投げるのを「やめる勇気」…ヤクルト・丸山翔大に先輩右腕が伝えたこと【夢追うツバメたち】

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2023年07月21日 18:12  ベースボールキング

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ヤクルト・丸山翔大 (C) Kyodo News
◆ 第45回:1年間投げ抜くために

 一軍で初めての夏を乗り切る。後半戦に向けてさらなる戦力として期待がかかるのが、ヤクルトのプロ3年目・丸山翔大だ。

 今年の4月29日に育成から支配下登録された。試合を好転させるために大事なロングリリーフの役割を担う24歳の右腕は、ここまで17試合に登板して防御率3.86という成績を収めている。

 支配下登録された日に、即一軍に昇格。リーグ連覇の原動力となったリリーフ陣の仲間入りを果たした。初めての経験を重ねていく中で、先輩たちは「みんな優しくて、聞いたら答えてくれる」と話す。


 丸山翔と同じポジションで経験を積んできたプロ4年目の右腕・大西広樹は、1年間投げ抜く上で大切なことを後輩に伝えた。

 「(丸山翔は)投げるのが好きなので。やっぱり投げることをずっとしていると、中継ぎは1年間いてなんぼなので……」。

 ロングリリーフを任せられる上で、どのように準備したら良いのか。チームを支える重要なポジションの仲間だからこそ伝えたい思いがあった。

 「ロング(リリーフ)をやっている以上は、やっぱりいつ行くかわからない。準備がいっぱい多くなることもありますし、そういうところを踏まえると、やっぱり毎回毎回、全力で(肩を)作っていても、試合になってパフォーマンスが落ちてしまう」。丸山翔は、先輩のこの助言を胸に気持ちを新たにした。

 「自分の感覚が違うなと思った時に投げ過ぎちゃったりする。大西さんからアドバイスをもらってからは、きっぱり(投げるのを)やめる勇気というか、『今日はしょうがない、こういうもんや』と……」

 これまでは自身が納得するまで投げ込んでいた。今では「逆に投げない」ことも大切だと肝に銘じている。


◆ 仲間との結束

 2020年育成4位から這い上がり、一軍の舞台を踏みしめた丸山翔。同期にはドラフト1位で同じリリーフの木澤尚文がいる。

 木澤は「1年目から戸田で切磋琢磨した仲なので、やっと2人でスタート地点に立てたなというのはあります」と、同級生への思いを述べた。

 ブルペンの仲間ではあるが、競い合い高め合うことで、チームはより活性化する。そして、絆はさらに強くなっていくだろう。


 投手キャプテンの田口麗斗からは、球数やトレーニングを含めて「年間を通して体を作らないといけない」と、アドバイスを受けている。

 自身でも「脱水にならないように水をいっぱい飲んで寝る。疲れてくると食欲が落ちちゃって1回に食べる量が減っちゃうので、1回に多く食べずに回数を増やす。食事量をトータルでキープして体重を落とさないように」と、暑い夏を乗り切るための工夫を施す。


 身長194センチの大型右腕は、自分自身を「人見知りなので」と話す。だが、チームメイトの助言を聞き入れ、それを体現しようと努力を重ねている。そして、チームの姿勢や雰囲気も一軍にいることによって肌で感じることができている。

 「田口さんが僕らをまとめてくれていると思いますし、ピッチャーの中でも先発ピッチャーが苦しいときは何とか中継ぎで助けられればいいと思います。中継ぎがしんどいときは先発ピッチャーが助けてくれると思う」

 さらに「野手が苦しいときはピッチャーが頑張ろう、ピッチャーが苦しいときは野手が頑張ろうという感じの声かけ、雰囲気は感じるので、あとはそこがうまいことはまってくれればいい」と、チームの思いを代弁した。

 リーグ連覇につながった結束力は失われていない。丸山翔の言葉のように、チームは逆襲へ思いをひとつにする。背番号「68」が、それに向けた大きなピースとなる。


取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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