「寝室を別にしたい」妻に、「イヤだ、夫婦は同じ部屋で寝るべきだ」と反論した43歳こじらせ夫

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2024年02月13日 22:11  All About

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できるだけの家事をしているつもりだが、妻は褒めてもくれない。要求されて寝室を別にしたら会話も減り、不満が募る。だが、彼女は会話が減ったとも思っていないようだ。夫の思いはまったく妻に通じていない。
誰でも人に認められたいという欲求がある。身近なパートナーには敬意をもってもらいたい。そんな当たり前のことがしづらくなっていくのが「結婚」なのかもしれない。

妻のアドバイスに従っているつもりなのだけれど

「最近、妻が冷たいんですよね」

そういうのはダイキさん(43歳)だ。結婚して10年、8歳と5歳、ふたりの女の子がいる。同い年の妻も正社員の共働き。「余裕があっていいね」と言われるが、実態は違う。

「うちの両親は商売をしていたんですが、ふたりとも高齢になり、跡継ぎもいないので5年前に店を閉めました。

母は70代半ばですが今も清掃のパートをしています。父は80近くなって急に体力が衰えてきて働けない。年金は少ないし、大きな地震が来たら潰れてしまいそうな家にふたりで住んでいる。毎月、7万円を送っています。なんとか食べていってもらわないと」

妻も了承済みだが、だからこそ妻は仕事を辞めることができないでいる。両親の生活の面倒を見たいと言ったときは、「私は子育てに専念できないのね」と泣いたこともあった。

「だからこそ家事も育児もふたりできちんとやろうと決めて、僕は仕事以外、家庭のことばかりやっています。残業も極力減らし、家に仕事を持って帰って徹夜になることもある。でもちゃんと朝食を作ります。朝食とお弁当は僕の担当なので」

仕事と家事・育児しかしない日常に

ふと気づくと、友人との飲み会からも趣味のフットサルからも離れていた。それどころか職場の飲み会さえ、一次会の途中で退出することが多い。

「それもこれも親への7万円を妻に許してもらっているという負い目から。しかたがないと思っていました」

家のローンと光熱費、親への送金でダイキさんの手取りの大半は消える。今後のことを考えると、子どもたちの教育費も増える一方だ。

「それでも妻とはお互いに敬意を持ちあって暮らしていると信じてきました。でも昨年夏、妻が突然『寝室を別にしよう』と言い出したんです」

ふたりとも忙しいから、夜、寝室で会話を交わすくらいしかふたりの時間はとれない。それがダイキさんの励みにもなっていた。それなのに……。

「僕は思わず『イヤだよ。夫婦は同じ部屋で寝るべきだ』と言ったんです。妻は『あなたが寝返り打ったりいびきかいたりすると私、眠れない』と。ツインベッドで寝ているので、じゃあ、少しベッドを離そうと提案しましたが、冷房の温度も合わないとか、あなたがトイレに行くたび起こされるとか、いろいろ言われて……」

結果的に別室にせざるを得なくなった。

寝室を夫婦別室にした結果

夫婦の寝室を別室にしてから、妻は確かに元気になった。

「入眠剤がいらなくなった、よく眠れるって。なんだか複雑でしたね。寝室での会話がなくなった分、妻と気持ちが行き交わなくなったような気がする。『会話が足りないと思わない?』と聞いたら、『食事のときだっていつも話してるじゃない』と。

それは子どももいるから家族の会話ですよね。僕は精神的にも肉体的にも夫婦の会話がほしいんだと言ったら、『私は疲労感を覚えずに生活するのが一番の理想』と言われてしまいました」

ダイキさんがいくら家事をやっていると胸を張っても、詳しく聞けば、掃除、洗濯、夕飯作りは妻の仕事。子どもの学校や保育園の細かい準備も妻、近所との関係、親戚付き合いなどもほとんど妻がマネジメントしているという。

「僕は僕なりに、時間がない中、頑張っているんです。それなのに妻は一度も『こんなに頑張ってくれてすごいね』と褒めてくれない。僕は妻が何かしたら、ありがとう、きみがいるから幸せだと言っていますよ」

男の僕が「こんなに頑張ってる」という意識

妻は「ありがとう」とは言うそうだ。それならいいのではないか。彼はそれ以上に「褒めて」ほしいと望んでいるが、それは「僕が男なのに、こんなに家庭のことをしている」という意識がどこかにあるからではないのだろうか。あるいは、妻に「母的なもの」を望んでいるのではないか。

「褒め上手の妻がいれば、夫はもっと頑張れるはずだと思いませんか」

彼はそう言うが、褒められなければできないようなら、その夫は自立していないのではないかと厳しい言い方もしたくなる。確かに人は褒められればうれしいが、それは人間関係におけるオプションのようなもの。褒められなければ何もできないというのは大人としては甘え過ぎだろう。

「妻に認められたい。妻に褒められたい」

それがいけないわけではない。ただ、そう思う時点で、妻を「母のような存在」に置いているのではないか。妻から別寝室を言い渡されて、彼は不安に陥っているのかもしれない。だから認められたい、褒められたい欲求が増大しているともいえるだろう。

「素直に褒められたいと言ってみたらどうか」

そう提言したら、「そんな恥ずかしいことは言えない」と彼は言う。男としてのプライドが邪魔をするなら、それも照れずに白状してしまえばいい。彼がそうやって正面からぶつかっていけば、妻も彼への評価を変えるきっかけになるかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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  • 夫婦間のことだから犬も食わんのさ。
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