【漫画】“プロの仕業”すぎるバトル漫画がSNSで公開! 妖しい異能ひしめく『依代狩り』が面白い

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2023年10月17日 07:11  リアルサウンド

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『依代狩り』より

 バトル漫画は漫画誌の華だが、それだけに作品数も多く、読者の目を引くのは簡単ではない。そんななか、9月中旬にX(旧Twitter)に投稿された『依代狩り』は、アイデアと美しい作画に優れ、漫画ファンを魅了するポテンシャルのある作品だ。


(参考:『依代狩り』を読む


 能力が宿った武器や物、通称“依代”を持つ者が各地で暴れまわっている世界。そんな依代を持つ1人の葉桜刹那は、とある理由で町奉行から逃げ回る日々を送っている。なんとか追手が来なさそうな土地を訪れたものの、依代を収集している組織に目をつけられてしまい――。


 2年前に漫画アシスタントをしていた時に本作を描いたと話すのは、作者の土井那羽さん(@_Do_it_now_0)。現在は『週刊少年マガジン』(講談社)で連載中の『KIMURA CLASS』において作画を担当しており、『依代狩り』でも抜群の筆力を見せている。下積み時代に制作された貴重な本作、どのようにして描かれたのかなど話を聞いた。(望月悠木)


■とにかくバトルシーンが描きたかった


――なぜ『依代狩り』を制作しようと思ったのですか? 当時の状況を教えてください。


土井:実は「週刊少年ジャンプ」(集英社)の掲載を目指して制作していたネームが通らなかったのですが、「週刊少年マガジン」の第108回新人漫画賞受賞作にそのネームをペン入れしたものを応募してみました。


――結果はどうだったのですか?


土井:もともと『依代狩り』ではただ単にバトルシーンが描きたくて、また当時は和に関するものも好きだったので、かけ合わせて作りました。ですので、そこまでストーリーは練ったものではなかったのですが、それが佳作に選ばれたので驚きました。


――依代(能力が宿る武器)をメインにした物語でした。


土井:『ONE PIECE』や『僕のヒーローアカデミア』のような能力バトル系の作品に憧れがあり、「これこそが少年漫画だ!」と勝手に思っています。ステージをあまり変えず、主要キャラは少ないほうが読みやすいと思い、大まかなストーリーは“敵アジトでバトル→決着”という感じになりました。


――バトルシーンが多かったですが、刹那といろはの性格や個性もしっかり感じられました。キャラ作りで意識したことは?


土井:まず刹那の性格はクールで強敵にも怖気づかないカッコいい性格にしたくて出来上がったキャラです。ビジュアルはウルフカットが流行ってたので取り入れて、服は和服デザインにハマっていてその中の一つを採用しました。いろはの性格は自分でもよくわかりませんが、弱い・優しいキャラという感じに。ビジュアルは下を履いてるかわからないようにしたくて、オーバーパーカーのような服を考案しました。


――主人公は剣や拳を使う武器のイメージが強いです。ただ、刹那は蹴りをメインにした戦い方でしたが、この戦い方を採用した理由は?


土井:主人公が刀を持つことはよくあるので、あえて外しました。また、刀や拳ですとどうしてもスピードに限度があり、自分のやりたいことができなかったので足をメインにしました。自分の中では、“怪力=カッコいい”ではなく“速い=カッコいい”と思っています。


――だから刹那の依代を下駄にしたと。


土井:そうですね。和を感じられて足に使う道具と言えば下駄かなと。


――武器で言うと、穂先の依代が筆だったことも斬新でしたね。


土井:「主人公が自分を使って戦う中、頭は動かず身の回りの物を操って戦うのは敵のトップらしい能力だな」と思いました。“依代は武器に能力が宿るのではなく物に宿る”という設定ですので、扇子や提灯など視野を広げた結果、筆にたどり着きました。


■「こいつ強い」と思ってもらえた


――ストーリーについてですが、「バトルシーンを描きたかった」と話していた通り、ページ数はそれほど多くないのですが、2度の戦闘シーンが描かれていました。


土井:はい。バトルシーンのみが描きたくて描いた漫画ですので、自分も読者も飽きないように情報量もセリフも少なくして、気軽にパラパラ読める漫画になるように仕上げました。また、目に留まるシーンも描いたつもりですので、作画でも楽しんでもらえたら嬉しいです。


――戦闘シーンは激しさがありながらも静寂もあり、動と静が入り混じって引き込まれました。


土井:スピード線を入れず、急に敵の後ろに移動して「いつの間に!?」となる瞬間移動のようなシーンが描くのが楽しいので、その影響は大きいです。後半の大勢の敵を一瞬で倒すシーンは蹴ってるシーンを入れないことで、一瞬の出来事のように思えるため、敵や読者に「こいつ強い」と思ってもらえたシーンになったと思います。


――気になる終わり方でしたが、続編の予定は?


土井:今のところ予定はないです。読み切り漫画ではあるのですが、続きがある様な締め方になってしまいました。もし機会があれば1話から練り直して描きたいです。


――今後はどのように漫画制作に取り組んでいきたいですか?


土井:現在はマンガ作画担当として活動していますが、いつかは自分のオリジナル漫画を『マガポケ』で描きたいと思っています。


(取材・文=望月悠木)


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