たった1人から18人に感染する可能性も!? 「麻疹(はしか)、流行の兆し」が怖いワケ【医師が解説】

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2024年03月15日 20:21  All About

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はしか(麻疹)は非常に強い感染力を持つ感染症です。空気感染するため、感染者と距離を取ったり、手洗いやマスク着用などの感染対策を行ったりしても、予防することができません。

Q. 「はしかは感染者と同じ車両に乗っただけでも感染する」って本当ですか?

Q. 「日本国内ではしかの感染者が増えているというニュースを見ました。感染してしまった人が、どのお店に行って、何時の電車に乗ったかなど、かなり細かい個人的な行動の様子まで報告されていましたが、そこまでする必要があるのでしょうか? 感染者と同じ電車に乗っただけでも感染する可能性があるということですか?」

A. 本当です。はしかは非常に感染力が強いため、十分な注意が必要です

はしか(麻疹)は、他のさまざまな感染症と比較しても、特に強い感染力を持っています。はしかの感染者が1人いた場合、免疫を持たない12〜18人に感染させると報告されているほどです。

毎年流行して、感染対策が促されるインフルエンザですら、1人の感染者が他の人に感染させる力は2〜3人程度です。インフルエンザと比べても、はしかの感染力がどれだけ強いかがわかっていただけるかと思います。

はしかの怖いところは、飛沫感染や接触感染だけでなく、「空気感染」をするという点です。

飛沫感染や接触感染などであれば、同じ空間にいても飛沫がかからないように距離を保ったり、マスクや手洗いを徹底したりすることで、ある程度は感染を防ぐことができます。

しかし空気感染の場合は、同じ空間にいただけで感染する可能性があります。はしか感染者がいた部屋や、感染者が乗った電車やエレベーターに乗っただけでも、感染する可能性があるのです。

社会全体ではしかの流行を防ぐためには、「集団免疫」を持っておくしかありません。はしかの場合は、集団の90〜95%の人が十分な抗体を持っていれば、流行を防ぐことができます。

まずは自分の予防接種歴を確認し、可能であれば病院で抗体検査を受けて、十分な抗体が残っているかを調べることをおすすめします。抗体検査は、血液検査のみで行うことができます。

個々人ができる限りの感染予防をしながら、社会全体で感染拡大を食い止めていくことが大切です。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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