「Alienware」初の“競技用”ゲーミングマウス/キーボードの実力は? 試して分かったこと

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2024年02月24日 13:01  ITmedia PC USER

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今回お借りしたAlienware Proワイヤレス ゲーミング キーボードと、Alienware Proワイヤレス ゲーミング マウス。Lunar Light(ホワイト)とDark Side of the Moon(ブラック)の2色展開となっているが、今回はLunar Lightモデルをお借りした

 Dell Technologiesから、eスポーツ競技での利用を想定した「Alienware Pro ワイヤレス ゲーミング マウス」「Alienware Pro ワイヤレス ゲーミング キーボード」が発表された。米国では既に発売済みで、標準直販価格はマウスが149.99ドル(約2万2600円)、キーボードが199.99ドル(約3万円)となっている。日本での発売は2月下旬の予定で、標準直販価格(税込み)はマウスが1万9980円、キーボードが2万6980円となる。


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 Alienware Proシリーズは、同社の「Alienware」ブランドとしては初めてとなる競技ゲーミング(eスポーツ)向けデバイスという位置付けで、開発プロセスにおいて長年のパートナー関係にあるeスポーツチーム「Team Liquid」の選手をはじめ、世界各国の100名以上のeスポーツ選手と協力して開発を進めたという。


 発売に先駆けて、デル・テクノロジーズから両製品を借りて試す機会を得た。ゲーミングを中心に、どれくらい快適に使えるのかどうか検証してみたい。


【更新:2月27日14時】日本での発売情報と価格を追記しました。


●実測60g以下で使いやすい「Alienware Pro ワイヤレス ゲーミング マウス」


 Alienware Pro ワイヤレス ゲーミング マウス(以下「Proマウス」)は、主にFPS(一人称視点シューティング)ゲームのプレイに最適化されたワイヤレスマウスだ。2.4GHz帯の無線接続と有線(USB)接続の両方に対応するハイブリッドモデルで、USBドングルや充電ケーブルを兼ねるUSB Standard-A to USB Type-Cケーブル(約2m)も付属する。


 無線接続時で最大4000Hz、有線接続時で最大8000Hzという高ポーリングレートに対応しつつも、約60gという軽量設計を実現している。マウスを動かす際に手や腕に負担のかかりづらいことが魅力だ。今回試した実機では実測重量が59gと、60gを切っていた。


 本マウスの主な仕様をまとめると、以下の通りとなる。


・サイズ: 約63.5(幅)×124.5(奥行き)×40.6(高さ)mm


・重量: 約60g


・ボタン数: 6つ(左右クリック、ホイール、サイド×2、背面)


・センサー: 光学式センサー(詳細非公開)


・クリックスイッチ: 光学スイッチ付き磁気浮上式キープレート


・解像度:最大2万6000dpi


・ポーリングレート: 最大4000Hz(無線)/最大8000Hz(有線)


・加速度:最大60G


・速度:最大650ips(インチ毎秒)


・バッテリー駆動時間:最大32時間(4000Hz駆動時)〜最大120時間(1000Hz駆動時)


 俗に「ゲーミングワイヤレスマウス」と呼ばれるゲーミング用途に特化したワイヤレスマウスと同様に、PCとの接続は無線接続と有線接続のハイブリッド設計となっている。有線で接続した方がポーリングレートにおいて優秀だが、ケーブルの絡まりや引っかかりなどに気を付ける必要がある。シーンに応じて無線接続と有線接続を使い分けるのが良いだろう。


センサーは光学式 左右対称で持ちやすい


 センサーは「光学式」のものを採用しているが、製品情報には光学式であること以外の詳細が書かれていない。ただし、無線接続時で最大4000Hz、有線接続時で最大8000Hzのポーリングレートを実現しており、最大解像度も2万6000dpiであることを考えると、現在市場で流通しているゲーミングマウスとしては高性能な部類に入る。


 クリックスイッチには、Alienware独自の「光学スイッチ付き磁気浮上式キープレート」を採用している。磁気の力を利用して、入力遅延やチャタリング(※1)の発生を防ぐ構造で、高速でクリックを繰り返しても、1回1回のクリックが確実に認識される仕組みだ。


 一般的に光学式スイッチはクリックの感触がカチカチとしたもの(いわゆる“固め”)とされているが、本製品では固さを感じることはなかった。


 ボディーの質感はサラサラとしていて、滑りやすさを感じることもなく程良いグリップ感となっている。人によっては物足りなさを感じる場合もあるだろうが、グリップテープ等は付属していないため注意が必要だ。


