奥平大兼『最高の教師』星崎透という役と一体化して感じる複雑な心境「悲しかった」

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2023年09月16日 11:11  TVerプラス

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松岡茉優さん主演のドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系、毎週土曜22:00〜)の第9話が9月16日に放送されます。

本作は、卒業式の日に“生徒の誰か”に突き落とされた高校教師・九条里奈(松岡)が、1年前にタイムリープし、真相を突き止めるために3年D組の生徒と本気で向き合っていく学園ドラマ。なお現在民放公式テレビ配信サービス「TVer」では、最新話に加え、第1話〜第3話、ダイジェスト動画、オリジナルコンテンツが配信中。また、クロスオーバー作品の『最高の生徒 〜余命1年のラストダンス〜』も配信されています。

九条が受け持つ3年D組の星崎透(奥平大兼)は、謎が多く、掴みどころがない生徒。隠し撮りしている点をはじめ、不穏な動きも多く、九条を殺した容疑者の一人として注目を浴びています。

奥平さんから見た『最高の教師』はどんなドラマなのか――。星崎に対する思いや松岡さんの印象、さらには、視聴者の心を震わせた第8話について語っていただきました。インタビューで感じた熱量をそのままお届けします。

星崎を演じて“生まれなかった”感情

――謎が多く、視聴者も注目している星崎について、奥平さん自身は、どう捉えていらっしゃいますか?

おっしゃっていただいた通り、物語をかき乱すし、どこか“この子怪しいんじゃないかな”と思わせる謎のキャラクターではあると思うんですが、個人的にはそう演じようとは思っていなくて。

じつは、クランクインする前、プロデューサーの福井雄太さん、監督(演出)の鈴木勇馬さんと、星崎についてお話する機会があった時に「こういう現場だから、みんな自分の役に対していろいろ背負ってくるし、いろいろなことを考えてくると思うけど、星崎は何も考えなくていい」「演出の方は、こっちでやるから」と言われたんです。

お二人とは、『サヨウナラのその前に』(『ZIP!』内で放送されたドラマ)以来2度目で、信頼関係もあるので、きっといい演出をしてくださると思いましたし、スタッフさんにお任せして、自分は自由にお芝居をしようと思いました。

だから僕は、あの現場である意味一番気楽というか、いつも通りというか。“お芝居しているのか?”というほど、“自分自身”でいても大丈夫な役。クラスで重いシーンを撮っている時も、僕は関係なしにその場にいて……。だからこそ、(星崎が)ちょっと浮いているように見えるのかなと思います。

――これまで放送された中で、奥平さんが印象に残ったシーンを教えてください。

(前回放送された)第8話ですね。最近撮ったばかりなんですが、3年D組のボス的存在だった相楽琉偉(加藤清史郎)が、クラスに向けて、亡き鵜久森叶(芦田愛菜)に向けて、訴えるシーンを撮っていた時に、すごく辛かったことがありました。

僕も約3か月間、同じクラスメイトとして相楽を見てきたので、彼が打ち明けるシーンは、僕自身はすごく感動できるなと思ったのですが、“星崎”としては何も思わなかったというか……。

――と言うと?

星崎は、ちょっと達観している子なので「相楽が訴えている」というよりも、「そういうことが起きている現場」として見ているから、感動が薄れてしまうんです。その時に、自分の中で人間味がなくなっていると自覚して、ちょっと悲しくなりました(笑)。(一方で)星崎の気持ちがよく分かってきているのかな、とも思うので、すごく複雑で……。

第2章に入ってから、クラス全体として鵜久森の死と向き合っているんですが、 星崎はまた違った観点から向き合っているので、クラスの一員ではないような感覚がある。星崎としてはそんなことどうでもいいんですが、奥平大兼としては、ちょっと悲しいな、というのが印象的でした。

――視聴者としては、毎話号泣しています(笑)。

本当にそうなんですよ! 僕も毎回家で見ていて泣けるんですが、やっぱり現場となると、何も感じないのが結構辛くて。それが顕著に現れたのが8話だったのかなと思います。

――星崎に関連するシーンで印象的な場面を教えてください。

第4話で、鵜久森、東風谷葵(當真あみ)、阿久津由利(藤崎ゆみあ/※崎は「たつさき」)とおでかけして、途中から、栖原竜太郎(窪塚愛流)、浜岡修吾(青木柚)と合流するシーンがあるんですが、星崎が無邪気に楽しんでいて、可愛らしい場面が見られた4話は印象的でした。

考察だけではないドラマの魅力

――『最高の教師』は、奥平さんにとってどんな作品ですか?

『サヨウナラのその前に』の時からそうなんですが、このチームは、作品に対して本気なんです。鵜久森の死に対しても本気で向き合おうとしていて、“お芝居って泥臭い方がカッコいいな”と思うようになりました。

出会いに関して言うと、松岡さんやスタッフの方はもちろん、今後、この現場以外で一緒になる可能性が大いにある29人のクラスメイトと出会えたことはすごく大きいことでしたし、嬉しかったことです。

――この作品を通して、奥平さんが伝えたいことはありますか?

