「命奪う決定」＝住民ら、地裁決定に怒り―福井

　関西電力美浜、高浜両原発（いずれも福井県）の運転差し止めを認めなかった２９日の福井地裁決定について、仮処分を申し立てた住民らは「命を奪う決定」「結論ありきだ」などと怒りをあらわにした。

　午後１時すぎ、福井地裁前に重い足取りで現れた弁護士らが「不当決定」と書かれた紙を掲げると、待っていた支援者からは時折ため息が漏れた。

　福井市内で開かれた記者会見で、美浜原発の申立人、宮下正一さん（７５）＝同県坂井市＝は「能登半島地震では逃げることも家にいることもできない人がいた。子どもや孫の命を奪うとんでもない決定だ」と憤った。高浜原発の申立人、中嶌哲演さん（８２）＝同県小浜市＝は「（東京電力）福島第１原発のような地震と津波が襲ってきたらどうするんだ」と疑問を呈した。

　会見にリモート参加した住民側の河合弘之弁護士は「結論ありきの決定で、聞く耳を持たず、こちらの主張に答えていない」と批判。井戸謙一弁護士も「提起した問題に正面から取り組んでいない。強引な理屈で主張が退けられた」と同調した。