東出昌大、異色の狩猟ドキュンタリー映画主演で素をさらけだす「この数年がフラッシュバックする感覚」

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2024年02月10日 11:00  ORICON NEWS

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東出昌大 (C)ORICON NewS inc.
 俳優・東出昌大がガスも水道も通っていない山の中で狩猟生活をするドキュメンタリー映画『WILL』(16日公開)。人気俳優として洗練された姿を見せていた東出とは真逆とも言えるような風貌で、これまでにあった出来事を振り返るさまに驚きを覚える人も多いだろう。なぜ東出は自身をドキュメンタリー映画という形で映し出すことを選択したのだろうか。東出が自身の胸の内を語った。

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■スキャンダルにより、これまで積み上げたはずのものが“虚構”に思えてきた

 約2年前に北関東の山奥に移り住んだという東出。ガスも水道もないような山小屋で、狩りを行い、シカやイノシシを自らさばいて調理する。その解体作業は映像からでも匂い立つような血なまぐささにあふれている。これまでの東出のイメージからすると、驚きすら感じられるビジュアルだ。

 「狩猟自体は6年ほど前からやっていたのですが、当時はメディアに携わらせていただくなかで、外に出さない方がいい情報だという判断がありました。でも自身のスキャンダルもあり騒がれた時、『仕事が全部なくなる』という予言めいたことを言われ、今まで積み重ねてきたことは全部虚構だったのかなと考えるようになりました。銃を担いでひとりで山に入って動物を追うという行為は、残酷なことですが、虚構ではない“生”を感じることができたんです。そんな中で、以前から親交のあったエリザベス宮地監督が『狩猟をしている姿を撮りたい』と言ってくれていたことを思い出しました」。

 東出が感じる“生”。自身は「残酷なこと」と表現しつつも、その言葉自体が正しいかどうかも自問自答の日々だという。

 「冬山で獲物を撃って、腹をさばいてそこに手を突っ込むとやけどするような熱さを感じるんです。さらに尿の臭いなど、あらゆるものが残酷に感じるけれど、それすら“残酷”と言ってしまっていいのかわからない。生があるから死があるわけで、“残酷”とか“かわいそう”と思うことすら失礼になってしまうかもしれません」。

 ドキュメンタリーには、東出が狩猟をする生々しい姿をはじめ、スキャンダル報道、さらにはメディアに囲まれた会見など、東出の騒動からの3年間が赤裸々に映し出されている。

 「これまで自分の出ている作品は当然観ていましたが、この映画は、この数年にあったことがワーっとフラッシュバックしてきてしまう感覚があり、直視できないですね…」。

 それでも、この作品に映し出されているのは、“俳優・東出昌大”ではなく、まぎれもなく“素の東出昌大”だという。

 「映画であり、僕が映っているので、俳優・東出として見る方が多いと思うのですが、僕の人生が木の幹だとすると、役者というのは枝の部分。経験したことによって枝の伸び方や曲がり方に影響するかもしれませんが…。この映画に映っているのは、僕自身であり、“幹”の部分なんですよね」。

 素の東出昌大が経験したことが、なんらかの形で俳優という仕事に影響を及ぼす。その意味で、この3年間はどんな時間だったのだろうか。

 「役者のための3年間だとは思っていないです。あくまで東出昌大という人間を、いい意味でも悪い意味でも見つめ直した時間。太い幹になるための3年間だったような気はします。ただ、ひとりになった僕の側に、エリザベス宮地監督がいてくれたのは大きかった。もし本当に孤独だったら、どうなっていたんだろうと思うことはあります」。

■全部を捨てて逃げることも、悪いことではない

 2年にわたる山での生活は、都会で生活しているときには感じられなかった気づきもある。

 「“知っている”と“わかる”という言葉の意味が違うんだなと実感できました。知識として得ると理解した気になるのですが、必ずしもわかっていることにはならない。昔の僕は“知った”ことを、“わかった”ように話すことも多かったなと。仕事がなくなって、時間がたくさんできたことで、いろいろな経験を積んで“わかった”に変わっていく実感は得られました」。

 山で生活をしながら俳優活動も行っている。山で暮らす素晴らしさを体感しつつも、物理的な不便さは否めない。それでも山での生活はやめられないという。

 「お金で買えるようなものにはずっと懐疑的だったのですが、山で生活してさらにその意識が強くなりました。もちろん人は気持ちが変わるものなので、この先また考えが変わるかもしれないけど、都会の生活に戻ろうという気持ちは今のところないですね」。

 エンターテインメントの世界もある意味で“虚構の世界”という認識は常に持っている。それでも人前に出ることで、なにかできることもある。

 「たとえば絶望的な未来が待っているにしても、人に生きる喜びや、良い社会にしようという思いがあるならば、人前に出る仕事によってポジティブな意味での手助けができるかもしれません。その意味ではめちゃくちゃがんばるしかないし、自分が最善だと思うことをやり続けるしかないですよね。『全然こいつの芝居おもしろくない』と言われたらオファーがこないだろうけど、需要があれば商品価値があるということになるので」。

 しかし自分自身を商品だと思いたくない気持ちもあるという。「僕は芸名ではなく本名で仕事をしてしまったので。芸名だったらもっと商品として割り切れたのかもしれませんね(笑)」。

 劇中ではスキャンダルが報道された際の心境なども語られている。なかにはまったく身に覚えのないようなことで、第三者から誹謗中傷を受けたことも。

 「幸運にも僕の側にはエリザベス宮地監督がいてくれました。そして元々好きだった自然のなかで動物的感覚、食って寝て排泄して……という行動をすることで“生”を感じることができました。そのうち時間が解決してくれました。でも本当にきついときは逃げた方がいいと思います。全部を捨てて逃げる。それは悪いことではないと思います」。

 「未来を考えることはなくなった」という東出。それでもこの作品を残そうと思ったのは、子どもへの思いがあった。「作品の核の部分なので詳細は話せませんが、僕はいつか、自分の子どもが父親の名前を検索して最低な父親だと思い、自分の出自を恨むこともあるかもしれないと思ったんです。そんな時少しでも、僕が一生懸命に向き合っていたということを、どこかで感じてもらえるかもしれない…そんな思いもあって作品にしていただこうと思ったんです」。

取材・文/磯部正和
写真/山崎美津留


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  • フアンの女の子たちと森でハンティングしながらハーレム性活するのがテーマの異世界モノ映画ですか?�׷�
    • イイネ!3
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