不動産のプロが教える!“理想の住まい”の叶え方 第8回 どう選べば良い? 正しい住宅ローンの選び方

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2023年07月15日 10:01  マイナビニュース

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お住まいを購入する時、ほとんどの方が「住宅ローン」を利用すると思います。とても低い金利で数千万円単位のお金を借りることができるので、うまく活用したいものです。



しかしながら、住宅ローンはじつに様々な金融機関が取り扱っていますし、金利の種類や組み方、保障内容も様々なので、すべての内容を理解して、自分に合った住宅ローンを見つけるのは至難の業といえます。



今回は初めての方にも分かりやすいように、住宅ローンの正しい選び方について、お伝えしていきます。


■まずは「固定金利」か「変動金利」か検討を



固定金利が良いのか、変動金利が良いのか、悩まれる方はとても多いと思います。結論から言ってしまうと、未来の金利は誰にも予想できませんので「絶対の正解」はありません。とはいえ、一般的には固定金利を選ぶ方が3〜4割、変動金利を選ぶ方が6〜7割と言われており、変動金利を選ぶ方の方が多くなっています。



というのも、今は住宅ローンの金利は驚くほど低くなっていて、変動金利だと0.3%や0.4%台などといった低金利で組めるようなケースもあるのです。



一方でフラット35などの長期間の固定金利になると、今は少し上昇傾向にあり、1.5%〜2.0%程度の金利が適用されることが多く、毎月の返済額にも大きな違いが出てきてしまいます。



どうしても目先の返済額が抑えられる方がメリットに感じる方が多いので、変動金利を選ばれる方が多くなってきます。


【参考】金利による毎月の返済額の違い(元利均等方式の場合)



例1: 5,000万円を変動金利0.4%、35年で借り入れた場合・・・毎月127,595円の返済

例2: 5,000万円を固定金利1.5%、35年で借り入れた場合・・・毎月153,092円の返済



・リスクの違いを理解して選択することが大事



毎月の返済額が少なくなるなら、絶対に変動金利の方が良いのでは? と思ってしまいがちですが、変動金利はその名前の通り、借りている間に金利が変動します。



金融機関によっても異なりますが、半年に1回、適用される金利が見直され、5年に1回、実際の支払額が見直されることがほとんどです。



もちろん、金利は上昇することもあれば、下落することもあります。ただし、今より更に金利が下がることは考えにくいので、上昇する可能性の方が高いといえます。



住宅ローンには「125%ルール」というものがあり、支払っている返済額が見直しのタイミングで25%以上は上昇しないようになっていますが、返済額に占める利息分の割合が増えてしまうと、返済をし続けてもなかなか元金が減っていかない…といった状況に陥ってしまうリスクもあります。



一方で、固定金利はその名前の通り、金利が、融資が実行されるタイミングで固定されるので、金利の上昇リスクを心配する必要がありません。



もちろん、金利が下がった場合にはその恩恵を受けることができませんが、金利の上昇を気にせずに暮らせるのは大きなメリットといえます。

・変動金利はこんな方におすすめ



例えば購入した住まいを5年や10年などの短期間で売却する可能性のある方は、万が一、金利が上昇しても、そこまで大きなリスクにはならないので、変動金利を選ぶメリットがあります。



