セカンドキャリアも充実…サッカー界以外で活躍する元スター選手たち

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2023年08月30日 15:35  サッカーキング

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サッカー界以外で活躍する元スター選手たち [写真]=Getty Images
 食生活の改善や科学的データに基づいたトレーニング法の導入などにより、アスリートの選手生命は伸びている。16歳でプロデビューを果たしたジェイムズ・ミルナーは、37歳の夏にリヴァプールを退団し、クラブ史上初のヨーロッパリーグ出場権を得たブライトンと契約を結んだ。9月で39歳となるブラジル代表DFチアゴ・シウヴァは、2022−23シーズンのチェルシーの年間最優秀選手に選ばれている。30代後半になっても衰えを見せない選手は珍しくなくなってきた。

 とはいえ、多くの選手にとって現役を終えた後の人生の方が長いことに変わりはない。監督やコーチ、クラブのフロント、またはテレビ解説者といったサッカー関連の仕事に就けるのは、その中の一部に過ぎない。

 そこで今回は、サッカー選手のセカンドキャリアに注目。サッカー界とは離れた分野で活躍する5人を紹介する。

[写真]=Getty Images

■スン・チーハイ(45歳)



 中国人として初めてプレミアリーグでプレーをしたスン・チーハイは、実業家に転身していた。

 2002年2月に当時2部リーグで戦っていたマンチェスター・シティに加入し、プレミア昇格に貢献した元中国代表DF。同クラブがアブダビ・ユナイテッド・グループ(ADUG)に買収される直前の2008年夏まで所属し、公式戦151試合に出場した。FWアーリング・ハーランドの父、アルフ・インゲともチームメイトだったスン・チーハイは、シェフィールド・ユナイテッドで1年プレーをした後に中国へ帰国。2016年に北京人和で現役を退くと、『HQスポーツ』というスポーツメディア、テクノロジー、“データテイメント(データ+エンターテイメント)”の提供を目的としたスポーツデータ会社を共同設立。中国で自身のトーク番組を持つスン・チーハイは、番組内で自社の提供するアプリの宣伝も行っているという。なお、このアプリに投資する企業の一つ、『チャイナ・メディア・キャピタル』は、シティ・フットボール・グループ(CFG)の株を13パーセント購入済みだそうだ。

 手がけるビジネスの価値は2000万ポンド(約37億円)を越えると評価されているスン・チーハイだが、将来的にはもっと中国のサッカー界に貢献したいと考えている様子。過去にイギリスメディア『The Times』で受けたインタビュー内では「私の夢の一つはフットボールの指導者の為の教育プログラムを作り上げること。今は別の分野で仕事をしているが、将来的にはより直接的な方法で中国のフットボールの為に何かがしたい」と力強く語っていた。

■ロブ・ハルス(43歳)



「フットボールの後にも人生がある。情熱を注げる何かを見つけておく必要がある」と現役プレイヤーたちにアドバイスを送るのは、フィジオセラピストの道を選んだロブ・ハルスだ。

 クルー・アレクサンドラでキャリアをスタート。ウェスト・ブロムウィッチ、リーズ、シェフィールド・ユナイテッド、ダービーと渡り歩き、2013年にQPRで現役生活の幕を閉じた元プレミアリーグのストライカー。そのうち4つのクラブで年間最優秀選手に選ばれるほどファンから愛されたハルスだが、華やかな世界に未練はなかったようだ。

 引退後にPFA(イングランドプロサッカー選手協会)の補助金制度を利用し、サルフォード大学でフィジオセラピー(理学療法)の学位を取得。主席で卒業した後はイギリスの国民医療サービス(NHS)のフィジオセラピストとして活動している。2020年にはFIFPRO(国際プロサッカー選手会)の公式サイトで、脚の切断手術を受けた患者や、高齢者の歩行練習をハルスがサポートしている様子が紹介された。現役時代からフィジオを目指すことを決めていたというハルス。「フットボールのプレーだけで自分の人生を決められたくなかった。最高の思い出はいくつもあるし、素晴らしい時間を過ごしたけど、引退した後の時間は長いからね」と理由を説明。脚の骨折を含め、自身もケガに苦しんだ経験を持つハルスの存在は、リハビリを受ける人たちにとって大きな励みとなっているはずだ。

