「GEEKOM NUC MINI IT13」は往年のIntel NUCにCore i9-13900Hを詰め込んだロマンの塊か? 試して分かったこと

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2024年02月13日 12:12  ITmedia PC USER

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GEEKOMの超小型デスクトップPC「GEEKOM NUC MINI IT13」。OSはWindows 11 Proだ

 一昔前のミニPCと言えば、性能は二の次で、取りあえずWindowsが起動して小さければそれでいいという印象のものも多かった。しかし、最近は廉価で4コア4スレッドのIntel N100などの登場もあり、低価格でもそれなりに使えるミニPCが増えてきた。


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 一方で、ミニPCながらハイエンドノートPC並みの性能を持つモデルも登場してきている。


 そんなハイエンドミニPCの1つであるGEEKOMの「NUC MINI IT13」が編集部から送られてきたので、果たしてどれほどのものなのかを確認してみたい。


●Core i9-13900Hに32GBメモリ/2TB SSDを搭載


 GEEKOM NUC MINI IT13の仕様だが、CPUはIntelの第13世代Core i9-13900HでPコア6基/Eコア8基の14コア20スレッドと高い性能を備える。PBP(Processor Base Power)は45Wで、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は5.4GHzと高い。


 メモリは32GB(16GB×2/DDR4-3200)と、デュアルチャネルのSO-DIMMで最大64GBまでサポートしている。ストレージ容量は、2TB SSD(PCI Express 4.0 x4対応)だ。標準でM.2 2280のSSDが装着済みだが、これとは別にM.2 2242(SATA/最大1TB)に加え、2.5インチのSATA SSD/HDD(7mm厚のみ)も搭載可能となっている。


 この手のミニPCだとWi-Fiの無線LANに非対応なものもあるが、本機はIntel Wi-Fi 6E AX211を搭載しており、Wi-Fi 6E対応の無線LANとBluetooth 5.2を利用可能だ。


 本体サイズは約117(幅)×112(奥行き)×49.2(高さ/突起部含む)mmで、重量はメモリやSSDを搭載した公称値で約652gだが、実測値は566gと軽かった。手のひらサイズでコンパクトではあるが、最近はカードサイズのミニPCや小型のUMPCなどもあるので、そこまで小さいという印象はない。


 パッケージにはVASAマウント用のプレートが付属しており、ディスプレイの背面に取り付けることも可能だ。


 続いて、インタフェース回りを見ていく。


●最大4画面出力に対応! コンパクトながら豊富なインタフェースを用意


 インタフェースはUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子が3基、USB 2.0 Standard-A端子が1基、USB4端子が2基、SDメモリーカードリーダー、3.5mmのヘッドフォン端子と、HDMI 2.0端子が2基、2.GbE対応の有線LAN端子と豊富だ。DisplayPort端子は持たないが、最大4画面出力も行える。


 特にUSB Standard-A端子が4基あるので、拡張面で困ることはないだろう。各ポートに、仕様が全て印刷されているのも好印象だ。


 電源は専用ACアダプターを使用する。120W出力のもので、これがPC本体並みに大きい。Core i9-13900Hを搭載していることを考えると、仕方がないところだろう。また、電源プラグはアース付きの3ピンなので気を付けてほしい。


 気になる動作時の騒音だが、ファンノイズは割と静かだ。一般的なノートPCのファンノイズ程度はあるが、大型のファンを搭載しているためか甲高い風切り音のようなものはなく、耳につく感じではない。寝室で電源を入れっぱなしにしているなど、よほど静かな環境でなければ気になることはないだろう。


●CPUのポテンシャルは引き出せないが十分なパフォーマンスを実証


 ここからは、ベンチマーク結果を確認していこう。


 まずはCPUの性能を示すCINEBENCH R23の結果だが、マルチコアで「1万2034pts」、シングルコアで「1709pts」だった。Pコア6基/Eコア8基の14コア20スレッドというCore i9-13900Hのスコアとしては、若干低めな印象だ。


 試しにユーティリティーでCPU温度を確認すると、ベンチマーク開始直後に97度になり、すぐに70度台まで温度が落ちていた。動作クロックもPコアが4489MHzから2500MHz前後、Eコアも3092MHzから2000MHz前後に落ちていたので、排熱が追い付かずにサーマルスロットリングが発生しているのかもしれない。


 PCの総合的な性能を計測するPCMark 10のスコアは「5975」だった。日常的なPC作業のEssentialは「10952」、オフィス作業のProductivityは「6777」、写真や動画などのデジタルコンテンツ編集のDigital Content Creationは「7800」となった。


 GEEKOM NUC MINI IT13のGPUは、Core i9-13900H内蔵のIntel Iris Xe Graphics eligibleのみなので、もう少しDigital Content Creationのスコアは下がるかと思っていたのだが、このスコアであればちょっとした画像編集程度は問題なくこなせるだろう。


 とはいえ、PCゲームが快適にプレイできるほどのグラフィック能力があるわけではない。試しに、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONのベンチマークを実施したところ、軽量品質/1920×1080ピクセル/フルスクリーン設定で「3199(普通)」という結果になった。


 また、負荷の高い「Cyberpunk 2077」は、デフォルトでグラフィックスのプリセットは「低」でベンチマークテストを実行したところ、平均FPSは25.76となった。


 FPSなどのタイミングがシビアなゲームは難しそうだが、グラフィックスの設定を下げればAAAタイトルも何とかプレイできそうだ。


 GEEKOM NUC MINI IT13のAmazonでの価格は、14万6980円(税込み、以下同様)だ。正直なところ、この価格を出すのであれば、GeForce RTX 40シリーズを搭載したデスクトップPCにも手が届く。ミニPCにこだわらないのであれば、こうしたデスクトップPCを購入した方が満足度は高いと思う。


 ただ、デスクトップPCを設置するスペースがないなどの理由でミニPCを検討しているなら、GEEKOM NUC MINI IT13は悪くない選択肢となるだろう。また定期的にクーポンが出ていて数万円安くなる他、セール価格で11万円以下になる場合もあるので定期的にチェックしておきたい。


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