」(久住先生、以下同)

 ピロリ菌検査は、まず血液検査でスクリーニングし、陽性の場合は、胃部内視鏡検査または呼気検査を行う。

「感染が確認された場合は、胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬2種類を1〜2週間服用することで、約8割の人が除菌に成功するとされています」

 ちなみに胃がんに限らず、A型ががんにかかりやすいとされるのには、こんな理由が。

「A型がかかりやすいと一概には言えませんが、がんには細胞膜にA型抗原やそれに近いものが存在します。非A型の人はA型抗原を持つがんを、自分とは異なる敵とみなして攻撃します。しかしA型の人は、異物と認識することができず、がんの増殖を見逃してしまうため、発症率が高まるとされています」

 A型の人は特に、がん検診を受診することが大切だ。

◆B型、AB型は要注意の卵巣がん

 40〜60代の女性に多い卵巣がん。2010年、ハーバード大学は全米の女性看護師約5万人のデータを用いて、上皮性卵巣がんの発生率について調査。それによると、10年間で卵巣がんを発症した234人のうち、O型と比べて、B型とAB型の女性では1・41倍もがんの発生率が高いことがわかった。

「卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものです。また、妊娠や出産経験のない人、初経が早く、閉経が遅い人はリスクが高くなる可能性があります。急激なお腹の痛み、太っていないのに下腹部が出てきたなどの症状があったら、早めに婦人科を受診しましょう」

 近年海外では、より積極的な対策の提唱も。

「アメリカの産婦人科学会では、閉経を迎えた女性が子宮筋腫や、または他の疾患で腹部の手術を受ける場合、積極的に卵巣や子宮を摘出することを推奨しています。とってしまえば、卵巣がんや子宮体がん、さらに40代以降急激に患者数が増える子宮筋腫もリスクをゼロにできますから」

 摘出によるデメリットは、意外にも少ないという。

「閉経とともに女性ホルモンの分泌量がなくなっていくため、卵巣は必要なくなります。がんの発生母地となる可能性を考えると、残しておくデメリットのほうが大きい」

 選択肢のひとつとして、今後、日本でも検討されていく可能性がありそうだ。

◆増加傾向にある膵臓がんはB型が1位

 日本人の膵臓がんによる死者数は、この30年で8倍以上に増え、毎年3万人以上の人が亡くなっている。

 アメリカの国立がん研究所が発表した論文によると、全米の医療従事者10万人以上を対象とした研究で、調査期間中に膵臓がんを発症した316人のうち、O型が一番少なく、A型はその1.32倍、AB型は1.51倍、B型が1.72倍という結果だった。

「膵臓がんは早期発見が難しく、治療成績も良くありません。しかし、合併症疾患となる糖尿病は、食事内容を正すことで大幅な改善が可能です。バランスの良い食事と、適度な運動が大切です」

 しんどい運動は無理……という人は少しずつ始めよう。

「運動は、やっただけメリットがあります。1日10分しか歩けないという方は、10分歩きましょう。毎日ジムに行くほど頑張る必要はありません。ハードな運動は、実は健康には逆効果です」

 おすすめは、ウォーキングやジョギングなど、心拍数が軽く上がる程度の有酸素運動。

「ベストなスピードは1キロ8分程度。会話しながらできるぐらいが健康に最も良い有酸素運動です。1日数分ずつでも、無理のない範囲で気軽に始めてみましょう」

【ピロリ菌が原因の胃・十二指腸潰瘍はO型がかかりやすい】

 1958年にイギリスで発表された論文では、消化性潰瘍の患者3011人の血液型を調べた結果、O型は非O型に比べて1.35倍かかりやすいと報告されている。消化性潰瘍の8〜9割の患者がピロリ菌に感染しているとされ、多くの研究で、ピロリ菌に感染しやすいのはO型であることもわかっている。胃がんの原因ともなるため、O型ならば積極的にピロリ菌検査を受けよう。

日本人の死因第2位「心臓病」

◆AB型はO型よりも20%も高リスク

 厚生労働省の統計によると、令和3年に心疾患で亡くなった人は21万4623人で、死因全体の14.9%。昭和60年に脳血管疾患にかわり死因第2位となっている。

 2012年、ハーバード公衆衛生大学院のルー・チー博士が、8万9500人の男女を対象に20年以上にわたって行った調査で、血液型と心臓病の発症リスクとの関係を明らかにしている。 

 調査中に心臓病を発症した4070人の血液型を調べたところ、心臓病にかかるリスクは、O型と比べてAB型が20%と最も高く、続いてB型が11%、A型が8%高いという結果だった。