(※1)微細な機械的振動。これがキーボードやマウスで発生すると、1回の押下操作で複数回のキー/ボタン入力が行われてしまうことがある


バッテリー駆動時間は長め カスタマイズもしやすい


 無線接続時のバッテリー駆動時間は、先述の通りポーリングレートによって変動する。最大レートの4000Hzで駆動すると最長32時間と短めな一方、レートを1000Hzに抑えると最長120時間利用できる。


 この公称値からも分かる通り、4000Hzで使い続けるとバッテリーはみるみると減っていく。ただし、マウスを使わない時にきちんと充電する癖を付けておけば、それほど気にならない。また、万が一バッテリー残量が少なくなった場合でも、5分間充電すれば約6時間使用できるだけの容量を充電可能だ(1000Hz駆動時の場合)。


 AlienwareブランドのPCや周辺機器は、統合ユーティリティーアプリ「Alienware Command Center」から集中管理できる。Alienware Proシリーズが登場するに当たって、本アプリもアップデートが行われている。


 本製品の場合、本アプリからマウスのdpiやポーリングレートの調整の他、各ボタンの機能変更(リマップ/マクロなど)といったカスタマイズを行える。特にポーリングレートについては、初期設定では最大に設定されていないため、ポテンシャルを引き出したい場合は設定変更が必須となる。


“初物”とは思えない完成度の高さ


 Alienwareブランド初のeスポーツ用マウスとして発表されたProマウスは、性能面や機能面も含めて「初」とは思えない完成度の高さを感じる。


 さまざまな手の大きさに適合するように工夫された、丸みのある左右対称の形状は「かぶせ持ち」「つかみ持ち」「つまみ持ち」のいずれにも対応できる。特に、一般的に多く見られるかぶせ持ちやつかみ持ちとの相性は抜群に良い。


 一方で、本体後方の高さが抑えられているので、親指と薬指でマウスをつまむように持つ、つまみ持ちでは若干の不安定さを覚えた。ただし、基本的にはどんな持ち方でも安定して使うことができる。


 数日間、複数のFPSゲームやMOBA(マルチプレイオンラインバトルアリーナ)ゲームでこのマウスを使ってみたが、各ボタンのクリック感を含めて、安定してプレイできた。


 先述の通り、このマウスはボタンスイッチが光学式となっている。一般的に、光学式スイッチはクリック感が固いものが多いが、このマウスは磁気浮上式キープレートの恩恵なのか、筆者が所有する光学式スイッチのマウスよりも固くなく、高速連打も快適だった。サイドボタンの飛び出しも控え目で、“誤爆”もほとんどなかった。


 米ドル建てベースで比較すると、99ドルという本マウスの価格は、eスポーツ向けで類似(近似)スペック他社のマウスと同価格帯か少し安価な設定だ。性能面も考慮すると意欲的な仕上がりとなっているので、左右対称で高性能なワイヤレスマウスを好む人にとって、有力な選択肢になりうるだろう。


 続いて、同時に発表されたAlienware Proワイヤレス ゲーミング キーボードをチェックしていこう。


●洗練された機能満載の「Alienware Proワイヤレス ゲーミング キーボード」


 「Alienware Proワイヤレス ゲーミング キーボード」(以下「Proキーボード」)は、独自の2.4GHz無線、Bluetooth、有線(USB)の3種類で接続できる他、キースイッチの交換にも対応する、プロゲーマー向けのハイエンドキーボードだ。先に紹介したProマウスと同様、2色展開となる。


 日本では米国英語(US)配列モデルのみ発売される予定で、今回のレビューも同配列モデルで行っている。


実用性も考慮した「75%キーボード」


 本キーボードは、一般的なデスクトップ向けキーボードからテンキーと一部の機能キーを省いた、いわゆる「75%キーボード」となっている。


 最近のeスポーツシーンでは、ゲームで使う機会の少ないファンクションキーも省いた「60%キーボード」が多く使われるようになっている。しかし、普段使いも考慮に入れると、カーソルキーなども備える75%キーボードの方が実用面で有利だ。


 サイズは約312.4(幅) ×127 (奥行き)× 40.6(高さ)mmで、マウスの操作スペースを大きく取りたい場合も扱いやすい。本体重量は約819.73gと、サイズの割にズッシリとしているため、不意にキーボードの位置がずれてしまう心配も少ない。


