HOPPY Schatz GR Supra GTが復活! スーパーGT富士公式テスト参加へ向け初走行を終える

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2024年03月22日 15:30  AUTOSPORT web

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2024スーパーGT富士公式テスト 走行初日を前に完成したHOPPY Schatz GR Supra GT
 3月23〜24日、静岡県の富士スピードウェイでスーパーGT公式テストが行われるが、このテストを前に2023年第4戦富士の決勝レース中に火災に見舞われたHOPPY team TSUCHIYAのHOPPY Schatz GR Supra GTがいよいよ修復を終え“復活”を遂げた。3月21日に行われたスポーツ走行に参加し、完成後初走行を無事にこなしている。

 次世代を担う若き“職人”を育てるべく、オリジナルのGT300規定車両を製作しスーパーGTに挑戦していたHOPPY team TSUCHIYAは、2022年から投入したチームオリジナル設計のGRスープラGTで参戦を続けてきたが、2023年第4戦富士の決勝レース61周目に発生した火災により、車体の多くの部分を焼失してしまった。

 HOPPY team TSUCHIYAはプライベートチームであり、この火災で苦境に立たされることになってしまったが、周囲からの応援の声もあり、車両修復を決断。2023年9月には復活に向けた支援を呼びかける『ホピ子復活プロジェクト』をスタートさせ、多くのスーパーGTファンのみならず、他チームや関係者もこれを支援してきた。

 こうした熱い応援の声に後押しされ、チームは長い修復作業を続けていったが、車体で残っていた部分はメインフレーム、チンスポイラー、フロントバンパー、ドア1枚のみ。それ以外はすべて“修復”が進められてきた。結果的に岡山公式テストには間に合わず参加することはできなかったものの、3月21日、徹夜作業の末いよいよ復活を遂げたHOPPY Schatz GR Supra GTが、神奈川県藤沢市のつちやエンジニアリングを出発。富士スピードウェイに戻ってきた。

 公式テストの走行自体は3月23日からだが、「公式テストの前に少しでも転がしたかったので、昨日徹夜して朝までかかって、搬入して富士で火入れをして、システムチェックをして夕方のスポーツ走行1本に間に合いました。3回アウティングして転がしただけですけどね」というのは土屋武士代表だ。いきなりチェックを公式テストで行ってしまうと、トラブルが発生した場合赤旗を出し、他チームに迷惑をかけかねない。そのため、事前に走っておきたかったのだ。

 3回のピットアウト〜インを経て戻ってきたHOPPY Schatz GR Supra GTのコクピットから降りてきたのは、チームに“復帰”することになった松井孝允だったが、作業に携わった全員に送るかのように拍手をしながら出てくると、「普通に走るので、早く全開で走りたいです」と好印象。松井は2022年もこの車両をドライブしているが、「ぜんぜん違います」との感想だった。HOPPY Schatz GR Supra GTは公約どおり、強くなって戻ってきたようだ。

 まだ擦れ小さなトラブルがあるものの、「止まらずに帰ってこられた」と土屋代表はスポーツ走行を終え語った。「こんな環境でやらせてもらえることが今の時代にあるんだ……と感慨深いものはありますね。その環境のおかげで職人が育っていますから。それはもうクルマを観れば一目瞭然だと思います。このクルマを作ることができたのは数千人の支援してくださった人たちのおかげですし、こういうことが今の時代にまだあるんだなと感じました」と土屋代表。

 しかし、今回の復活はまだスタートラインに戻ってきたに過ぎない。「実際はここからです。レースを戦い、順位を競う部分もそうですし、プライベートチームとしての戦いは“存続”にありますから。いろんなものが高騰していて、金銭面の部分が大きく変化している時代なので、『生き残る』ことが本当の戦いになってきます」と土屋代表は語った。復活に向け、かかったコストは大きい。実際に今季の活動のための資金も、製作に充てられた部分が大きい。

「どうやって生き残るかを優先しながら、このクルマを大事にしつつ、皆さんが繋げてくれた思い、機会を間違った方向にいかないように舵取りしていきたいと思います」と土屋代表。

「嵐に飲まれても沈没しないように、ずっと航海を続けていくことが大事だと思っています」

 まずは今回の富士公式テストでは、復活を遂げたHOPPY Schatz GR Supra GTの走りをぜひ見守って欲しいところ。土屋代表も「自分としては次にやるべきことに目を向けていますが、まずは皆さんに明日、このクルマを観てもらいたいですし、これをやり遂げたウチの職人たちを本当に誇りに思います。それがいちばんですし、この業界に人材という宝が育っていることをお伝えしたいです」という。

「クルマもそうですが、クルマを作った人間、環境が必要だとひしひしと感じています。その意味では感傷に浸っている暇はないですね。皆さんが乗せてくれた思いを皆さん自身が感じてくれると嬉しいですし、僕の役目はそれを皆さんにもっと大きな感動でお返しすることだと思うので、自分としては身を引き締めています」

「こういう環境を与えられた幸せな人たちだと思うので、それを噛みしめながらしっかりやりたいです。そして支えてくださった人たちに感謝を伝えたいですね」

 その土屋代表の思いは、今回の公式テストではボンネットに大きく綴られている。

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