日本カーリング女子でニューヒロイン誕生! 4人制とミックスダブルスの二冠を達成する快挙

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2024年03月05日 17:21  webスポルティーバ

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「とにかく山口(剛史)さんのスイープ力です。ガッツとパワーで(狙ったポイントまでストーンを)持っていく」

 長野県の軽井沢アイスパークで行なわれた第17回全農日本ミックスダブルス選手権。3位に終わった小穴・青木(小穴桃里、青木豪)の小穴は、優勝したSC軽井沢クラブ(上野美優、山口剛史)のストロングポイントをそう評した。

「細かいミスにつけこまれ、それが積み重なってこの点差(5−10)になってしまった」とは、決勝でSC軽井沢クラブに敗れた小野寺・前田(小野寺佳歩、前田拓海)の小野寺のコメントだ。

 SC軽井沢クラブの強さ――その根幹は、上野の決定力と、それを支える山口のスイープだ。

 4人制の日本選手権でロコ・ソラーレの藤澤五月、中部電力の北澤育恵、北海道銀行の田畑百葉ら、日本を代表するフィニッシャーに投げ勝ってきた今季絶好調の上野。彼女の精度の高いラストロックに、山口のスイープが加われば鬼に金棒だった。

「ちょっと遅めに投げても、ラインがタイトでも、スイープで持っていってくれる」

 そう語る上野は、山口のスイープに全幅の信頼を置き、ミスを臆さずに大胆にデリバリーができた。決勝戦での勝負を決めた7エンドの4点ショットも、「アイスの読みもだいたいわかっていたので、普段どおり投げることができた」とサラリ。強心臓っぷりも改めて示した。

 上野は、先月札幌で行なわれた4人制の日本選手権に続いて、ミックスダブルスも制し、同シーズンでの"二冠"を達成。男子では、2019年から4人制で3連覇を遂げたコンサドーレの谷田康真が2020年に、松村雄太が2021年にこの快挙を果たしているが、女子では初の偉業となる。

 今シーズンのカーリング界を代表する"ヒロイン"は、間違いなく上野だろう。

 優勝したSC軽井沢クラブの山口と上野はこのあと、4月下旬にスウェーデン・エステルスンドで開催される世界選手権に挑む。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの出場権獲得のためにも、好成績が期待される。

「上野選手の持ち味のひとつがスマイル。世界選手権までに一段と強化して、"上野スマイル"を世界でも出したいですね」(山口)

 一方で、ミックスダブルスの国内戦線はかつてない乱戦状態に突入した印象がある。昨年の大会で圧倒的な強さを見せて全勝優勝を決め、世界選手権でも銀メダルを獲得し、今季は史上初の世界ランキング1位に立った松村・谷田(松村千秋、谷田康真)のダブルス専任ペアが5位に終わったほどだ。

 それでも、松村・谷田は今大会で唯一、SC軽井沢クラブに勝利。地力の高さを証明した。そして谷田は、「僕らは、フレッシュさはないかもしれないけれど」と少し笑みを浮かべたのち、「スキル的な部分、戦い方で劣るとは思っていない」と言いきり、来季の巻き返しを誓った。

 また、その松村・谷田を上回る今季世界ツアー4勝を挙げてきた小穴・青木も3位。望んでいた成績までには至らなかった。しかし、小穴は「かなり準備をしてきてこの結果に終わったけれど、『どうしたら勝てるんだ!?』ではなく、『まだできるところがあるんだ』と思えた。いい課題がもらえた大会だった」と、やはり勝負の年となる来季を見据えた。

 準優勝の小野寺・前田は上位3チームでは唯一、男子と女子の投げ順をエンドごとに変更するなど、対応力や、バランスの高さを見せた。大会後、小野寺は前向きにこう語った。

「本当に細かい部分、アイスリーディングだったり、戦術だったり、スイーピングだったり、コミュニケーションだったりっていうのを詰めていかなければ日本のトップにはなれないっていうのがわかった。私たちは来年もチャンスがあるので、それまでまた頑張っていきたいと思います」

 正式な発表こそ来季になるが、4位入賞の中島・臼井(中島未琴、臼井槙吾)しかり、上位勢はそれぞれ、4人制の所属チームの理解と協力を得ながら来季もペアを継続していくだろう。

 2018年の平昌五輪から正式種目となったミックスダブルス。日本代表として初の五輪出場を決めるのはどのペアか。イタリアへのレースは加速していく。

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