僕が言っていいことなのか分からないのですが、この作品って考察が盛り上がっているじゃないですか。もちろんそれはドラマ側が用意したものなので、それを楽しんでくれるのはとても嬉しいんですが、それだけで終わってほしくないというか。もっとドラマの本質的な部分を見てほしい気持ちがあります。

このドラマは、タイムリープ以外に関しては、現実世界に起きてもおかしくないことが多いんです。ただひとつ違うとすれば、現実世界の人たちが勇気が出なくてできないことを、このドラマの世界の人たちはやっている、ということ。

自分もクラスの一員になったつもりで、勇気を持って必死に行動している生徒たちを、“疲れない程度に”見届けてほしいなと思います。

――やはり、視聴者のみなさんが、“どのように感じているのか”は気になるものですか?

そうですね。クランクインする前から、世の中に訴えかける作品ではあるなと思っていました。(同じチームで制作された)『3年A組―今から皆さんは、人質です―』は、SNSをテーマに、世の中に訴える作品だったと思うんですが、僕ら自身は、その作品をあまり意識はしていなくて。ただ、コロナを挟んだこともあって、(当時よりも)時代は変わってきていると思うんです。時代が変わるスピードが早い、と実感している中で、学校生活や学生のこと、世の中のことなど、“今”に対して、訴える作品だなと思いました。

もちろん、ドラマとして楽しむのが一番ですが、特に第2章からは、学校内で完結できる問題ではないものを扱っているので、そこに注目して見ていただけると、より物語への理解が深まるのかなと思います。悲しいお話ではありますが、いろいろ考えるところがあるのかなって。

――松岡さんから吸収するものもあるかと思います。松岡さんと対峙してみて、どんなことを感じていますか?

“先生”として、まっとうしようとする姿がカッコいいです。生徒の中には、僕も含めてこのお仕事を始めて間もない子や、初めての現場だという子もいるので、大人数の芝居だと大変なこともあるんです。

そこを松岡さんが汲み取って、監督と話し合ってやりやすくしてくださったり、生徒の芝居を生き生きとさせる演技をしてくださったりして、すごく嬉しいです。役者の先輩としてはもちろん、相手の芝居を助ける芝居ができる人ってカッコいいなと思いました。

――現在19歳の奥平さんは高校時代、すでに俳優としてお仕事をされていましたよね。

高校2年の時にはデビュー作が公開されて、そこからありがたいことに作品に出させていただいていたので、学校に行く頻度が少なくなったんですよ。でも、僕の通っていた学校は、中高一貫なので、久しぶりに学校へ行ってもみんな変わらないし、行きにくいこともありませんでした。学校に行くと、普通の子に戻れる感覚もあったので、そこはすごく楽しかったですし、いい思い出だなと思います。

――最後に、視聴者の方へのメッセージも含め、9話以降の見どころを教えてください。

この物語の最大の謎である「九条先生を殺したのは一体誰なんだ」というところにも繋がる可能性があるので、8話での相楽や、9話でクローズアップされる子などを、ただの悪者として見ず、1人の生徒として見てほしいなと思います。

先生を殺したのは誰なのか、その子がどんなことを言うのか、九条先生のおかげで、成長した3年D組の子たちの姿も含め、卒業まで見届けてほしいです。

取材・文:浜瀬将樹

<第9話あらすじ>
鵜久森叶(芦田)の事件の後で雲隠れしていた浜岡修吾(青木)を、迫田竜輝(橘優輝)たちが発見。「事件の日……なんで学校にいたんだ?」……問い詰める迫田に、浜岡は人に頼まれたからだと答える。その人物は、3年D組の「ある生徒」だと言う。その人物の依頼で学校へと侵入したと告げる浜岡。その真偽は――。

迫田らの報告を受けた九条里奈(松岡)は、学校に忍び込んだ浜岡が鵜久森にとって“誰にも知られたくない何か”を見つけたのではないかと推察。鵜久森が命を燃やして守ろうとしたのは、一体何だったのかと頭を巡らせることに。

翌日、九条と3年D組はその「ある生徒」から直接を話を聞こうとするが、その人物は登校をしなかった。

その時、九条の頭を“最悪”の状況がよぎる……もしもその人物が罪の意識に苦しめられ、絶望していたとしたら……。慌てて教室を飛び出し、捜索に走る九条。生徒に“最悪の終わり”を選ばせては、絶対にいけない……! 九条と同じ思いのD組全員も教室を飛び出して――!

ついに、一つの事件の「真相」へと迫る第9話。人は、その罪をどう背負うべきか。償うべきか。そして、命を燃やした生徒は、最後にどんな「顔」をして過ごしたのか。一つの罪の真理に迫る。
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