「人はなぜ不倫する?」夫の“もう一つの家庭”を壊すためサレ妻が取った行動とは? 子どもすら利用する壮絶復讐劇が話題

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2024年02月29日 08:10  ORICON NEWS

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LINEマンガ『夫の家庭を壊すまで』より (C)HykeComic/Amuse
 日本のエンタメシーンにおいて、古くから“不倫・復讐”は鉄板の人気コンテンツ。ドラマ・映画で大ヒットした『失楽園』、最近も攻めたラブシーンが話題の『離婚しない男』(テレビ朝日系)をはじめ、マンガ、電子コミックなどでもランキング上位にこのカテゴリの作品が入るなど、時代が変わってもその人気はいまだ健在となっている。LINEマンガで先行配信中の『夫の家庭を壊すまで』もそんな“不倫・復讐”をテーマにした人気作。原作・脚本を手掛ける赤石真菜さんの学生時代のある経験が、本作を描いた背景にあるという。本作制作の裏側とともに、「なぜ不倫がなくならないのか」、そしてエンタメにおける“不倫・復讐”ジャンル人気の要因について話を聞いた。

【漫画】衝撃!「…誰?」夫のスマホに謎のメッセージ、幸せな家庭じゃなかった?夫の“裏の顔”と妻“復讐劇”とは⁉

■不倫は“罪悪感の欠如”から生まれる。“シタ”側に罪の意識を感じてもらうことがテーマ

 最愛の夫と息子と家族3人で幸せな結婚生活を送っていた妻だったが、ある日、夫のスマホを盗み見たことで、不倫を疑う。その後、夫を尾行した妻が見たのは、夫と見知らぬ女性と高校生くらいの男の子が食卓を囲む光景。長年にわたる裏切りを知った妻は、夫が大切にする“もう1つの家庭”を壊すために、壮絶な復讐計画を立てる。

――本作誕生の背景から聞いていきたいのですが、赤石先生ご自身がもともと「不倫」という題材で描きたかったと伺いました。

【赤石真菜さん】そうですね、「不倫」という題材は、以前から描きたいと思っていました。

――第1話の1コマ目に「人は、なぜ不倫するのか?」と、ある種、本作の根幹ともいえる問いかけに大きな衝撃を受けました。この冒頭の問いかけを入れた意図、先生の想いをお聞かせください。

【赤石真菜さん】個人的な話になりますが、大学生時代に「なぜ、この世から不倫がなくならないのか?」というテーマで話し合う機会があったんです。世間では「不倫」に多くの人々が関心を寄せていて、“悪”と見なされて非難を受けるのに、それでも不倫で苦しむ人が後を絶たない。それはなぜなのか、と。

――非常に興味深いですね。先生はこの問いに対して、どのような意見をお持ちですか?

【赤石真菜さん】その時の「不倫をする側は、それを『罪』だと感じていないからでは?」という意見が強く印象に残っていました。確かに、「不倫」が逮捕される犯罪行為であれば、多くの人はその罪を犯そうとはしませんよね。つまり不倫がなくならない背景には、シタ側に“罪悪感の欠如”があるのではないか、と。そのため今回は、シタ側に“罪の意識”を感じてもらうことが作品のテーマになればと思いました。「不倫を犯罪として罰することはできなくても、相手の心と人生を壊してしまう重い罪であること」を強調したいと考えていました。

――近年は電子コミック、webtoonなどでも「不倫」「サレ妻(夫)」といった“不倫・復讐マンガ”ジャンルがランキングの上位に入るほどの人気になっています。なぜ、このテーマのエンタテインメント作品が、現在世に受け入れられていると思いますか?

【赤石真菜さん】不倫を“サレ”てどん底にいる主人公が、敵を打ちのめしていきながら再生する姿に、大きなカタルシスを感じるからではないでしょうか。現実ではスッキリといかないことも、フィクションの世界でなら叶えられる。そんな読者の願望を満たしてくれる、ある意味で“結末”が約束されたジャンルなのだと思います。

■没入感と映像的な演出ができるので、“不倫・復讐”作品とwebtoonの相性はいい

――本作の物語の展開についてはどのように考えられたのですか?

