名言ななめ斬り! 第58回 吉永小百合「自分で決めたことなら結果は自分の責任、反省はしても後悔はしない」-“清純派”の称号は真に強い女性しか背負えない

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2023年09月19日 10:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
今年6月に起きた女優・広末涼子の不倫騒動。国民的アイドルの不倫だけに大騒ぎとなりましたが、気の毒だなぁと思ってしまうのが、女性芸能人だけが課せられる“清純派”という奇妙な呼び名なのでした。清純派とは老若男女を魅了する容姿を持ち、誰に対しても親切だけれど、貞操観念がしっかりしているため、男性に言い寄られても簡単に深い仲にならないことを指すと思われます。……が、そんな人って実在すると思います? 映画なんかで素敵な俳優さんと共演したら、恋くらいするでしょう。自分から「私は清純派です」と言ったわけではないのに、女性芸能人は「ありえない役」を背負わされて、不倫のように非清純な行動が明るみに出ると、ボッコボコに叩かれる。なんて大変なのでしょう。



そんな中、ずーーーーと清純派のイメージを崩さない女優がただ一人。吉永小百合サマです。今日は小百合サマによる「夢の続き」(集英社文庫)をもとに、彼女の人生をなぞっていきたいと思います。


○東大法学部卒の父と、ピアノ教師の母を持つ小百合サマは15歳で日活へ



小学校の学芸会で演じる楽しさに目覚め、11歳でラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビュー、15歳で日活に入った小百合サマ。演技が好きだったこともあるでしょうが、家庭環境も影響していると思われます。東大法学部卒のお父さんと、ピアノの先生をお母さんに持ち、東京・山の手に生まれた小百合サマ。何不自由ない生活を送っていたと思われがちですが、お父さんが会社経営に失敗して、生活は困窮。家の米びつがカラだったこともあったそうです。



名門都立高校に入学した小百合サマですが、契約により、映画に多数出演することになります。あまりの忙しさに高校に通えず、ある程度融通の利く私立校に転校しますが、それでも学校に通えず、中退しています。高卒資格を取って、早稲田大学の二部に進学した小百合サマですが、この時も授業に参加するのは大変で、授業中に眠らないように手の甲をつねっていたそうです。



睡眠時間や勉強、友人と過ごす時間を犠牲にして、小百合サマはスターの階段を駆け上がっていきます。スターになれば、経済的にも家族を助けることが出来て嬉しかったことでしょう。しかし、いいことばかりではなかったようです。同書には小百合サマと女優・樹木希林さんの対談が収められていますが、希林さんは、小百合さんが映画会社と家族にはさまれて、がんじがらめになってかわいそうだったと話しています。

○16歳の小百合サマ、日活から「21歳まで結婚はするな。オトコを知ってもいかん」と命じられる

当時の風潮として、女優の恋愛がバレると男性ファンが逃げてしまうから、恋愛をしてほしくない。元日活常務の江守清樹郎氏は、16歳の小百合サマに「21歳まで結婚はするな。オトコを知ってもいかん」と命じますが、いざ21歳になると「26歳までだめだ」と再度延長を申しつけたそうです。適当だな。小百合サマのご両親は娘が結婚をして仕事をやめたいなどと言い出したら困るので、小百合サマに恋愛や結婚をしてほしくない。小百合サマとある俳優はお互いに結婚するつもりでいたそうですが、ご両親の反対にあい、泣く泣く別れたといいます。



10代後半からずっと続いている殺人的な忙しさ、破局、両親への不信。小百合サマはストレスのために、声が出なくなってしまいます。その時にいろいろと相談にのってくれたのが、15歳年上の離婚歴ありのテレビプロデューサーでした。小百合サマは両親にバレないように交際し、自分から結婚したいと迫ったそうです。2018年放送の「祝43年目突入! 徹子の部屋 春の最強夢トークスペシャル」(テレビ朝日系)に出演した小百合サマは、ご両親は結婚に大反対だったこと、そのため、結婚式にも来てもらえなかったことを明かしています。しかし、結婚して仕事を一年休んで、料理や洋裁をするなどフツウの生活をした小百合サマは、声と共にメンタルの健康を取り戻していくのでした。

○セリフに納得がいかず監督に直談判した小百合サマ



「夢の続き」では、小百合サマらしからぬエピソードが明かされています。セリフに納得のいかなかった小百合サマは、セリフを変えるように監督に願い出て、撮影はストップ。監督の立場から考えてみると、いくら日本を代表する女優とは言え、女優に指図されるのはいい気分がしないでしょう。単なる固定観念ですが、樹木希林さんのような個性派俳優が「セリフを変えて」と監督に詰め寄って、撮影を中断させてもそれほど驚きませんが、清純派の小百合サマが同じことをしたと聞くと、なんだか意外で「実は裏があるのかも、怖い人なのかも」という気がしてしまう。やはり、清純派というカテゴリは、女優のクビを絞めてしまうように思えてなりません。

○吉永小百合の名言「自分で決めたことなら結果が良くても悪くても自分の責任で、反省はしても後悔はしない」


そんな小百合サマの名言は、「自分で決めたことなら結果が良くても悪くても自分の責任で、反省はしても後悔はしない」です。スターにふさわしい扱いをうけてきたであろう小百合サマですが、清純派であるが故に、あれこれ行動が制限され、無責任な命令を受けたであろうことは、想像に難くない。小百合サマが今も清純派の看板を背負えているのは、そういった戦いを勝ち抜いてきた証でもあり、清純派というのは真に強い女性しか背負えない称号なのかもしれないと思うのでした。



仁科友里 にしなゆり 会社員を経てフリーライターに。OL生活を綴ったブログが注目を集め『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。「間違いだらけの婚活にサヨナラ」(主婦と生活社) が異例の婚活本として話題に。「週刊女性PRIME」にて「ヤバ女列伝」、「現代ビジネス」にて「カサンドラな妻たち」連載中。Twitterアカウント @_nishinayuri この著者の記事一覧はこちら(仁科友里)
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