「鬼太郎誕生」古賀豪監督が「希望をもらった」と感激、谷田部透湖は秘話を明かす

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2024年01月22日 19:26  コミックナタリー

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左から古賀豪監督、吉野弘幸。
水木しげる原作による映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のトークショー付き上映会が去る1月21日に東京・新宿バルト9で開催され、古賀豪監督、脚本の吉野弘幸、キャラクターデザインの谷田部透湖が登壇した。

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水木しげる生誕100周年記念作品として昨年11月17日に公開され、公開から2カ月を経てもなおヒットを記録し続けている「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」。「真夜中のトークショー」と名付けられた今回のイベントも、20時という遅い時間の上映にも関わらずチケットは即完売となった。このヒットに古賀監督は、「正月に実家に帰省した際、古い友人・知人から『よかったね』との連絡がたくさんあった」と周囲からの反響を報告。吉野は「10年くらい音沙汰のなかったアニメメーカーのプロデューサーから『飲みませんか!』と久々に連絡がきた」とヒットを実感したことを笑顔で語り、谷田部は「美容院での雑談の1つとして『「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」観ましたか?』と言われ、驚きました」と述べた。

鬼太郎誕生の背景にある、壮絶なドラマを描いた同作について、古賀監督は「大人向けのホラーとして作ること。そのオーダーを受け、妖怪が出まくるホラーよりも人間関係のドロドロした怖さであればいけると思いました。さらに水木しげる先生の生誕100周年という節目でもあったので、昭和の歴史を振り返るテイストも入れ込みたかった」とコメント。吉野は龍賀一族の着想について「プロットの段階から龍賀一族というアイデアはあって、『犬神家の一族』のキャラクター配置や人数を見ながら、このくらいの人数がいれば愛憎劇を描くことができるだろうと考えていった」と、「犬神家の一族」からインスピレーションを受けたことを明かした。

また古賀監督はバリエーションある残酷な怪死描写について、「大人向けなのか子供向けなのかわからない中途半端な描き方では失敗すると思ったので、覚悟を決めて作りました。このようなテイストの作品では人の亡くなり方の工夫も大事な点です」と説明。吉野も「シナリオ作りの段階からどのように殺したらいいのか、監督と何度も話し合いをした」と頷いた。

脚本の打ち合わせには、谷田部も参加。その段階からキャラクターたちのスケッチを提示していたという。これに対し、吉野は「打ち合わせのその場で絵が上がってくると、こちらのやる気も上がってくるのでありがたかった」と感謝。龍賀一族の面々について谷田部は「それぞれのキャラクターに個性や魅力がないと映画は面白くならない。それらが出るよう、試行錯誤しながら描きました」と話した。

龍賀一族の中でも強いインパクトを残すのが、長男・時磨。彼のビジュアルについて、古賀監督が「お歯黒でおしろいを塗っているという設定はコンテの段階で決めた」と振り返ると、吉野は「キャラクタービジュアルが発表されたときは驚いた」と大笑いする。谷田部は「実はお化粧をしていないバージョンもあったけれど、後半になって白粉とお歯黒のオーダーが監督からあった」と、異色キャラが誕生した経緯を伝えた。

独特な演出、カット割りについての話題になると、古賀監督は「この作品は“怪奇幻想譚”にしたかったので、不安げな感じを意識しました。水木がタクシーで村に入っていくシーンでは、村にはのどかな田園風景が広がっているけれど、それは単純なのどかさではない、誰かに見られているかもしれない……という怖さをイメージして演出を施しました」と解説。谷田部は、エンディングに登場する鬼太郎の誕生シーンのキャラクターデザインを描く際、スケッチの参考として、演出を手がけるスタッフに水木のスーツをモチーフにしたビンテージスーツを着せ、ポーズを取ってもらったことを告白した。さらに「水木が抱き上げる鬼太郎の代わりに、スタッフルームにおいてあった子供時代の悟空のぬいぐるみを持ってもらいました」と続ける。それを聞いた吉野がすかさず、「鬼太郎は実は悟空だった!?」とツッコむと、会場は笑いに包まれた。

最後に吉野は「知らない日本人がいないくらいの認知度の高い作品を作り上げた水木先生と、東映が50年かけて作り上げてきたバックボーンがあってこその今回の大ヒット。改めて『ゲゲゲの鬼太郎』はすごい作品だと思う」と述懐。谷田部は「ファンそれぞれの心に思い浮かべる鬼太郎にはいろいろなバージョンがあるはずで、原作にもアニメにもいろいろな鬼太郎がいて、その全部が別世界。そのような世界の広がりかたが、『ゲゲゲの鬼太郎』の魅力の1つなのでは」と分析する。古賀監督は「『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は我々が純粋に面白いものを作りたいと思って作った映画。そのような作品をここまで皆さんに支持していただけたのは理想的なこと。こんなにすごいことってあるんだと、モノ作りに対する希望をいただきました」と、ファンへ感謝の気持ちを届けた。

■ 映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
公開中

□ スタッフ
原作:水木しげる
監督:古賀豪
脚本:吉野弘幸
キャラクターデザイン:谷田部透湖
美術監督:市岡茉衣
色彩設計:横山さよ子
撮影監督:石山智之
製作担当:澤守洸、堀越圭文
制作:東映アニメーション
配給:東映

□ キャスト
関俊彦、木内秀信、種崎敦美、小林由美子、白鳥哲、飛田展男、中井和哉、沢海陽子、山路和弘、皆口裕子、釘宮理恵、石田彰、古川登志夫、沢城みゆき、庄司宇芽香、松風雅也、野沢雅子

(c)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会

このニュースに関するつぶやき

  • 「昭和の歴史を振り返るテイストも入れ込みたかった」これが功を奏していたかと思いますよ? 変に現代風にしなかったからこその面白さですよね!
    • イイネ!3
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