トヨタ優勝の要因はタイヤマネジメントにあり。モンツァ戦のカギに「2スティント目」の差を挙げたバセロン

0

2023年07月10日 17:10  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組) 2023年WEC第5戦モンツァ
 TOYOTA GAZOO Racingのドライバーであるマイク・コンウェイは、モンツァで優勝した7号車トヨタGR010ハイブリッドのクルーがこれまでの2023年シーズンで失った選手権ポイントを“取り戻す”ことができたと喜んだ。

 コンウェイ、ホセ-マリア・ロペス、小林可夢偉がドライブした7号車トヨタは、WEC世界耐久選手権第5戦モンツァにおいて50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)を16.5秒差で破り、今季3勝目を挙げた。

 開幕戦セブリングと第3戦スパ、そして今回のモンツァで優勝した一方、第2戦ポルティマオと第4戦ル・マンでの2戦が彼らに大きな挫折をもたらしたことを考えると、7号車のトリオは好不調の波が激しいシーズンを送っていると言える。

 4月のポルティマオでの表彰台獲得は、規則により装着が義務付けられているトルクセンサーの故障によって阻止された。ル・マンでは、可夢偉が『スローゾーン』の手前で早すぎるブレーキングをしていた前走車を避けるために速度を落としたところに、後続の2台が衝突。7号車トヨタは深刻なダメージを受けてリタイアとなり、大量ポイント獲得のチャンスを逃した。

 この結果、2度のWECチャンピオンである7号車のトリオは、今季のチャンピオンシップをリードする僚友8号車と41ポイントの差を付けられたが、モンツァでの優勝によりその差を23ポイントに縮めた。

「僕たちはチャンピオンシップでできる限り上位に戻りたいと思っている。だから、ここで勝利できて本当にうれしい」とコンウェイはSportscar365に語った。

3回の優勝というのは、今シーズンもっとも多い数字だ。僕らはシーズンが終わるまでプッシュし続けるよ」

「なんとか頑張って50号車の前でフィニッシュできて良かった。チャンピオンシップの先頭に立つためには、次の2レースで本当に努力しなければならないが、7号車のクルーたちはみんな素晴らしい仕事をしてくれているから、これからも戦い続けるよ」

「僕たちのチームが強いことはわかっている。BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)も残りシーズンを通して変動すると思う」

「プジョーは今回、本当に強いペースを見せたから、おそらく(次戦の)富士はさらに良いパフォーマンスを発揮してくると思う。それでも、僕らは戦うためにここにいるのだから、残り2戦も最善を尽くすつもりだ」

 コンウェイは、WECのポイントシステムがシーズン最長のレースであるル・マンに重きを置いており、そのル・マンで7号車はリタイアとなってしまったことから、自分たちがすでにシリーズチャンピオンの候補者から外れてしまっていると認めた。

「残念なことに僕たちはポルティマオとル・マンではひどい結果に終わったので、チャンピオンシップにおいて大きなダメージを負ってしまった」とコンウェイ。

「もしも、ポルティマオで良い結果を出せていても、おそらくまだ……つまり、問題はル・マンがダブルポイントであり、そこでゴールしなければ(チャンピオンシップを戦う上では)本当に命取りになるということなんだ」

「7号車のクルーが素晴らしい仕事をしてくれていることは誰しもが知っていることだ。しかし、僕たちが手にしかけていたものは、今では届かないものになってしまったように思う。ただ、我々は今やっていることを続けていかなければならない。それ以外に何ができるのだろうか」

■安定したタイヤパフォーマンスが決勝レースの重要な要素に

 TOYOTA GAZOO Racingでテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンは、チームにとって今季4度目となった勝利の重要な要素は、スリックタイヤのダブルスティントを通じて一貫したペースを保てたことだったと述べた。

 優勝した7号車は、ミシュランのハードコンパウンドタイヤでレース終盤まで走り続け、可夢偉が担当した最終スティントではチェッカーフラッグまでを走り切るためにミディアムタイヤを装着した。

「状況を振り返ってみれば、我々はとくに(各タイヤセットの)2スティント目でレースを優位に進めることができた」と語ったバセロン。

「私たちはタイヤマネジメントにおいて、ライバルに対して大きなギャップを生み出すことができた。セブリングやポルティマオのときと同様に、差をつけることに成功したんだ」

「(ニュータイヤでの素の)レースペースをみれば、コンマ1秒以内に何台かのクルマがいたことがわかる」

「多くのマシンが近いペースで走ることができていた。だからこそ、本当に差が生まれるのは連続スティントの後半からだったのだ」

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定