9.11から22年、今井雅之さんの『THE WINDS OF GOD』「再び公開したい」受け継がれた平和への願い

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2023年09月13日 16:10  週刊女性PRIME

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今井雅之さん

「今井が残した作品を現代の品質に作り替えて、再び公開したいと思っているんだ」

 そう話すのは、映画『らせん』『アナザヘヴン』などの監督で、ドラマ『NIGHT HEAD』の原作・脚本・監督、『沙粧妙子−最後の事件−』『ギフト』の脚本を務めるなど、多彩な活躍を続ける飯田譲治氏だ。

舞台でアメリカ人を泣かす日本人

 今井とは、今年で亡くなって満8年が経った俳優の今井雅之のこと。飯田と今井の出会いは1988年。飯田が仕事でアメリカに渡った際、今井がちょうどロスで脚本、演出、主演を務めた舞台『THE WINDS OF GOD』を上演していた。

「日本人が戦争を題材にした舞台をロスで上演して、それをアメリカ人が観て泣いてるって現地で聞いて“スゲー日本人がいるんだな”と。そんときは時間が合わなくて、舞台を見に行けなかったんだけど、今井雅之の名前だけは聞いていた」(同・飯田、以下同)

 その後、飯田が脚本・演出するドラマに今井が出演したことで意気投合。プライベートでも仲良くなっていったという。そんな今井が生涯をかけて心血を注ぎ続けた作品が『THE WINDS OF GOD』だった。

 特攻隊をテーマにした今井作の戯曲で、物語の主人公は、売れないお笑い芸人コンビ。ある日、交通事故にあって、気がつくと第二次世界大戦終戦間際の神風特攻隊基地へとタイムスリップしていた。2人の身体は特攻隊隊員と入れ替わっていて……というもの。

「舞台はとくに国外での評価が高くて、ニューヨークの国際連合本部内ホールでも上演されたほど。日本人として誇れる作品なんだよ」

 1995年に小説化、映画化され、2006年には今井が国際映画として上映するために全編英語で作り直している。原作・脚本・監督・主演の4役を務め、世界に唯一現存する零戦を使用するなど、リアリティにこだわった。

「いま見ても、よくできてるなって思う。でも当時の興行はボロボロで……あまり多くの人が見られる環境にない映画だった」

 飯田は今井雅之という俳優の存在を日本人にもっと知ってほしい、という。

世界中に公開しても恥ずかしくない作品

「今見ると貧しく見えるCGを現在のレベルに変えるだけでも、世界中に公開しても恥ずかしくない作品になり得ると思っている。この映画には不思議な力があるんだ」

 今井がもっともこだわったのが、映画の最後に登場するニューヨーク・グラウンドゼロでのロケ撮影。映画制作時はテロが起きて間もなかったため、グラウンドゼロには報道のカメラしか入れなかった。だが、今井が半年かけて交渉に交渉を重ね、たった2時間だけだったが、エンターテイメントのカメラとして初めてグラウンドゼロで撮影が行えたという。

 9.11が起きて今月でちょうど22年。今井の平和への願いは繋がっていく−−。

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