「制服高い」「時代と逆行」でも「気楽でいい」との声も…「制服と私服」のメリット・デメリット

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2024年04月01日 22:10  All About

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制服は「気楽でいい」という声もあれば、入学準備品を買いそろえる時期になると、「高すぎる」と販売価格を気にする声もある。また、校則にのっとり、決められた服を着て過ごす学校生活は、多様性の時代に逆行していないかとの声も……
年初に採寸・注文した制服一式が手元に届き、納品書の金額にあらためて溜息をもらす家庭も少なくないだろう。

公正取引委員会による実態調査によれば、公立中学校・高校が指定する制服のうち、特に中学校女子の「セーラー服」の価格差が大きく、最安値は1万2000円、最高値は7万2000円。価格差は6万円にもなるという。

東京都内では公立中学の私服化が進む地域があり、都立高校では「標準服」をもうけてはいるものの私服可の学校も多い。高校は私服もいいが、では中学はどうなのか……という考え方もある。

制服だってお金がかかる

「私はかつて都立高校に通っていたので、私服だったんですよね。高校生だし、あの時代はおしゃれより機能性を重視していた。もちろんおしゃれな子もいましたが、みんなそれぞれ自分の好きな服を着て個性豊かだったなと思います」

ヨシミさん(46歳)はそう言う。この春、長女が公立高校に、次女が公立中学に入学した。ふたりとも制服を購入、長女のは6万近くになり、次女のセーラー服も6万円台。賃金が上がらない今の社会で、「家計直撃、痛いなんてものではありません」と顔をしかめた。

「長女の友人には、制服がかわいい私立高校に行きたくて受験した子もいるそうです。私の感覚からいえば、制服なんてないほうがいいと思うんですけどね。初期費用が高いし、そもそもセーラー服なんて着脱が大変で機能的ではないし、手を上げると脇腹が見えたりする。現代にはそぐわないと思う」

制服あるところ校則あり

制服がなく、私服で通える高校に行きたいなら選ぶことも可能かもしれないが、特に公立中学の場合は選択肢がない。しかも寒くてもコートを着てはいけないとか、セーターを着用するなとか、制服のありようをめぐる現実的とはいえない校則も耳にする。制服あるところ校則ありなのだ。

「何着たっていいじゃないかと思うんですけどね。多様性といいながら、『みんな同じ制服でないと平等性がない』なんて、矛盾していますよ」

ヨシミさんは制服を着たくなかったために、私服可の都立高を受験した。当時はそういう友人が多かったそうだ。そんな彼女も中学時代はブレザーの制服を着るしかなかった。

「バレー部で朝練があったので、制服で登校して運動着に着替えたらそのままずっと過ごしていました。当時はそれほど学校もうるさくなかった。どうせ授業が終わったら、また部活するので着替えるだけ無駄ですしね」

私服だと華美になるとか、周りと自分を比べてしまうとか、いろいろな意見はある。

子どものころから「好きなように自分で選ぶ」習慣を

何をもってして、そして誰が私服を「華美」だと判断するのかはさておき、一般的な大人なら、中学生が着る服のイメージはつくはず。

「たとえブランド物の服を着ている子がいたとしても、それはその家の考え方だから、やたら露出が多いとかではない限り構わないと思うんです。

うちはそんなに子どもの洋服にお金をかけられないという家のほうが多いと思うから、たとえ子どもが羨ましがったとしても『うちは無理。あなたはまだ成長するんだし、服にそこまでお金をかける必要はない』とビシッと言える親でありたいですね、私は。子どもにもそういうことを考えてほしいし」

ヨシミさんはそう言いつつも、「今時だとむずかしいのかもしれませんけどね、着ている服を巡って子どもの間でいじめみたいなものが起こる可能性もあるから」ともつけ加えた。ただ、彼女が言うように本当の意味での多様性や子どものセンスを磨くには、小さなころから「自分で服を選ぶ」ことに始まり、あらゆることを自分で選択していく癖をつけるのは大事なのではないだろうか。

制服のほうが「気が楽」との声も

「うちの子たちは制服のほうが着るものを考えなくてすむし、みんなと同じだから気が楽だと言うんです。アパレル関係に勤めている私から見ると、考えちゃいますね。高校まで制服で、それこそお仕着せ状態の時代が長くなるのは果たしていいことなのかどうか。みんなと同じだから安心するという考え方がいいのかどうか……」

ヨシミさんより7歳年上の夫は、さらに娘たちのありようを心配しており、「制服以外のことはすべて本人に決めさせたほうがいい」と何度もヨシミさんに言ったという。

「たかが制服かもしれませんが、夫と私は、お仕着せをよしとすることで、彼女たちの人生が『上から言われたら何でも素直に従う』ことにつながるのではないかと不安を覚えるんですよね。

長女は私服可の公立に行くことも可能だったのに、推薦が一番早かった学校にさっさと決めてしまった。それも受験をしないほうが楽だからという理由。大げさかもしれないけど、今どきの娘たちの将来が大丈夫なのかなと夫とも話しています」

自分で選び、自分で決定する。人生はその繰り返しなので、ヨシミさんとしては「たかが制服、されど制服」なのだろう。今後、日本の学校の制服は、どういう方向に進んでいくのだろうか。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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