伊達心眼流創始者・伊達軍曹の中古車道場破り! 第21回 中古車を買うなら3月が狙い目? 新生活に向け動くなら今かも

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2024年03月05日 11:31  マイナビニュース

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新生活を迎えるにあたり、このタイミングで車を買っておくべきなのか、それとも車なしでもけっこううまくやっていけるものなのかと悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実際どうなのか、中古車を買うならいつがいいのか、もし買うとしたら何がオススメなのかを中古車評論家の伊達軍曹さんに聞きました。


中古車なら50万円くらいでけっこう探せる?



春から始まる新生活において、車が「絶対的に必要なモノ」であるかどうかは、住まうエリアによって微妙に変わってくるだろう。だが少なくとも、東京都の一部と各都市のごく一部を除けば、車とは「ないよりはあったほうが絶対に便利なモノ」だとは断言できる。



そんな車を入手する場合、自身の趣味性などにもとづいて新車を購入するのもご自由ではあるが、「便利な道具」として考えるのであれば、比較的安価な中古車でも十分以上に用を足せるものだ。



中古車の最大の魅力とは、言うまでもなく「新車と比べれば車両本体価格が圧倒的に安いこと」である。新車を買うとなると、軽自動車でも車種によっては総額200万円以上となり、ちょっと気の利いた普通車が欲しいとなると、昨今は総額300万円以上になるのが当たり前。しかし中古車であれば、車種と年式によっては総額10万円ぐらいの予算でも購入可能なのだ。さすがに総額10万円は極端だとしても、総額50万円前後の予算を見ておけば、とりあえずは「けっこう悪くないやつ」を入手可能である。

コロナで中古車市場が高騰って聞いてたけど…



とはいうものの、そんな中古車の価格も、コロナ禍に伴う巣ごもり需要の増加や半導体不足などから、すっかり高騰してしまった――そう思っている人もいるかもしれない。だがそれは、かなり古いニュースに基づく間違った認識である。



確かに2022年頃は、世界的な半導体不足の影響を受けて自動車メーカー各社が減産を行ったため、納期が早い「中古車」の人気が非常に高まった。そしてその結果、中古車の平均価格は(車種にもよるが)おおむね2割ほどのイメージで高騰してしまった。



だが、2023年に入ると新車の生産量は回復基調となり、同年半ばからは、ひたすら長期化していた「注文から納車されるまでの時間」もおおむね正常化。その結果として中古車に対する需要も減少したため(というか元の水準に戻ったため)、今や「中古車の価格が高騰している」というのは過去の話となったのだ。



もちろん、きわめて人気が高い一部の車種、例えば現行型のトヨタ自動車「アルファード」あたりは、即納可能な中古車が新車の2倍、またはそれ以上の価格で売られていたりもする。でも、それは例外というか「超人気モデルゆえの特殊事情」であって、ごく普通の中古車は、ごく普通の価格で販売されている――というのが2024年3月時点における実情である。


「供給量増」と「決算」が重なる3月は絶好のタイミング?



「中古車を買う時期(タイミング)」は基本的にはいつでもいいというか、「欲しくなったとき」あるいは「必要となったとき」こそが買い時だ。ましてや、これから新生活を始めるのであれば、新生活開始直前または直後の何かと慌ただしい時期ではなく、なるべく早めに買ってしまったほうがいい。



とはいえ「もしも中古車相場が安くなる時期があるなら、そのタイミングを見計らって買いたい」と考える人もいるだろう。



中古車相場が安値傾向になる時期はいくつかあるが、今まさに我々がいる「3月」も、そんなタイミングのひとつである。



毎年3月は、新車ディーラーも中古車販売店も「決算月」である場合が多い。新車ディーラーは決算月になるべく数多くの新車を売りたいため、顧客に買い替え(乗り替え)を強く勧める。で、乗り替えることになった顧客が乗っていた車が多数、中古車市場に流れてくる。つまりは中古車の供給量が増える。



そして、中古車販売店のほうも3月は決算月である場合が多いため、やはり1台でも多くの中古車を当月中に売りたい。だからこそプライスダウンさせた目玉商品などをそろえて、積極的な売り攻勢に出る――ということで3月は、「供給量増」と「決算」のダブルパンチ(?)により、中古車の平均価格は必然的に低下傾向となるのだ。



とはいえ毎年3月は、それと同時に「需要が高まる月」でもある。まさにマイナビニュースの「新生活入門」特集などをお読みの「4月から新生活を始める人」が、全国各地で車の購入を思い立つ月なのだ。いわゆる需要期である。



そして売る側としては、需要期に人気モデルの価格をわざわざ下げる必要はないと考える。なぜならば、人気モデルは放っておいても売れるからだ。そのため「3月だから」といって、人気モデルの中古車価格が大きく下がるケースはあまりないと考えたほうがいい。