■バカリ・サニャ(40歳)



 偶然の出会いがバカリ・サニャに“新たな挑戦”を突き付けた。

 アーセナルでプレーをしていた2007−08と2010−11シーズンにはPFAベストイレブンにも選ばれた元フランス代表DF。2014年からは3年に渡ってマンチェスター・シティで活躍。現役キャリアはMLSのモントリオール・インパクトで幕を閉じた。

 引退目前の2019年11月、サニャに運命の出会いが訪れた。電車で隣に乗り合わせたフランス『Gravipack』社の創始者、ハメド・エラフィ氏と意気投合した元右サイドバックは、同社に22万ポンド(約4060万円)の投資を行うことを決断。同氏が考案した無重力リュックの宣伝にも協力することになったのだ。

 2022年には揃ってテレビ出演し、“プロモーション”ハイキングを披露した両者。エラフィによれば、当初サニャは無重力リュックの開発を笑い飛ばしたそうだが、詳しく話すうちに投資を決めてくれたのだとか。「フットボールを終えた自分にとってこれは最大のチャレンジ」だと口にしたサニャは、新たな世界で奮闘中のようだ。

■ヘンリク・ペデルセン(48歳)



 飲食店を経営する元サッカー選手は少なくないが、自らがライバルチームのサポーターに給仕をするスターは珍しいだろう。

 2001年から6年間、ボルトンでプレーをした元デンマーク代表FWヘンリク・ペデルセンは、2012年にキャリアをスタートさせたデンマークのシルケボーで現役を引退。指導者の道を見据えてUEFAのコーチング・コースを受けた時期もあったが、最終的には別の道を選んでいた。シルケボーで『Målet(ゴールの意味)』という名のスポーツバーをオープンしたペデルセンは、同地でレストランも経営しているという。

 昨年9月にはヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)でシルケボーと対戦したウェストハムのサポーターがペデルセンのバーを訪れ、同氏から直接ビールをサーブしてもらう様子がSNSで公開されて話題となった。というのも、ウェストハムのサポーターはペデルセンに苦い思い出があるからだ。

 2002−03シーズンのプレミアリーグ。当時、デイヴィッド・ジェイムズ、ジョー・コール、ジャーメイン・デフォー、マイケル・キャリック、トマシュ・レプカ、パウロ・ディカーニオといったスター選手を揃えていたウェストハムは最終的にボルトンと勝ち点2差で降格することに。当時のボルトンで最多スコアラーの一人に名を連ねていたのがペデルセンだった。『Målet』でペデルセンから接待を受けたサポーターは「降格させられたことはこれで許すよ!」と10年越しの和解を報告したのだった。

■ユネス・カブール(37歳)



 現役時代、主にイングランドでプレーをした元フランス代表DFは、ベルギーで介護施設を経営しているという。

 2007年にオセールからトッテナムに加入したユネス・カブールはファンデ・ラモス当時監督の構想から外れ、わずか1年でハリー・レドナップ率いるポーツマスへ移籍。2010年1月にレドナップが監督に就任していたトッテナムに戻ると、2015年まで同クラブでプレー。その後はサンダーランドとワトフォードを経て、2018年に現役引退を発表した。

 2021年にトッテナムの公式サイトに掲載されたインタビューで自らの第二の人生について語ったカブール。ベルギーで精神障害を抱える人たちの為の介護施設を経営していることを明かした。「自分はサッカー人間だけど別のことにも挑戦したかった」と語ったカブール。「新しい世界は介護の世界だ。ベルギーで精神障害を抱える人たちのケアホームを経営している。ビジネスパートナーが常在していて、僕自身もかなり実務に関わっている。頻繁に足を運んでいるよ」と名ばかりの経営者ではないことを説明。「すごく楽しんでいるよ」と充実した様子をうかがわせていた。

(記事/Footmedia)

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