「対策の基本は、肉中心の欧米食から魚と野菜中心の和食に変えるなどの食事の見直しと、規則正しい生活。近年は睡眠の影響も注目され、睡眠不足や質の悪い睡眠は心臓病の原因である動脈硬化を悪化させるといわれています。心臓病などの血管の病気は冬だけでなく夏場も増えるので、これからの時期は特に意識してほしいですね」

 一方、血液が固まりにくい体質から血管系の病気全般に強いのがO型。ケガでの死亡リスクが高いともいわれるが、それはさほど問題ではないと久住先生。

「現代では大ケガよりも、血管が詰まる病気で亡くなる人のほうがはるかに多いんです。ですから、血液が固まりにくい体質のほうが、現代人のライフスタイルにはフィットしているといえます」

かかりやすい血液型
1位 AB型
2位 B型
3位 A型
4位 O型

日本人の死因第4位「脳梗塞」

◆B型とAB型がかかりやすい

 認知症に次いで介護要因の第2位、さらに死因でも第4位でもある脳卒中(脳血管疾患)は、血管が詰まって血流が途絶える脳梗塞のケースが大半。治療法の進歩により死亡率は減っているものの、患者数は依然多い。

 ワシントン大学が発表した論文によると、30〜79歳の脳梗塞患者469人を調査したところ、B型とAB型は、O型の人と比較して1.59倍も脳梗塞になるリスクが高いという結果に。

「予防には、脳梗塞のリスクをあげる高血圧、糖尿病、脂質異常症のコントロールが一番。ウォーキングなどの適度な運動と、食事は動物性脂肪を控え、野菜や青魚を積極的にとるようにしましょう」

 脱水を防ぐことも大切。

「1日に必要な水分量は、食事からとる分も含めて約2L。喉の渇きは自律神経が関連しており、加齢とともに喉の渇きを感じにくくなります。飲み忘れを防ぐためにも、飲み物のボトルを近くに置き、1日で飲み切ると決めて飲むといいですね。また、利尿作用のあるお茶やコーヒーはなるべく避け、水や麦茶を飲みましょう」

 これからの季節は熱中症を防ぐだけでなく、脳梗塞予防の観点でも水分補給が重要だ。

高齢者の死に直結「肺炎」

◆B型が肺炎球菌に感染しやすい

 細菌性肺炎の原因として最も多い肺炎球菌は、肺炎以外にも髄膜炎などの重篤な感染症を引き起こす細菌として知られる。

 2000年にアメリカの赤十字血液サービスが報告した論文では、細菌やウイルス、寄生虫は、ヒトの細胞の表面にある血液型物質の種類によって異なる感受性を示し、「宿主と同じ抗原を持つ病原体は、より結合しやすく、感染しやすい」としている。肺炎球菌には、B型抗原を持つものも多く存在するため、B型の人は肺炎球菌に感染しやすく、重症化しやすいという報告もある。

 また肺炎は圧倒的に高齢者に多く、しかも高齢者の肺炎は咳や発熱などの典型的な症状があまり見られず、肺炎と気づかないうちに重症化し、命にかかわることも。

「感染症対策に有効なのは、やはりワクチンです。肺炎はインフルエンザ感染後に起きることが多いので、肺炎球菌ワクチンだけでなく、必ずインフルエンザワクチンも接種しましょう」

増加を続ける脳の病気「認知症」

◆最もリスクが高いのはAB型

 認知症高齢者は、2012年では462万人と、65歳以上の7人に1人だったが、2025年には約730万人、5人に1人に増えると推計されている。

 アメリカのバーモント大学が、血液型遺伝子と認知障害との関連を調査。1万7630人を平均3・4年、追跡調査し、認知障害を発症した495人と、発症しなかった587人を対象に研究を行い、AB型はO型に比べて、1.82倍も認知障害のリスクが高いと、2014年に発表した。

「新しいことに挑戦する、趣味を楽しむなどして脳に刺激を与えることが予防策になります。また、バランスの良い食事でタンパク質やビタミン類をしっかりとり、脳に必要なDHAやEPAが豊富な青魚を意識して食べましょう」

 また、身体を動かすことも脳の刺激に。

「握力が弱く歩くのが遅い人は、アルツハイマー病になりやすいという報告もあります。週3日以上を目標に、無理のない定期的な運動を習慣にして、筋力や心肺機能を維持しましょう」

患者数が50年で35倍「糖尿病」

◆女性対象の研究でB型と判明

 この50年間で、糖尿病の患者数は約35倍と急増。2016年時点の患者数と予備軍は、それぞれ1000万人と推計されている。(「2型糖尿病の分子機構と治療戦略」(門脇孝/日本内科学会雑誌/2011年100巻9号/P2437―2446))

