ただ、ママのもとに帰りたいだけ…居場所のない少女の叫び映す『システム・クラッシャー』予告編&ポスター

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2024年02月09日 13:01  cinemacafe.net

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『システム・クラッシャー』© 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig
里親やグループホーム、特別支援学校など、どこに行っても問題を起こしてしまい、社会のどこにも居場所のなくなってしまった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描いたノラ・フィングシャイト監督の長編初監督映画『システム・クラッシャー』。この度、主人公の少女が睨みつける姿が印象的な日本版ポスタービジュアルと予告編映像が解禁された。

第69回べルリン国際映画祭のワールドプレミア上映で10分間のスタンディング・オベーションを受け、銀熊賞(アルフレード・バウアー賞)など2冠、ドイツ映画賞では作品賞を含む8部門を受賞し、世界各国で37冠に輝いた本作。

今回解禁となった日本版ポスターは、子どもも大人も関係なく悪態をつきまくる嵐のような9歳の少女ベニーを真正面から捉えたカット。キャンディを頬張りながら、その怒りとは裏腹な愛の渇望を訴える視線が、作品と同様に人々を射抜く1枚だ。

予告編でも、中指を突き立て捲し立て、ベニーは絶叫する。でも本当はただ、ママと一緒にいたいだけ…。そんな願いも社会の理不尽にぶち当たると再びキレてしまう。家族もお手上げの状態で、このままではどこにも居場所がなくなってしまう。

見知らぬおじさんに悪態をつくベニー、学校に行きたくないと刃物を振り回すベニー、鎮静剤を打たれ動けなくなったベニー。

それでも、隔離療法中の森のなかではママを呼び続けるベニーのやまびこが切なく響く。

バックで流れるニーナ・シモンの名曲「Ain't Got No, I Got Life」は、なにも持ちえない自分という絶望と、それでも命と自由だけはあるという不屈の希望を歌った、映画本編でも流れる屈指の名曲だ。

ニーナ・シモン自身もアメリカが持っていた様々な矛盾や問題、そして自身の置かれた環境や家族や自分自身への怒りをストレートにぶつけ、一時は音楽業界からも忌避された過去を持つ伝説のアーティスト。本作の主人公ベニーと重ね合わせることで、より胸に響く映像となっている。

『システム・クラッシャー』は4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。





(シネマカフェ編集部)
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