それゆえ、もしもこの時期に「なるべく安く中古車を買いたい!」と思うのであれば、狙うべきは「ビミョーな立ち位置の実力派」だろう。つまり若干人気薄というか、一番人気では決してないのだが、車としての実力は一番人気のモデルにも遜色ない車種の中古車を狙えば、まずまず安めな予算で入手できる可能性は高まるのだ。



それでは、「一番人気では決してないが、車としての実力は一番人気のモデルにも遜色ない車種の中古車」とはどんな車なのか。具体的にいくつか挙げてみよう。


軽スーパーハイトワゴンの狙い目:スズキ「スペーシア」(先代)



軽スーパーハイトワゴンというのは非常に背の高い箱型の軽乗用車で、なおかつスライドドアが付いているタイプのこと。軽ゆえに走りはそこそこでしかないが、とにかく圧倒的なまでにスペース効率が高いということで大人気となっている。そのなかでも、ホンダ「N-BOX」という軽スーパーハイトワゴンは圧倒的に超絶大人気である。


そんなN-BOXの新車はもちろん素晴らしいのだが、同カテゴリーで二番人気、いや三番人気ぐらいに位置するスズキ「スペーシア」(先代)も、車としての出来はN-BOXとほとんど同じであるといっていい。かなり便利に使えて、なおかつデザイン的にもけっこうしゃれている軽乗用車だ。


しかし、先代スペーシアの中古車は「一番人気ではない」というのと、「つい先日フルモデルチェンジを受けたばかりだから」ということで、中古車価格はそこそこ安い。具体的には総額90万円前後の予算にて、走行4万〜5万kmぐらいの「ハイブリッドG」というグレードが買えるはずだ。車内が広いスペーシアは、新生活で必要になるさまざまなモノを運搬するにも最適な存在のひとつゆえ、あればきっと重宝するだろう。


コンパクトカーの狙い目:ホンダ「フィットe:HEV」(現行型)



軽スーパーハイトワゴンほど車内がだだっ広いわけではないが、「広さはそこそこで十分」と考えるのであれば、走りや受動安全性に若干の不満がないわけではない軽スーパーハイトワゴンより、登録車(いわゆる普通車)のコンパクトカーのほうがより満足できる場合は多い。そして、そのコンパクトカーがハイブリッド車であれば、モーター付きならではの力強い走りと圧倒的な省燃費性能の双方を獲得することができる。



ハイブリッドのコンパクトカーというジャンルではトヨタ「ヤリス」が一番人気。これが実に素晴らしい車なのだが、素晴らしい一番人気モデルだけあって、中古車価格は決して格安ではない。


だが、同ジャンルにおける人気の面ではヤリスに大きく引き離されて三番手に付けているホンダ「フィットe:HEV」であれば、ヤリスよりも(一概にはいえないが、おおむね)10万円ほど安く入手可能となる。具体的には総額140万円台で、走行4万kmちょいぐらいの「e:HEVホーム」というグレードが見つかるはずだ。


「走りの切れ味」みたいなものはヤリスのほうが上であり、燃費もヤリスのほうが良好だ。しかしそれは「ヤリスがあまりにもすごすぎる」というだけの話で、フィットも普通以上に走りの良い、そしてかなり低燃費な車である。そして車内はヤリスよりも断然広いので、「何かと便利に使うためのコンパクトカー」として、フィットはヤリス以上の存在だといっていいだろう。


コンパクトトールワゴンの狙い目:スズキ「ソリオ」(現行型)



「ホンダのフィットもいいが、できればもう少し車内が広い車がいい。しかし軽自動車は嫌だ」というのであれば、狙い目はスズキ「ソリオ」(現行型)の中古車になる。


ソリオは「コンパクトトールワゴン」というカテゴリーに属する1台で、要するに「背が高くてスライドドアが付いているコンパクトカー」ということだ。



このカテゴリーの一番人気は(ソリオの後追いで登場した)トヨタ「ルーミー」という車なのだが、走りの質に関してはソリオのほうが圧倒的に上であるため、長時間運転していても疲れにくい。なおかつ室内の広さや使い勝手なども、一番人気のルーミーと比べてほとんど遜色なしであるため、ルーミーとまったく同様に、かなり便利に活用できるだろう。


マイルドハイブリッド機構が付いていない「G」というグレードでもOKなら、総額120万円前後で走行3万km台の中古車を検討可能。小さなモーターが発進加速などをアシストしてくれる「ハイブリッドMX」というグレードにしたい場合は、総額150万円前後が目安となる。



伊達軍曹 だてぐんそう 1967年東京都出身。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、大手自動車メディア多数に記事を寄稿している。中古車選びの流派「伊達心眼流」の創始者(自称)。 この著者の記事一覧はこちら(伊達軍曹)

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