選べる接続方法 Bluetooth接続ではマルチペアリング対応


 先述の通り、PCとの接続は独自の2.4GHz無線、Bluetoothと有線の3方式に対応する。2.4GHz無線は、通信規格自体はProマウスと同一だが、同じUSBドングルでキーボードとマウスを同時接続する機能は備えていない。Proマウスと同時に無線接続する場合は、それぞれのドングルをPCとつなげる必要がある。


 Bluetooth接続の場合、最大3台のデバイスのマルチペアリングに対応している。接続先は、本体前方にあるボタンでスムーズに切り替え可能だ。


 なお、Bluetooth接続時は、独自の2.4GHz無線と比べると、伝送にどうしても遅延が発生してしまう。精密かつスピーディーな操作が求められる競技ゲームシーンでは、独自無線による接続か有線接続をお勧めする。


 無線接続時のバッテリー駆動時間は2.4GHz無線で最長798時間、Bluetooth接続で最長1800時間となっている。この値はいずれもRGBライティングを無効化した状態での公称値なので、有効化した場合は持続時間が変動する。


 とはいえ、基本的にプレイ中にバッテリーが枯渇するといった心配はせずに遊べそうだ。


独自キースイッチを採用 ホットスワップも可能


 キースイッチには、Alienwareが独自開発した「Alienware リニア メカニカル スイッチ」を採用する。プロゲーマーと緊密に連携しながら調整を重ねたというキースイッチは、キー荷重は約40gとゲームはもちろん、タイピングでも快適な操作感を実現たという。


 実際に使ってみると、快適さに偽りはない。スイッチには、潤滑剤(ルブ)があらかじめ塗り込まれているため、キーストロークも滑らかだ。コトコトとしたタイピング感に心地よさすら覚える。


 Proキーボードでは、「ホットスワップ」と呼ばれるキースイッチの換装にも対応している。他社製の3ピン/5ピンおよび3ピンのメカニカルキースイッチのほとんどと互換性があるため、アクチュエーション(反応)ポイントやキー荷重などを自分好みにカスタマイズしたいというニーズにも対応できる。


ラピッドトリガーは“非対応”


 なお、Proキーボードは、ここ半年ほどで対応モデルが増えた「ラピッドトリガー」には対応していない。


 ラピッドトリガーは、キーから指が離れたことを検知すると、アクチュエーションポイントまで戻るのを待たずにキー入力を“オフ”にする機能だ。最近は、キー入力を一層迅速化する観点から、本機能を備えるキーボードが増えつつある。筆者も、普段はラピッドトリガー対応キーボードでFPSゲームをプレイしている。


 そのせいか、ラピッドトリガーに対応しないこのキーボードでFPSゲームをプレイしてみると、キャラクター操作の“機敏さ”が感じられなくなってしまい、明確な違和感を覚えた。ラピッドトリガー非対応のキーボードからの買い換えであれば問題ないだろうが、ラピッドトリガーキーボードに慣れてしまった身からすると少しつらい。


 eスポーツ向け製品としては後発なだけに、ラピッドトリガーに対応しない点はもったいないと感じた。


キーのカスタマイズもしやすい


 Proマウスと同様に、ProキーボードもAlienware Command CenterからRGBライティングの設定や各キーの機能変更(リマップ/マクロ設定など)を行える。ゲーム中に誤って押したくない「Windowsキー」も無効化できるため、快適なゲーム体験を追求したい人は利用して損はない。


 Proマウスと同様に、Proキーボードも数日間ゲームや簡単なPC作業で試用したが、やはり潤滑剤の塗られたキースイッチの持つ、独特の打ち心地が印象的だった。キーボード本体に搭載されている2層構造のシリコンレイヤーも操作性の向上に貢献しているようで、使っていて操作に引っかかりを感じることはなかった。


 ただし、本製品は先述の通りラピッドトリガーに対応していないため、対応製品と比べるとキー入力のレスポンスは明らかに遅い。ごく普通のタイピングや一般的なPCゲームで遊んでいる場合は支障にはならないが、精密かつスピーディーなキーボードレスポンスが求められるFPSゲームでは、ストッピング動作にもたつきや遅れを感じる場面も少なからずあった。


 米ドル建てで199ドルという価格は、Proマウス同様に競技ゲーミング向けキーボードとしては標準的か、少し安価な設定だ。それでいてキーボードとしての作りや、キーの打ち心地はしっかりとしている。それだけに、ラピッドトリガーに対応していないのは非常に惜しい。


 この点に関しては、今後のキースイッチとソフトウェア両面でのアップデートに期待したい。


 気になるポイントはあったものの、総じて両製品はブランド初の競技ゲーミング用製品とは思えない完成度だった。日本での正式発表に期待したい。


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