上田綺世、守田英正、堂安律は階段を上るビッグチャンス ELプレーオフの見どころ

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2024年02月15日 10:41  webスポルティーバ

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 ヨーロッパリーグ(EL)は、チャンピオンズリーグ(CL)を欧州1部リーグだとすれば、欧州2部リーグに相当する。1レベル劣る。しかし、前半のグループリーグが終了するとその差が少し詰まる。CLの各グループリーグで3位になった8チームがELに降りてくるからだ。

 ELは、各グループリーグで2位になった8チームとCLから降りてきた8チームがプレーオフを行ない、勝利した8チームが、EL各グループリーグで1位になった8チームに加わり計16チームで決勝トーナメントを争う。

 CL3位対EL2位。常識的に考えて有利に見えるのはCL3位だ。2月15日に始まるELプレーオフ8試合の対戦カードは以下のとおり。右側のチーム(CL3位、第1戦のアウェーチーム)のほうが優勢だと考えるのが自然だ。

・カラバフFK対ブラガ
・トゥールーズ対ベンフィカ
・フライブルク対ランス
・レンヌ対ミラン
・マルセイユ対シャフタール
・スパルタ・プラハ対ガラタサライ
・スポルティング対ヤングボーイズ 
・ローマ対フェイエノールト

 しかし、英国のブックメーカー各社の前評判では、マルセイユ対シャフタール、スポルティング対ヤングボーイズ、ローマ対フェイエノールトの3試合でCL勢の苦戦が伝えられている。またフライブルク対ランスも接戦の予想だ。

 日本人選手(守田英正、上田綺世、堂安律)が所属する3チームは、事件性の高くなりそうな上記の試合に含まれている。

 そのなかで筆者が最も注目するのはローマ対フェイエノールトだ。下馬評で優位なのはローマ。昨季のEL準優勝チームである。セリエAでは昨季6位、今季も現在まで6位につける。しかしつい1月ほど前、監督交代があった。ジョゼ・モウリーニョが解任され、代わってダニエレ・デ・ロッシが新監督に就任した。

 欧州一を懸けるCLにおいて、多くの一流チームで采配を振ってきたモウリーニョは、ついにELの舞台からも去ることになった。CLの前年覇者として2連覇を狙うかつてのライバル、ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)とは対照的な立場となった。

【注目のローマ対フェイエノールト】

 ローマの監督といえば、計5シーズン監督の座に就き、0トップを発明するなど攻撃的サッカーの発展に寄与したルチアーノ・スパレッティ(現イタリア代表監督)の印象が強い。当時、若手だったデ・ロッシを積極的に使ったのもスパレッティだった。

 デ・ロッシ新監督率いるローマは、すでに4試合を消化。モウリーニョ路線か、スパレッティ路線かと言えば、スパレッティ路線のように見える。5バックになりやすいサッカーから、両ウイングを据えた4−3−3のオーソドックスな攻撃的サッカーに変化を遂げた。成績は4戦して3勝1敗。唯一の敗戦は直近のインテル戦(2−4)だが、昨季のCL準優勝チームで、今季もセリエAで首位を独走する強者インテルに対し、打ち合いを挑んだ末の惜しい敗戦だった。

 まさに好チームに変身を遂げている様子だ。しかし、対するフェイエノールトも好チーム度では負けていない。3位に終わったCLのグループリーグでも、アトレティコ・マドリード、ラツィオに少しも劣っていなかった。CLから脱落したチームのなかで、最もいいサッカーをしていたチームだと見る。

 現在セリエA8位のラツィオに競り負けたことで、ブックメーカー各社はこの対戦を同6位のローマ有利と見ているのだろう。だが、その差は僅かで、あってないようなもの。むしろフェイエノールトのほうがいいのではないかと筆者は予想する。

 何と言ってもデ・ロッシ監督はまだ40歳。大きなクラブの監督を務めるのはローマが初めてだ。もちろん欧州戦線の経験もない。ホーム&アウェー戦の一発勝負もこのフェイエノールト戦が初めてだ。経験不足が気になる。

 具体的な見どころは両軍のストライカーだ。ローマはロメル・ルカク。ベルギー代表のCFに対し、フェイエノールトはサンティアゴ・ヒメネス。上田が出場時間に恵まれない理由は、この22歳のメキシコ代表CFが偉大すぎることにある。

 身長は上田と同じ182センチながら、恰幅がよく存在感に溢れている。頭も強ければ、左右両足のシュートも鋭い。何と言ってもポストプレーがうまい。来シーズン、このチームに残っていない筆頭格の選手といっても過言ではない。ビッグクラブが放っておかないはずのストライカーの能力が炸裂すれば、逆転は大いにあり得る。つまり、試合展開にもよるが、上田の出場時間は長くないことが予想される。一発逆転の機会を上田は虎視眈々と狙うしかない。

【リーグ戦でも好調なスポルティング】

 守田所属のスポルティングは、CLのグループリーグでマンチェスター・シティ、ライプツィヒに次ぐ3位となったヤングボーイズと対戦する。ヤングボーイズはスイスリーグで現在、首位。好調を維持している。アフリカ系選手の爆発力が何より魅力で、迫力、スピード感溢れるダイナミックな攻撃的サッカーを展開する。

 一方、スポルティングも国内リーグでブラガと対戦した直近の試合に勝利を収め、実質的な首位奪取(首位ベンフィカと同勝ち点の2位ながら1試合少ない)に成功した。国内リーグで現在7連勝中。12月あたりから調子が急上昇。今季コベントリーからやってきたスウェーデン代表のCFヴィクトル・ギェケレシュが、国内リーグで16ゴール、ELでも3ゴールを挙げるなど、チームにフィットしたことが大きい。

 守田にとっては大きな試合になる。欧州の階段をもう一段、上れるか。ELという欧州戦線での活躍がその必須条件になる。

 一方、堂安が所属するフライブルクはこのところ調子が上がっていない。国内リーグで3連敗。来季のEL出場が狙える5位と勝ち点9差の7位と、順位を下げている。この3連敗のなかで、堂安が絡んだ試合は最後のドルトムント戦のみ。それも交代出場だった。アジアカップに出場していたためだが、堂安は日本代表としてのプレーより、フライブルクでのプレーのほうがよく見える。

 相手のランスはフランスリーグで現在6位に位置する。5バックになりやすい守備的なこのチームに対し、堂安のウイングプレーは冴えるのか。「引いた相手にはサイドを突け」という鉄則に従えば、堂安は浮沈のカギを握るプレーヤーだと言える。

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