【赤石真菜さん】人気ジャンルで読者が多いぶん、作品数も多い。だからこそ、これまでとは違った切り口が求められるので、なるべくショッキングな設定にしたいと考えていました。なので、心の浮つきや冷え切った夫婦関係といったドラマ性よりも、昔から計画されていた“二重生活”…というパッケージ性で勝負するほうが、インパクトを与えられるのではないかと思ったんです。「夫が長年にわたって2つの家庭を行き来していた」というキャッチーさに、読者が興味を示してくれることを期待しました。

――確かにインパクトありますね。赤石先生はテレビドキュメンタリーなども手掛けられていると伺いましたが、そこで培われた思考や手法はどのように影響していますか?

【赤石真菜さん】複数のシーンを交互に入れ込むカットバックなど、ドラマ的な演出も取り入れています。フルカラーで縦にスクロールするwebtoonの没入感と、映像的な演出は相性が良いのではないかと感じています。
 また、ストーリー自体は、不倫された憎しみを晴らすために復讐を決意する主人公が、「罪のない子ども(夫の不倫相手の息子)をターゲットに利用する」というぶっ飛んだ展開です。不倫・復讐ジャンルのwebtoonで好まれるのは、大胆で派手なストーリー展開だと思いますが、登場人物の感情はできるだけ現実的に描きたかった。なので、キャラクターの心理や葛藤は、「実際にこういう人いそうかも」と思えるようなリアリティさを意識しています。

――特に主人公・みのり(妻)の感情の機微は見事に描かれています。

【赤石真菜さん】ありがとうございます。なるべく復讐心と良心の狭間で揺れ動く機微を丁寧に描くように気を付けました。読者に寄り添ってもらえるようなキャラクターになっていたらうれしいです。

――みのり以外の主要な登場人物も“裏”の顔を持ち、次々と過去と本性が明らかになっていきます。

【赤石真菜さん】登場人物において意識したことは、それぞれのキャラクター同士の生い立ちや家庭環境に共通性を持たせたことです。例えば、母親の不倫によって生まれたみのりは、父親の顔を知りませんが、渉(不倫相手の子ども)や勇大(夫)にも父親はいません。それ故に共感し合うこともあるし、葛藤も生まれます。
 また、「不倫」は当事者間の問題ではおさまらず、罪のない家族や子供、その後の人生までをも巻き込む“罪深さ”をキャラ設定にも活かしたいと考えていました。読み進めるうちに、15年前、30年前…とさまざまなキャラクターの過去が発覚していきますが、その全ては今の結果に繋がっているということを描きたかったんです。

■複雑な人間模様も目を離せない展開に「主人公を追い込み、読者の予想を裏切り続けたい」

――みのりの勇大に向けた愛情は、純粋だったが故に余計にこじれ、さらにほかの登場人物も加わって、複雑な人間模様が描かれていきます。物語を展開していくうえで、意識していること、心がけていることがあれば、教えてください。

【赤石真菜さん】最も心がけたことは、ストーリーのテンポの速さです。不倫が発覚し、復讐を決意するまでのスピード感は、無料で読める4話までにおさめようと担当の編集者さんと話し合っていました。また、どのwebtoonもそうだと思いますが、1話ごとの引きを特に意識しています。毎話のラストに、新たな問題をどんどん発生させて、みのりにとっての“最悪”を更新していこうと。主人公をどんどん追い込んでいくことで、読者の予想を裏切り続けたいと思いました。

――いい意味で読者を裏切り続けることが、人気の秘訣なんですね。実際、多くのコメントが寄せられていますが、この反響はどのように受け止めていらっしゃいますか?

【赤石真菜さん】いつも読んでいただき、ありがとうございます!予想以上の反響をいただき、本当に驚いています。とてもありがたいことに、多くのコメントをいただき、その1つ1つを読ませていただいております。皆様の意見から気付かされることも非常に多いです。

――ご自身が考える人気の要因はどんなところにあると思いますか?

【赤石真菜さん】そうですね…「展開の早さ」ではないでしょうか。主人公も思い立ったら即行動タイプなので、その点ではストレスなく読んでいただけているのかもしれません。あとは、流し読みしても内容を理解できるような「わかりやすさ」も心がけています。

――現在、33話まで進んでいますが、この後、どんな展開が待っているのでしょうか?

【赤石真菜さん】今後は、これまで描ききれなかった「みのりと渉の関係性」を軸に物語が展開していきます。テイストが変わった印象を受けるかもしれませんが、“本作品らしさ”はなくさず、シーズン1のキャラクターも引き続き登場します。まだ夫の家庭を“壊しきれていない”ので、最後まで見届けてくださるとうれしいです。

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