『ゴールデンカムイ』実写化は難しい? 原作ファンが不安視する「チタタプ」や「ヒグマ戦」の再現

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2023年09月17日 07:00  リアルサウンド

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PRISMA WING ゴールデンカムイ 杉元佐一 1/7スケール 完成品フィギュア ©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

 『ONE PIECE』や『キングダム』など、マンガを原作とした実写化企画が続々成功を収めている。その流れのなか、2024年1月19日には人気マンガ『ゴールデンカムイ』が実写化される予定だが、同作はどれほどのヒット作になるだろうか。


(参考:【写真】『ゴールデンカムイ』「不死身の杉元」のリアルすぎるフィギュアをみる


  期待が膨らむ一方、原作ファンの視点からすると、「実写化が難しいのではないか」と感じてしまう要素も少なくない。制作スタッフの手腕が問われる作品となることは間違いないだろう。


  そもそも『ゴールデンカムイ』は、北海道を舞台とする金塊争奪戦の模様を描いた作品。登場人物には軍人とアイヌ民族の人々、死刑囚たちが入り乱れるのだが、とくにアイヌ民族に関してはその伝統文化に踏み込んだ描写が行われている。


  作者・野田サトルがアイヌ民族を描く上でこだわっているのが、食文化のリアリズムだ。主人公・杉元佐一の相棒となるアイヌの少女・アシリパ(※正式表記は「リ」が小文字)は、旅の道中で野生動物の狩猟を行い、杉元に初体験のアイヌ料理を提供していく。


  そのなかでもっとも有名なものといえば、「チタタプ」が挙げられるだろう。これは新鮮な獲物の肉を刃物で細かく刻んだ、一種の“たたき肉”料理だ。


  たとえば杉元とアシリパが出会って間もない頃、罠で捕らえたリスをチタタプにするエピソードがあった。ここではリスの皮をはぎ、内臓を取り出すところがリアルに描写されており、アイヌの食文化を正面から描き出そうとする意気込みを感じさせる。


  アシリパが自然の恵みに感謝しつつ、動物の全身を余すことなく食材にすることも印象的だ。生き物の命を決して無駄にしない姿勢から、リスの脳みそやウサギの目玉、エゾシカの気管といった珍味も食されている。


  ときにその調理シーンは、現代の都会で生きる人にとってショッキングなものに映るだろう。第63話では、扉絵で描かれたかわいらしいアザラシを、アシリパが棒きれで仕留め、解体して鍋にするエピソードがあった。コミカルでありながら作中屈指の名シーンだ。


  しかしこうした食文化の描写をそのまま実写化するのは、難しいかもしれない。マンガなら多少衝撃的なシーンでも受け入れられるだろうが、実写にするとインパクトが強くなりすぎるからだ。もちろん『ゴールデンカムイ』の見どころの1つではあるので、何らかの形で再現してくれることに期待したい。


■最強キャラ・ヒグマとの戦いは?


  また、『ゴールデンカムイ』で生々しいのは食事シーンだけではない。戦闘シーンにおいても、野生の厳しさがリアルに表現されている。とくに、ヒグマとの戦いはその象徴と言えるだろう。


  ヒグマはアイヌ文化を語るうえで欠かせない存在、“神”に類するものとして描かれており、ときに人間との激しい戦いを繰り広げる。たとえば第10話、ヒグマが第七師団を襲撃した際には、甚大な被害を生んだ。


 その鋭い爪と牙は一瞬にして玉井伍長の顔面を丸ごとはがし、ゾンビのようにした上で、野間のはらわたをこぼれさせる。あまりに凄惨な表現に、ヒグマの恐ろしさが脳裡に焼き付けられるシーンだ。


 このヒグマとの戦いはグロテスクすぎるためか、アニメでは比較的マイルドな表現に変更されていた。実写ともなれば、なおさらそのまま再現することは難しいだろう。ほかにも作中では、とことんリアリティにこだわった戦闘描写が頻出するため、実写版スタッフの頭を悩ませることになりそうだ。


  とはいえ、原作とは異なる方法で作品のテーマを表現するのが、メディアミックスの醍醐味でもある。『ゴールデンカムイ』がどんな映像作品となるのか、公開の日を楽しみに待ちたい。


(文=キットゥン希美)


このニュースに関するつぶやき

  • 劇中劇としてアシリパ監督の「パナンペ・ペナンペ物語」を実写で再現するんだ
    • イイネ!1
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