「ペンタックス」ブランドのコンパクトデジカメが復活した。いやまあ、カメラとしては定期的に登場しているアウトドアコンパクトの「WGシリーズ」なのだけど、ブランドが「RICOH」から「PENTAX」に戻ったのだ。
一般向けのコンパクトデジカメ市場がほぼ終わっている中、ハイエンド機を除くと、唯一定期的にラインアップが更新されてきたのが防塵防水耐衝撃耐低温の「アウトドアカメラ」だ。
OMDSが久しぶりに「TG-7」を発売したのが2023年10月。するとリコーも12月に「WG-90」を発売したのである。ただ両者はちょっと立ち位置が違う。
アウトドアカメラのラインアップをちゃんとそろえていたのはリコー(かつてのペンタックス)とOMDS(かつてのオリンパス)の2社で、どちらも上下2ラインを用意していた。
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オリンパスの「Touchシリーズ」は、「TG-1」をはじめとする型番が1桁の上位機と、「TG-830」をはじめとする3〜4桁の普及モデル。上位機はGPSを内蔵し、より明るいレンズや高いタフネス性能を持っている。
その最新モデルがOMDSから登場した「TG-7」だ。そして、型番が3桁のモデルは2016年の「TG-870」を最後に後継機は出ていないので、上位モデルオンリーで行くんじゃないかな。
対してペンタックスは当初「OptioWシリーズ」として登場。その後、11年に斬新なスリムデザインの「WG-1」を投入。14年にはリコーブランドに移って、上位モデルの「WG-4」とカジュアルモデルの「WG-20」となり、その構成は21年発売の「WG-7」、22年発売の「WG-80」まで続いたのだ。
そしてWG-80の後継機となる今回のWG-90で、PENTAXブランドに戻ったというわけである。
というわけでちょいと突き刺してみた。
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そんなアウトドアコンデジのカジュアルモデル、WG-90だが、中身としてはWG-80とほぼ変わらないようだ。
防水14m、耐衝撃1.6m、耐荷重100kgf、耐寒-10℃とタフネス系の性能も同じ。本体には「WATER PROOF」ではなく「ADVENTURE PROOF」と書かれているのが面白い。
せっかくなので水中(公園の池の中)から。
画素数は1600万画素で、撮像素子は1/2.3型のCMOSセンサー。往年のコンパクトデジカメの基本センサーだ。
レンズは屈曲光学系(イマドキの言い方をするとペリスコープ型)で28-140mm相当の5倍ズーム。水中だと屈折率の関係でちょっと望遠に写るので、広角側が28mm相当なのはちょっと弱いか。
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F値はF3.5-5.5。光学式手ブレ補正はもたない。
では広角端と望遠端をどうぞ。オートピクチャーで撮影している。PENTAXならではのグリーンボタンもあるが、そのときは16:9になる。
ディスプレイは2.7型でアスペクト比が16:9。なんかとても懐かしい感じがする、と思ったら、約23万ピクセルと従来のWG-2桁シリーズから変わってないのだった。上位機のWG-7は約104万ピクセルなので、かなり粗い感じだ。
撮影モードはPENTAX時代から変わらないアイコンで、懐かしい限りだ。
絞り優先やシャッタースピード優先はなく、オートピクチャーとプログラムAEとシーンモードが中心。動画はフルHDの30fpsだ。
特徴的なのは水中関係のモードと顕微鏡モード。
アウトドアカメラぽいのは顕微鏡モードだ。
34mm相当の時レンズ前1cmまで寄れるのが特徴の一つであり、他の撮影モードで「1cmマクロAF」を指定してもいいが、顕微鏡モードだと自動的にもっとも近寄れる画角にセットしてくれる。
製品にはレンズ部にかちっとはめて使うマクロスタンドが付属しており、それをつけて平らなところに置くと、ちょうど1cmくらいの距離になるし、余計な光も入らないので薄いものをしっかり撮るのにいいのだ。
このマクロスタンドは見た目的にもレンズプロテクターっぽい感じでアウトドアぽさが増すので、常時付けちゃっていいかと思う。
今回の製品写真でも基本的に付けちゃってます。
で、これを付けて1cmマクロ撮影をするときは周辺の光が入らないので、透過光で撮るケース以外は真っ暗になるけど、そこは内蔵の6つのLEDライトの出番。
そしてぺたっとくっつけて、1cmマクロAFを指定すればOk。LEDライトの明るさは5段階で調整できる。顕微鏡モードに切り替えて使うのも簡単だ。どちらも自動的にもっとも寄れる34mm相当に自動的にセットされる。
顕微鏡モードにするとなぜか16:9になるのだけど、こんな感じでディテールまでしっかり撮れる。ライトが周辺部にあった中央までちゃんと光が回らないので明るさにムラができちゃうけど。
こちらは透過光で撮った葉脈のマクロ写真だ。
WG-90の特徴は水中でも撮れるタフさとマクロ撮影機能といっていい。
●残念ながら高感度にはちょっと弱い
では水中とマクロ以外の写真も撮ってみよう。
とりあえず人物。
もちろん顔検出はあり。笑顔シャッターもある。顔検出の枠線が太いのもなんか懐かしい。
続いて古民家だ。
こうしてみるとちょっと階調が硬くてダイナミックレンジが狭く、ハイライト部が飽和しやすい感じ。
高感度には強くない。一応最高でISO6400だけど、オートではISO1600まで。
それでもノイズはけっこうのっかってくる。
このように写りは従来のコンパクトデジカメという感じだ。
なお、アウトドアカメラとしてユニークな機能がある。
電源オフ時にOKボタンを長押しすると画面に時計が表示されること。
また、グリーンボタンを長押しすると、LEDが点灯してくれること。
頑丈なので常に剥き出しですぐ使えるよう持ち歩き、いざというときは時刻のチェックや簡易ライトとして使える仕様だ。
残念なのはUSB端子がUSB Type-Cではなく、micro Bのままだったこと。前モデルのマイナーチェンジとはいえ、USB Type-Cにはしてほしかった。
WGシリーズならではの長細くてゴツっとしたカメラというよりアウトドアガジェットっぽいデザインは昔から秀逸ながら、ちょっと昔ながらのメニュー構成やら画質やらを引っ張り過ぎてるのは気になった。
PENTAXブランドに戻ったことでもあるし、そろそろ中身もアップデートしてほしいかなとは思う。
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