楽天モバイルの公式ページから米倉涼子さんが消えた理由

　「楽天モバイルから米倉涼子さんが消えた」──。そんな投稿がX（Twitter）で一時注目を集めた。実際に公式サイトへアクセスすると、確かに米倉さんの姿はない。

【その他の画像】

　楽天モバイルが米倉さんを起用した新たな広告キャンペーンを打ち出したのは2020年7月。当時のCMは、楽天モバイルのブランドカラーであるマゼンタの衣装をまとった米倉さんが、「日本のスマホ代は高すぎる！事実82.9％（※1）もの人が（スマホ通信料を）下げてほしいと思っている」と力強く主張し、「スマホ通信料を下げて欲しい！」と書かれた紙を勢いよく破るという演出だった。

（※1）消費者庁『平成31年1月物価モニター調査結果（速報）』におけるスマートフォンユーザの意識調査

　日本の携帯電話料金については、かつて菅義偉官房長官（2012年12月〜2020年9月）が、「日本の携帯料金は高すぎる」との考えを述べたことも大きく報道された。菅官房長官がそのように発言していた当時は、まだ楽天モバイルが携帯電話市場に参入する前だったため、「NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社寡占」が続いており、菅官房長官いわく、これが「携帯電話料金の高止まりの原因」だったわけだ。

　MNOの料金プランがどれくらい高かったのかというと、総務省が2018年9月に公表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査（平成29年度）」のデータを見ると分かる。

　日本・東京、米国・ニューヨーク、イギリス・ロンドン、フランス・パリ、ドイツ・デュッセルドルフ、韓国・ソウルの世界6都市で最もユーザーシェアの高い携帯電話事業者の料金プランを比較したデータでは、日本の東京が最も高い月額8642円だった。

・東京：20GB／8642円

・ニューヨーク：20GB／8129円

・ロンドン：20GB／4330円

・パリ：20GB／4922円

・デュッセルドルフ：20GB／5049円

・ソウル：20GB／5521円

・日本を除く5カ国の平均：20GB／5590円

　携帯電話業界では、その後、楽天モバイルの参入や、NTTドコモによる「ahamo」発表で、高止まりしていた20GBの料金プランが割安になった。現行の料金プランを見てみると、楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」で3GB超〜20GBが月額2178円、ahamoは20GBで月額2970円だ。20GBの容量を使用した場合の月額料金を総務省調査結果と比べると、楽天モバイルなら6464円、ahamoなら5672円安くなったことになる。

●楽天モバイルの公式サイトから米倉涼子さんが消えた理由

　携帯電話業界の動きを少し振り返ると、楽天モバイルのCMになぜ「日本のスマホ代は高すぎる」という台詞があったのかが分かるはずだ。話題を米倉さんに戻すと、いわば広告塔だった米倉さんの画像が公式サイトから消え、突然の変化に驚くユーザーが一部いたようだ。

　なぜ楽天モバイルの公式サイトから米倉さんの姿はなくなったのか？　ITmedia Mobileが同社広報に問い合わせてみたところ、以下のような回答を得た。

――　米倉さんが公式サイトから消えた理由を教えてください

楽天モバイル　楽天モバイルのサービスサイトにおいて「最強家族プログラム」開始に合わせ、2024年2月21日より現在のデザインに切り替えております。なお、楽天モバイル法人サイトにおきましては、引き続き米倉さんのデザインを起用しております。

――　これまで同氏起用による効果はあったのでしょうか？

楽天モバイル　数多くのドラマや映画で主演を務め、幅広い世代から支持されている米倉さんを起用することで、当社のサービス内容を多くのお客さまに認知していただいたと感じております。

――　今後、別のタレントや俳優を起用する予定はありますでしょうか？

楽天モバイル　今後の計画については、回答を差し控えさせていただきます。

　回答内容をまとめると、米倉さんを含む広告や画像が2月21日以降、楽天モバイルの個人向けサイトから消えたが、法人向けサイトからは消えていない、ということだ。

　楽天モバイルは2月21日から、同一名字の家族なら「Rakuten最強プラン」が1回線あたり毎月110円引きになる、「最強家族プログラム」を提供しており、そのイメージ画像は単身者ではなく、家族そろって楽天モバイルのスマートフォンを使うような画像となっている。

　家族といえば、コーポレートベースカラーが白い某携帯電話事業者の「何とか家」で、しゃべる犬やタレントが出演するCMのように、米倉さんに別のタレントを加えたCMもアリなのではないか？　と容易に想起できるが、楽天モバイルとしてはイメージの一新という意味を含め、個人向けのサイトからは米倉さんを含む画像を削除した、ということだろう。