 2014年にフランス国立衛生医学研究所が発表した論文では、2型糖尿病のリスクと血液型の関連を報告。約8万2000人の女性を対象に、1990〜2008年の期間を追跡調査した大規模な研究によると、最もリスクが低いO型と比較してB型は、1.21倍、A型は1.10倍、それぞれ糖尿病のリスクが高いことがわかっている。

「内臓脂肪過多や筋肉量の減少は、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなります。閉経期の女性は、女性ホルモンの減少により筋肉が落ちて脂肪がつきやすくなるため、血糖値が上がりやすく、糖尿病のリスクが高くなります。カロリーのとりすぎやお酒、清涼飲料の飲みすぎに気をつけて、運動習慣を身に付けるなど、健康的な生活習慣を意識しましょう」

加齢とともに増加する「高血圧」

◆B型がトップ、低リスクはO型

 男女共に年齢を重ねるとなりやすい傾向がある高血圧。

 2015年にエジプトのヘルワン大学が発表した論文では、3つの生活習慣病と血液型との関連について報告。この研究では、それぞれの患者とその対象群、合わせて800人に対して調査が行われた。本態性(原因がはっきりしない)高血圧の患者166人と対象群174人の健常者への調査の結果、血液型別の高血圧の発症リスクは、B型が48・5%と最も高く、続いてA型が30%、AB型が13・8%、O型が最も低く7・2%という数値が報告されている。

「女性では、閉経をきっかけに女性ホルモンの減少を原因とした高血圧になるケースが多いです。高血圧自体は病気ではありませんが、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など、さまざまな病気の原因となります」

 予防のためにまず意識したいのは塩分摂取量。

「塩分摂取は1日6g未満に抑えましょう。また、睡眠不足も高血圧の原因に。7時間を目安に、質のいい睡眠を心がけて」

Q、血液型診断の性格でもかかりやすい病気がある?
A、A型は几帳面だからストレスをためやすくがんにかかりやすい…etc.はウソ!!

「そもそも血液型別の性格診断に科学的根拠はありません。体質の違いが何らかの影響を及ぼすとしても、血液型の分類は30種類以上ありますから、ABOだけで分類すること自体が、非常に不完全なものなのです。ですから血液型占いの性格特性と病気を結びつける研究自体ありません」

 性格診断は楽しいけれど、病気と結びつけて意識しすぎるのは逆効果。「血液型にかかわらず、正しい知識を持って病気予防のアクションを始めましょう」

がんと生活習慣病にかかりやすいA型

 最もがんにかかりやすい血液型とされるA型は、特にがん検診を積極的に受けることが大切。また、更年期以降の女性に多い脂質異常症など、生活習慣にも注意が必要。

□ 胃がん
□ 唾液腺がん
□ 前立腺がん(術後再発率)
□ 肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
□ ノロウイルス
□ 細菌性髄膜炎
□ 貧血
□ 脂質異常症

消化器系の病気に弱いO型

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍など、消化器系の病気にかかりやすいO型。逆に、O型は血液が固まりにくい体質のため、心臓病や脳梗塞などの血管系の病気リスクは低い。

□ 皮膚がん
□ 悪性リンパ腫
□ 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
□ コレラ
□ O157大腸菌
□ ピロリ菌
□ 細菌性髄膜炎
□ 貧血

肺疾患など病気の数が多いB型

 特に注意すべきは早期発見が難しいとされる膵臓がん。日頃から禁煙と適正体重の維持を。この他にもマラリア、淋病、高血圧など、B型はかかりやすい病気の数が最多。

□ 膵臓がん
□ 卵巣がん
□ 悪性リンパ腫
□ 肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
□ 脳梗塞
□ 肺炎
□ 結核
□ 糖尿病(2型)

重篤になる可能性が高いのが懸念AB型

 心臓病や脳梗塞、認知障害など、発症すると後遺症や生活の質が著しく低下する病気ばかり。健康的な生活習慣で発症リスクを抑えよう。感染症予防にも十分な気配りを。

□ 卵巣がん
□ 悪性リンパ腫
□ 肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
□ 心臓病
□ 脳梗塞
□ 認知障害
□ デング熱
□ インフルエンザ

教えてくれたのは…久住英二先生●ナビタスクリニック理事長。虎の門病院血液科、東京大学医科学研究所勤務を経て、2008年にナビタスクリニック立川を開院。日本内科学会認定内科医、日本血液学会認定血液専門医。監修書籍に『血液型でわかる かかりやすい病気と対策』(扶桑社)がある。

(取材・文/當間優子)

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  • イタリア原住民の80%は0型だが。日本より経済も文化も発達している国は衛生度も高いから、ピロリ菌やO157など菌による病気は稀。血液型診断好きだね日本人。
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