また、資金計画上、どうしても目先の返済額を抑えたいという方にも適している住宅ローンといえます。

・固定金利はこんな方におすすめ



購入した住まいに20年、30年と住み続ける可能性が高い方で、金利が上がらないか心配しながら暮らしたくないという方には固定金利がおすすめです。



資金を借り入れるタイミングで金利が確定しますので、将来的なお金の計画が立てやすいといったメリットもあります。



変動金利に比べると金利が高く感じてしまいますが、昔に比べると十分に低い金利で借り入れることができるので、まだまだ固定金利もおすすめです。

■金融機関の選び方



固定金利か変動金利かを決めたら、次は金融機関を選びましょう。



各金融機関のホームページ等でもローンの内容について細かく説明されていますが、難しく書かれていることが多く、なかなか解読するのが難しいのが事実です。



確認すべきは以下の3つのポイントになります。このポイントを確認するだけで、ある程度、金融機関の特徴をつかむことができます。


<1.適用される金利>



適用される金利も金融機関の審査によって変わってきます。

住宅ローンの「事前審査(仮審査)」を申請すると、適用される金利(優遇される金利)が知らされますので、確認するようにしましょう。



実際に適用される金利は住宅ローンの審査時点の金利ではなく、住宅ローンが実行される日(物件のお引き渡し日等)の金利になりますので、注意が必要です。

<2.事務手数料 / 保証料>



住宅ローンを組むときに、金融機関に対して「手数料」や「保証料」といったお金を支払うことになります。



金融機関によって「手数料」と「保証料」、言い方が変わるのですが、おおよそ借入金額の100万円につき2万円程度かかることが多いです。



例えば5,000万円を借りた場合は100万円程度になります。



手数料の場合は、住宅ローンを途中で全部返し終わっても(「完済」と言います)、手元には手数料は戻ってきませんが、保証料の場合は、住宅ローンを途中で完済したら残りの期間分の保証料の返金が受けられます。



金融機関によっては「手数料型」と「保証料型」が選べるような金融機関もありますが、基本的には保証料型の方が適用される金利は高くなります。



短期間での返済を考えている方は保証料型の方がメリットが出る可能性がありますので、よく確認するようにしましょう。

<3.保障内容>



住宅ローンを組んでいる間にガンなどの病気になってしまった場合、住宅ローンの返済がどのように保障されるのか、保障内容も金融機関によって異なります。



ガンと"診断"されるだけで住宅ローンの返済義務がなくなる場合もあれば、入院◯日以上など、一定の状態にならなければ返済義務が無くならない場合もあります。



また、ガン・急性心筋梗塞・脳卒中の「三大疾病」以外にも、高血圧・糖尿病なども加えた「八大疾病」までカバーできるような金融機関もあります。



この保障が「無料」で付与される場合もあれば「適用金利+◯%」と追加で費用がかかる場合もありますので、費用についても確認するようにしましょう。

・個人事業主の方や経営者の方は「フラット35」がオススメ



個人事業主の方や経営者の方はメガバンクなど都市銀行の審査基準が厳しくなってしまう傾向があります。場合によっては希望の借入額が借りられない場合もあります。



長期固定金利の「フラット35」であれば、個人事業主や経営者の方でも審査が通りやすく、借入可能額も引き上げやすいので、候補に入れて検討すると良いでしょう。



フラット35は金融機関の名前ではなく、住宅ローンの商品名で、一部のメガバンクも含め、複数の金融機関が取り扱っています。

・ネット銀行はリフォーム費用を一緒に組めないことが多い



リフォーム費用も住宅ローンとまとめて組める金融機関は随分と増えてきましたが、残念ながらネット銀行の場合はリフォーム費用もまとめて組める商品を取り扱っていない場合が多いです。



一部のネット銀行ではリフォーム費用も借りられるところも出てきましたが、リフォーム費用の借入も検討している方は、メガバンク等の都市銀行やフラット35が主な候補となってきます。



金融機関によってはリフォーム費用は500万円までなどと、借入額に制約があるようなケースもありますので、事前にチェックしましょう。

■まとめ



住宅ローンにはものすごくたくさんの選択肢があり、全ての金融機関の商品の内容を理解して選ぶのはとても大変です。



まずは自分が普段利用しているメインバンクや、興味のある金融機関を2〜3程度選んで、事前審査(仮審査)を通してみると良いでしょう。今はインターネット上で事前審査を申し込める金融機関が増えてきましたので、比較的簡単に審査を申し込むことができます。



また、住宅ローンに詳しい不動産会社の営業マンやファイナンシャルプランナーさんに相談してみるのも一つの方法です。



不動産会社などによっては自社に紹介料が入ってくる金融機関ばかり積極的に紹介される…といったことも考えられますので、最後は自分自身で確かめて、後悔の無いように選ぶようにしましょう。



足立 淳 あだちじゅん 東京・恵比寿にある小さな不動産会社「サムタイムズ」代表。日々、お客様の上質な中古物件探しと信頼できるリフォーム会社の紹介を行っている。これまでに延べ1,000組以上のお客様の住まい探しをサポート。自身でも築35年のヴィンテージマンションをリノベし、家族4人で暮らしている。北欧ヴィンテージ家具と観葉植物をこよなく愛する。 この著者の記事一覧はこちら(足立 淳)

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