「日本の文化を理解する一つの契機に」初の海外旅行で秋篠宮さまが娘たちに“伝えたかった”こと

0

2024年03月22日 06:00  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

佳子さま(28)

「以前からタイの王室の方とは、お目にかかってお話しする機会はよくありまして、タイの国王陛下、王妃陛下とお話をしていたときも私たちの子どもたちのことについて大変関心を示してくださいましたし、いつか連れてくればというお話もいただいておりました。(略)そのようなことで、タイに連れていったわけですが」

タイを私的に訪問した秋篠宮ご一家

 秋篠宮ご一家の4人は、2003年8月7日から21日までの約2週間、タイを私的に訪問した。次女、佳子さまは、このとき学習院初等科3年生で8歳。姉の小室眞子さんと同じく、初めての海外旅行だった。

 秋篠宮さまは、この年11月に行われた誕生日会見で記者たちから「タイにお子さまをお連れになろうとした理由、また実際にご訪問されて、お子さまにとってどのような意義や変化があったと感じていらっしゃいますか」と尋ねられ、冒頭のようにタイ旅行の経緯について説明した。

 8月8日、ご一家は首都・バンコク市内にあるチトラダ宮殿にシリントーン王女を表敬訪問。玄関前で王女の出迎えを受け、秋篠宮さま、紀子さま、続いて眞子さん、佳子さまの順番で車を降りた。ピンクがかった白いワンピース姿の佳子さまは、王女と握手をして丁寧にお辞儀をし、その後、室内で王女と4人はなごやかに歓談した。

 翌日、ご家族で職業訓練施設「サポート財団訓練センター」を訪れた際の佳子さまは、淡いピンクのワンピース姿だった。ニワトリの置物作りや女性たちが刺しゅうをする様子などを熱心に見学した佳子さまは、時々、母の紀子さまに質問をしたり、説明を求めるようなそぶりを見せた。

 タイの東北部に移動した一行は、ウボンラーチャターニー大学で行われた、秋篠宮さまの名誉博士号(農学)の授与式に臨んだ。大学幹部や大勢の学生たちが待ち受ける中、白いワンピース姿で白色のハンドバッグを持った佳子さまは、両親や姉と同じく歓迎の花束を受け取った。

佳子さまは少し緊張した表情

 授与式の舞台では、スーツの上に、赤地に金や赤、黄、白色の縦縞が入ったガウンを羽織った秋篠宮さまとオフホワイトのスーツを着た紀子さまが並んでイスに座り、その後ろに佳子さまと眞子さんが着席した。名誉学位を受け取った秋篠宮さまが参列者から盛大な拍手を送られ、英語で5分ほどお礼の言葉を述べたが、佳子さまは少し緊張した表情でスピーチを見守っていた。

 その後、ご一家はパーテーム国立公園を散策し、メコン川の景観なども楽しみ、佳子さまは白い半袖ポロシャツにブルーのジーンズ、スニーカーという軽快な装いだった。記者たちからの声がけに秋篠宮さまが「楽しんでいます」と答えると、佳子さまと眞子さんも記者から「初めての海外旅行はいかがでございますか?」「暑さは大丈夫ですか」などと尋ねられたが、眞子さんは恥ずかしそうなしぐさのままで、佳子さまは姉に寄り添い笑顔を見せた。

 朝早く、地元の買い物客たちでにぎわう市場を訪れ、新鮮な魚や野菜、果物などを見て歩いた際には、佳子さまは丸首の青いTシャツとベージュ色のキュロットスカート姿。また、ご一家そろってプミポン国王と王妃を表敬訪問するなど、充実した南国の夏休みを過ごした。

「ウボンラーチャターニーでの数日間も心に残る滞在になりました。名誉学位の授与式に娘たちが出席しましたが、大変緊張しておりました。無事に終わりました後、ほかの場所に移り、その部屋にはたくさんの水槽が並べて置かれ、宮さまと一緒に娘たちは熱心に説明を聞き、また泳いでいる魚を一つひとつ、どういう泳ぎ方をしているか、どんな色か形か、話し合いながら楽しそうにしていました。(略)思い出深い旅行になりました」

 と、'03年11月の会見で紀子さまは振り返ったが、両親はタイ旅行に特別な思いを込めていた。

「外国に行って日本と違う文化に触れる、これは大変良いことだと思います。日本とはまったく違った文化に触れる、そこで日本との違いというものを感じることができると思います。しかし、一方で同じアジアの国で日本と非常に似ている点、共通している点ということにも気がつくのではないか、そうすることによって(略)、さらに日本の文化を理解する一つの契機になるのではないかと、そのように私は思いました」

 と、同じ会見で、秋篠宮さまは娘たちのためにこの旅を企画した意図を強調した。それは、外国で異なる生活や文化などに触れることで日本への理解がさらに深まり、今まで気づかなかった日本の良さを再認識してほしいという思いからだった。

アジアに関心を持つようになった

 1985年8月、当時19歳だった秋篠宮さまは、学習院大学などの友人たちと初めてタイの調査旅行をしている。佳子さまのタイ旅行から遡ること18年も前のことだ。'85年11月30日、秋篠宮さまは20歳の成年となったが、その直前に初めて記者会見を行った。その際、「いちばん行きたい国はどこでしょうか?」と尋ねられ、次のように答えている。

「夏にタイを訪ねてから、アジアに関心を持つようになりました。日本と文化、生活習慣が違っていて興味深い。アジアの国々を訪れ、さらに深く知りたいと思います」

 '03年11月の会見で秋篠宮さまは、このようなことも話している。

「本とか写真とかではいろいろなそういうものに触れる機会はあると思いますけれども、私自身の経験からいっても実際にそのものを見るという、そのことが非常に大切なことだろうと思っております。また、国王陛下、王妃陛下、シリントーン王女殿下、王族の方々とお目にかかってお話をしたという経験も本人たちにとって大変、大事な経験だったと思っております」

 SNSが発達し、インターネット上に写真や映像が飛び交う現代社会で、人と人が直接、会うことの大切さや「実際にそのものを見(たり)」、実物にじかに触れてみることの重要性を力説した秋篠宮さまの発言がズシリと心に響く。「私自身の経験からいっても」という言葉どおり、秋篠宮さま自身の豊富な海外体験などに裏打ちされた言葉だけに、より重みがあるのだろう。

 昨年の佳子さまのペルー公式訪問のスピーチや立ち居振る舞いなどが、タイ旅行当時の小学生の佳子さまとは比較にならないほど堂々としていた。'24年に佳子さまは、国際親善の舞台でどのような活躍を見せてくれるのだろうか。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など

    前日のランキングへ

    ニュース設定