歴史的なクラシックとなるのか!? 皐月賞、日本ダービーを占う「3歳牡馬ランキング」

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2024年03月01日 07:21  webスポルティーバ

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 昨年末に行なわれた今春の牡馬クラシック戦線の行方を占う2歳GI、朝日杯フューチュリティS(12月17日/阪神・芝1600m)は、ジャンタルマンタル(牡3歳/父パレスマリス)が無傷の3連勝で戴冠を遂げた。一方で、ホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)は、思わぬ結末となった。

 レース当日に、上位人気だったゴンバデカーブース(牡3歳/父ブリックスアンドモルタル)が出走取消。なおかつ、シンエンペラー(牡3歳/父シユーニ)ら強豪牡馬を、牝馬のレガレイラ(牝3歳/父スワーヴリチャード)が一蹴したのだ。

 ホープフルSがGIに昇格して以降、牝馬が勝利したのは初めてのこと。しかも圧巻のレースぶりを披露し、レガレイラはこの結果、まずは牝馬クラシックではなく、GI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)に向かうことを決めた。

 年が明けてからの重賞では、GIIIシンザン記念(1月8日/京都・芝1600m)をノーブルロジャー(牡3歳/父パレスマリス)、GIII京成杯(1月14日/中山・芝2000m)をダノンデサイル(牡3歳/父エピファネイア)、GIIIきさらぎ賞(2月4日/京都・芝1800m)をビザンチンドリーム(牡3歳/父エピファネイア)が勝利。そして、2歳王者であるジャンタルマンタルが出走したGIII共同通信杯(2月11日/東京・芝1800m)は、新馬戦を勝ち上がったばかりのジャスティンミラノ(牡3歳/父キズナ)が快勝した。

 このあとも、GII弥生賞(3月3日/中山・芝2000m)、リステッド競走の若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)、GIIスプリングS(3月17日/中山・芝1800m)と注目のトライアル戦が続いていくが、今年も3歳牡馬戦線は群雄割拠の状態にあることは間違いない。

 そこで今回、牡馬クラシックに向かう面々を対象とした現時点での3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を選定した。なお便宜上、皐月賞参戦を表明しているレガレイラは今回、牡馬ランキングの対象馬とした。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、ホープフルSで衝撃的な勝利を飾ったレガレイラ。並みいる牡馬を押さえて堂々のトップ評価を受けた。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「昨年、時計面で牡馬を凌駕していたリバティアイランドが、朝日杯FSやホープフルSに出走していれば勝っていたかもしれない、という想像はできます。ただ、それはあくまでも想像の域。レガレイラは実際に、過去になかった2歳混合GIを牝馬として初めて制覇。その偉業達成は高く評価すべきでしょう。

 つなぎは少し短めですが、クッションが抜群。回転の速いピッチ走法でも、道中でゆったりと走れて折り合いがつき、馬込みやキックバックをまったく気にしない精神的なたくましさが、距離の融通性に出ています。

 発馬など課題はありますが、好位の馬が2、3着に入った平均ラップのレースを、後方からあっさりと捕らえてゴール前で突き放したホープフルSの走りは、能力が抜けている証拠。この春は皐月賞から始動とのことですが、歴史を作る牝馬になる可能性は十分にあります」

土屋真光氏(フリーライター)
「GIII京都2歳S(11月25日/京都・芝2000m)で3着となったサトノシュトラーセ(牡3歳/父ジャスタウェイ)が、次戦で1勝クラスのあすなろ賞(2月11日/小倉・芝2000m)を快勝。同4着だったダノンデサイルが、続く京成杯を勝ったことからすると、同レースの勝ち馬シンエンペラーが今年の3歳牡馬の実力を推し量るいい物差しになります。

 その馬を外から強襲して下したレガレイラは、当然世代トップクラスの有力馬であることに疑いの余地がありません。そうは言っても、ホープフルSは"ハマった"感もあり、スタート難を抱えていることから、全幅の信頼は置きづらいところ。はたして、その実力はホンモノか。皐月賞はそれを見極める試金石の一戦になりそうです」

 2位は、ホープフルS2着のシンエンペラー。前回1位から順位をひとつ下げた。今週の弥生賞から始動するが、本番でレガレイラにリベンジを果たすためにも、ここは落とせない一戦となる。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「新馬戦(1着。11月4日/東京・芝1800m)、京都2歳S、ホープフルSといろいろな形の競馬を経験。全兄ソットサスは、GI仏ダービー(フランス・芝2100m)を勝って、古馬になってGI凱旋門賞(フランス・芝2400m)を制覇。成長力は秘めているはずの血統です。弥生賞でも当然、好走が期待されます」

吉田氏
「ホープフルSは頭を上げてフワフワしながらも、しっかりと好位を確保。直線に向くと、すぐに逃げ馬を交わして完全に抜け出す競馬ができました。しかし、最後に勝ち馬レガレイラの決め脚に屈しました。

 まだトモ腰の完成度が低いためか、頭が上ずる走法でコーナーリングなどに若さを見せていますが、それでも結果を残しているのは上質のエンジンを備えているからでしょう。まだまだ心身ともに伸びしろは大きく、成長があれば1位との差は縮まってきそうです」

 3位は、3頭の馬が並んだ。まずは、前回も3位だったトロヴァトーレ(牡3歳/父レイデオロ)。新馬戦(9月18日/中山・芝2000m)に続いて、1勝クラスの葉牡丹賞(12月2日/中山・芝2000m)を完勝。クラシック出走権をかけて、弥生賞に臨む。

本誌競馬班
「デビュー2連勝中。馬群から抜け出す走りには迫力があります。混戦の牡馬戦線にあって、弥生賞の結果次第では主役に躍り出るのではないでしょうか」

 3位の2頭目は、前回4位だったダノンエアズロック(牡3歳/父モーリス)。リステッド競走のアイビーS(10月21日/東京・芝1800m)で下したレガレイラがホープフルSを勝って評価を上げた。同馬も弥生賞に参戦し、クラシック出走を目指す。

木南氏
「アイビーSは楽勝でしたけど、レース後の息づかいが荒かったことが少し気になります。3歳になって、弥生賞から始動予定。しっかり力を発揮できれば、主役候補の1頭となり得ます」

 3位に入った最後の1頭は、共同通信杯を勝ったジャスティンミラノ。デビュー2連勝を飾り、ジャンタルマンタルに土をつけたことで一気にランクインした。

伊吹雅也氏(競馬評論家)
「2月11日終了時点の一走あたり賞金は2410万円で、JRAに所属する現3歳世代の牡馬としては2位タイ。母のマーゴットディドは現役時代にGIナンソープS(イギリス・芝1000m)を制した名牝です。JRAでデビューした半兄2頭は未勝利を勝ち上がれなかったものの、ポテンシャルの高い血統と言えます。

 2021年以降の過去3年に限ると、共同通信杯で5着以内となった馬の3歳牡馬クラシック競走(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)における成績は、4勝、2着3回、3着3回、着外15回(3着内率40.0%)。2018年〜2020年の該当馬は期待を裏切りがちでしたが、2017年以前を含めて同レースは、3歳牡馬クラシック戦線の主役級をコンスタントに送り出してきました。まだ底を見せていない馬ですし、今後も目が離せません」

 激戦の3歳牡馬戦線。女傑レガレイラを打ち破るような存在が出てくるのか、まずは直近の前哨戦を注視したい。

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