『HUNTER×HUNTER』「クラピカ追憶編」発売で再注目……クルタ族の惨劇に隠された疑惑とは

0

2023年07月09日 07:10  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

冨樫義博氏の公式Twitter(@Un4v5s8bgsVk9Xp)より

※本稿は『HUNTER×HUNTER』のネタバレを含みます。


 壮絶な復讐の運命に生きる『HUNTER×HUNTER』のクラピカ。彼の生き様の原点にあたるエピソード『クラピカ追憶編』が、7月4日に電子書籍として復刻された。そこでこの機会に、クルタ族の惨劇をめぐる“謎”を振り返ってみたい。


(参考:【写真】これは欲しい……『HUNTER×HUNTER』の人気キャラをモチーフにしたZoffコラボメガネ


  冨樫義博が『クラピカ追憶編』を世に放ったのは、2013年の「週刊少年ジャンプ」1〜2号。その後、『劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影』の来場者に配布された0巻にも収録された。


 大まかな内容としては、緋の眼の一族・クルタ族の里で暮らすクラピカが、村の外からやってきた女・シーラと出会い、運命が変わっていく……という流れだ。最後には幻影旅団が行ったとされる、クルタ族の虐殺についても触れられている。


 なおシーラは当時謎に包まれた存在だったが、約10年後に本編で正体が明かされた。幻影旅団の結成秘話を描いた回想編にて、クロロたちの仲間として幼い頃のシーラが出てきたのだ。


 そうなると、クルタ族の里にシーラが迷い込んだことが重要な意味をもつ。クロロたちの知り合いとクラピカが出会ってからまもなく、クルタ族が滅ぼされたことになるからだ。里の内側から幻影旅団に手引きを行い、惨劇を導いたとも考えられるだろう。実際にシーラは足の治療中に何度も転び、不自然に滞在期間を延ばしていた。


  しかしそこで引っかかるのが、惨劇の現場に残された「我々は何ものも拒まない だから我々から何も奪うな」というメッセージだ。緋の眼を目的とした襲撃犯の言葉としては、違和感を抱かざるを得ない。


 そもそもこのメッセージは、流星街の人々が街の外で迫害を受けた際、報復と共に残すものとして知られている。幻影旅団が故郷の流儀に則ったと考えればおかしくはないが、その場合はクルタ族が“加害者”という認識だったことになるだろう。


 幻影旅団は何らかの経緯からシーラをクルタ族に殺害されたと考え、その報復として事件を起こしたのかもしれない。


■真犯人は幻影旅団ではない?


 しかしこうした考察は、あくまで幻影旅団がクルタ族を滅ぼしたという前提があって成り立つものだ。まずその前提に誤解があり、メッセージを残したのは幻影旅団ではなく流星街の組織だった……と解釈することもできるだろう。


 過去にはウボォーギンがクルタ族との戦闘経験を仄めかしていたため、両者に接点があったことは間違いないが、事件の裏には複雑な事情があるのかもしれない。


  さらに読者の間では、クルタ族襲撃事件の黒幕として、「暗黒大陸・王位継承編」に登場するツェリードニヒの名前を挙げる人も。彼は芸術という名目の人体収集を趣味とする危険人物で、緋の眼を大量に所有している。


  何より特筆すべきは、ツェリードニヒの所有物として、クラピカの親友・パイロらしき生首が描かれていたことだ。そして彼の守護霊獣のデザインにも、パイロによく似た顔が組み込まれていた。


 また『クラピカ追憶編』では、クルタ族への拷問が熾烈を極めたことが綴られていたが、ツェリードニヒは作中でもっとも残虐なキャラクターの1人。逆に幻影旅団は過剰に残虐性を発揮するイメージはない。


  ツェリードニヒが緋の眼を集めるため、裏で糸を引いて流星街とクルタ族の対立をけしかけた──。あるいはそんな説も考えられそうだ。


 現在『HUNTER×HUNTER』は連載休止に入っているが、再開した際には幻影旅団とクラピカ、ツェリードニヒに焦点を当てた話が描かれるのではないだろうか。連載再開の日まで、事件の真相について想像を膨らませておこう。


(文=キットゥン希美)


    ランキングゲーム・アニメ

    前日のランキングへ

    オススメゲーム

    ニュース設定