SixTONES松村北斗、ベルリン国際映画祭リベンジ果たす 上白石萌音と“世界”を実感、大歓声浴びる【レポート】

1

2024年02月22日 17:57  ORICON NEWS

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

第74回ベルリン国際映画祭に出席した(左から)三宅唱監督、松村北斗、上白石萌音(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
 SixTONES・松村北斗、俳優の上白石萌音が、三宅唱監督作『夜明けのすべて』(公開中)で「第74回ベルリン国際映画祭」フォーラム部門に参加。ドイツ・ベルリン現地時間21日、3人がレッドカーペットを歩き、メイン会場のインターナショナルプレミア上映では大きな拍手に迎えられた。

【写真】舞台上でマイクを構える松村北斗と笑顔の上白石萌音

 この日昼間からそれぞれ現地でのメディア取材に応じた松村、上白石、三宅監督は「Zoo Palast」にあるレッドカーペットを訪れた。シックで艶やかなジャケット衣装をまとった松村はベルリンに到着した感想を聞かれ、「日本の東京の小さな街で撮影した映画なので、渡航してようやくこの(ベルリンの)街の風景を見て、やっと今世界に届いているんだと感動し始めています」とコメント。さらに、昨年声優として出演した『すずめの戸締まり』が同映画祭に正式出品されるも、松村は現地に同行できなかったため、「リベンジの気持ちもあります!」と意気込みを語った。

 上白石はエレガントな黒いドレス姿を披露し「まさか、人生の中で参加できると思っていなかった場所に、自分が大好きで大切に思っている作品を通して来ることができたのは何よりうれしいです」と嬉々として話した。

 そして映画祭メイン会場の「Berlinale Palast」に移動すると、きらびやかなネオンのロゴと映画祭のシンボルとなる熊のマーク、そしてミラーボールが照らす会場は多くの一般参加者たちで活気づいていた。上映会場となったのは、18世紀末に建造され、話題作のみが上映される劇場「Delphi Filmpalast」。選出発表時のSNS反響を受けて、キャパの大きな劇場での上映が急きょ決定した。

 国籍・年齢・性別問わず多くの観客が足を運び、670席の会場が満席に。熱気に満ちあふれた上映前舞台あいさつでは、大きな拍手で迎えられ、三宅監督、松村、上白石が登壇。冒頭に「Guten Abend(グーテン・アーベント)!=こんばんは」とドイツ語で会場に呼びかけ、続けて流ちょうな英語でもあいさつ。本編上映後には、会場中に大きな歓声と称賛の拍手が響き渡り、同席していた監督やキャストらも拍手でたたえた。

 熱気冷めやらぬ中、3人はそのままQ&Aを行い、時間が許す限り観客からの質問に回答。PMSやパニック障害というそれぞれの“生きづらさ”抱えた男女を描いた同作に対し、「これらのテーマに関心を持ったからこの映画に参加したのか」と聞かれると、松村は「この映画を通して全てを知ることは不可能だけれど、一歩、半歩でもその症状に対して寄り添ってくれたらいいな、という思いは強く持ちながら演じていました」、上白石は「まず初めにお聞きしたいんですが…」と切り出し「日本では女性の生理の話を男性とはしづらいのですが、それはこちらも一緒ですか?」と問いかけた。会場から「そうでもない」という反応を受け、「日本もそうなるといいな、そういうきっかけにこの映画がなればいいな、と思っています」と満面の笑みで語った。

 その後の囲み取材では、映画を観た観客の反応について「想像以上だった」と振り返った3人。三宅監督は「上映後、お客さんから力強い拍手をいただき感激しましたし、2人のキャラクター(山添くんと藤沢さん)を友達みたいに愛して観てくれていたんだと感じました」と感無量。松村は「この映画は、いろんな人の人生がそのまま映し出されている映画なのですが、人生のしんどいこともと笑えることも、お客さんが一緒になって感じてくれている空気が伝わってきました」、上白石は「会場の反応が鮮やかで本当にびっくりしました」と振り返った。

 松村、上白石ともに同映画祭は初参加。松村が「お客さんの観方がすごくプロだなと思い、大変心地よかったです」といえば、上白石も「国籍や人種が違う色々な方がいましたが、みんな同じところで笑ったり、張り詰めたりしていて、文化や言葉を超えた共通の何かがあるんだな、と感じました」としみじみ。Q&Aの熱気に触れ、松村は「もっとこの映画のことを知りたいんだな、という質問ばかりで、さらにこの映画への自信が湧きました」、上白石は「たくさん手が挙がっていてうれしかったですし、本当にみんなに愛されている映画祭なんだと感じました」と実感をにじませた。

 2019年『きみの鳥はうたえる』(フォーラム部門)、22年『ケイコ 目を澄ませて』(エンカウンターズ部門)に続き、3回目の同映画祭となった三宅監督は「過去2作より今作の方が、“日本”というものを客観的に見る経験になった気がします。この映画がPMSやパニック障害、あるいはそれ以外のいろんな苦しみを抱えながら生きている人たちの物語でありつつも、同時に登場人物たちは“日本”という目に見えない縛りの中で生きているな、ということを、海外の方の反応を見たからこそ感じた部分はありました」と手応えを伝えた。

 また、第51回アニー賞で声優賞(映画部門)へのノミネートを果たすなど、世界から評価される松村だが「(国際的に評価されることを)まだ野望と掲げていい立場に自分はいない」と謙虚に語っていた。

 瀬尾まいこ氏の同名の小説(水鈴社/文春文庫)を映画化。同じ職場で働く、PMS(月経前症候群)に悩まされている藤沢美紗(上白石)と、パニック障害を患っている山添孝俊(松村)が、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく。職場の人たちの理解に支えられながら、少しずつ希望を見出していく2人の奮闘を、温かく、リアルに、ときにユーモラスに描く。
    ニュース設定