トヨタ「クラウン(スポーツ)」はスポーツしてる? 曲がるとわかる車名の意味

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2023年12月29日 11:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
トヨタ自動車は新型「クラウン」に4つのボディスタイルを用意し、これまでのイメージを刷新した。画期的な戦略だが、問題なのは新たなスタイル、もっといえばSUVタイプのクラウン(スポーツ)が、その名の通りスポーティーに仕上がっているのかどうかだ。試乗してきた。


クラウン群におけるスポーツの立ち位置は?



過去のクラウンには基本である4ドアセダンだけでなく、2ドアハードトップやピックアップトラック、ステーションワゴンなど、さまざまなカタチがあった。今回の4タイプ展開は、過去のクラウンの在り方を踏まえたものだと清水竜太郎チーフエンジニアは語る。


デザインに盛り込まれたスポーツの要素とは?



クラウン(スポーツ)のボディサイズは全長4,720mm、全幅1,880mm、全高1,565mm。ホイールベースは2,770mm、トレッドは1,605mm/1,615mmだ。プラットフォーム自体はクロスオーバーと同じエンジン横置き用の「GA-K」なのだが、それより全長は210mm短く、全幅は40mm幅広く、全高は25mm高い。ホイールベースは80mm短く、トレッドは前が5mm、後が10mm広くなっている。トレッドの変化はワンサイズ幅広のタイヤを履いている影響だ。


と数字で説明するまでもなく、21インチの大径タイヤ(235/45R21のミシュランe-PRIMACY)を四隅に配し、キャビンの後半をぐっと絞りつつ、その部分のフェンダーを大きく左右に張り出したボリューミーなエクステリアデザインは見るからにスポーティーだ。力強さや凝縮感がクロスオーバーに比べてグンと増している。まるで「今までのクラウンとはちょっと違いますよ」と訴えかけてくるかのような見た目である。


インテリアも主張が強い。運転席側はドライブに集中させるためブラックで統一。助手席側は開放感と居心地のよさが味わえるサンドブラウン(試乗車の場合)と色を使いわけている。アシンメトリーなアイランドアーキテクチャーデザインは、スポーツ感を演出するという意味でなかなかいいアイデアだと思う。

クラウン(スポーツ)のスポーツ度を運転して確かめる?



さて肝心の走りはというと、こちらもまた独特のものがあった。



例えばこれまでのスポーツモデルはというと、足回りを固めて姿勢を崩さず、タイヤのグリップで曲がっていくものが多かった。しかしクラウン(スポーツ)はそれとはちょっと違い、DRS(後輪操舵)の効果を中心として曲がっていく、という感じなのだ。



具体的には、「ノーマルモード」の低速域ではクロスオーバーに比べてより強く俊敏に、「スポーツモード」の高速域では弱めにDRSが機能するというセッティングで、それぞれの車速に応じ、思い通りの旋回姿勢を短い時間で作りだせるようになっている。


後輪操舵を搭載した欧州モデルでは、ドライバーの思惑よりも強めに曲がってくれる(これはこれで楽しいのだが)クルマもあるけれど、クラウンのそれは、より自然でマイルドな仕事ぶりだ。頭が向きを変えてしまえば早めにアクセルを踏み込むことができるし、サスペンションが硬いわけではないから直進状態に戻ったときに滑らかな乗り味を提供し続けてくれる。このあたり、「クラウンのスポーツとはこういうものなんです」と語りかけてくれているようで、設計陣の意図が伝わってくる。



パワートレインはE-Four(4輪駆動)のシリーズパラレルハイブリッドシステム。最高出力137kW(186PS)、最大トルク221Nmを発生する「A25A-FXS」型2.5L直列4気筒エンジンに88kW(119.6PS)/202Nmのフロントモーターと40kW(54.4PS)/121Nmのリアモーターを組み合わせる。クラウン(スポーツ)にはプラグインハイブリッド(PHEV)も追加となったが、筆者としてはクロスオーバーRSモデルに搭載されている2.4Lターボエンジンの「デュアルブーストハイブリッド」が載っていれば、もっとスポーツ度が上がるのにと思ったのも確かだ。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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