35歳になった“ガテン系モデル”の現在地「芸能活動が厳しい時期もダンプの仕事に救われた」

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2024年04月02日 09:20  日刊SPA!

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モデルやタレント活動のほか、現役でダンプ運転手の仕事もこなす古澤未来さん(35)
 土砂や残土を積載し、工事現場に運ぶダンプ運転手。豪快な力仕事に見えるが、最近では大型ダンプを乗りこなす女性ドライバーも増えてきている。
 そんななか、“ガテン系モデル”として「バチェラー・ジャパン」シーズン3への出演や、TikTokなどのSNSで活躍するのが古澤未来さん(35歳)。

 モデルやタレントの仕事の傍らで、今も現役でダンプ運転手を続けているというから驚きだ。そんな独自の路線を貫いてきた理由や、ダンプ運転手の楽しさや苦労、今後の展望について話を聞いた。

◆ダンプ運転手の親元で育った幼少期「自販機でコンポタを飲むのが好きだった」

「私の祖父が会社を立ち上げ、父親が2代目を継いでいるんですが、本当に物心がついたときからダンプに乗せられていたのを覚えています。小学校に進学するまでは夜勤にもついていき、ダンプの中で寝て過ごしていました。休憩時に立ち寄る自販機でコーンポタージュを買って飲むのが好きで、今でも思い出に残っていますね」(古澤さん、以下同)

 また、古澤さんが保育園に通っていたときは、母親がダンプで迎えにきていたそうだ。

「同級生からは『かっこいいね』と言われていましたが、私としては普通の子の生活に憧れていた部分はあります。周囲は“コワモテのおじさん”が多く、身近にお酒やタバコ、ギャンブル関連の物などが置いてあるのが普通だったんですよ(笑)」

 遊び盛りの学生時代には“やんちゃ”な一面もあったとか。

「親に隠れて夜中に抜け出して遊びに行って、家に帰らなかったりしていたんですが、ちょっとした“悪さ”もすぐに見抜かれて。そこから父親と喧嘩して、中学2年から高校3年までの間は全く口をきかないときもあったんですよ」

 学業面ではテストで赤点を取ることが続き、留年を経験。高校へは6年間通ったという。

 アルバイトも、コンビニやスーパーでのレジ打ち、工場での仕分け作業を経験したが、どれも全然続かずに挫折してしまった。

 そんななかで唯一続いた仕事がダンプ運転手だった。

「中型免許を取得して、ダンプカーで残土を運んでいたんですが、マイペースで仕事できるというか。単純作業ですが、いちばん自分にとって向いているなと感じて、実家の会社で働かせてもらっていました」

◆モデル時代の“しくじり”から学んだ仕事のありがたみ

 古澤さんに転機が訪れたのは17歳のときだった。芸能事務所からスカウトされ、美容室のカットモデルや雑誌の読者モデルとしてデビューしたのだ。

 だが、まだ当時は仕事へのひたむきな姿勢が足りず、“しくじり”を経験したと古澤さんは話す。

「当時は世間知らずだったこともあって、モデルの仕事を依頼されても、気が乗らないときは“ばっくれ”していたんです。それを繰り返していたら、次第に声が掛からなくなって。

 そのときに初めて、仕事のありがたみがわかったというか。オファーがあることの大切さ、真面目に仕事へ取り組むことの重要性にあらためて気づきました」

 以来、ギャル系雑誌『JELLY』や『nuts』での読モ活動や、写真週刊誌『FLASH』での水着グラビアなど、芸能活動の幅を広げていく。

◆芸能活動が厳しい時期も「ダンプの仕事」に救われた

 22歳で高校卒業後、“ガテン系モデル”として注目を集め、「踊る!さんま御殿!!」や「ヒルナンデス!」、「スクール革命!」(以上 日本テレビ系)、「ダウンタウンDX」(読売テレビ系)といった地上波のテレビ番組にも多数出演した。

 しかし、ひと通りのマスメディア露出が落ち着くと、特に一芸に秀でたものがなければ、継続的に出演オファーをもらうのは難しくなる。

 古澤さんも、いっとき芸能の仕事が増えた時期もあったが、熱が冷めた後は、仕事が一気に減ってしまったと吐露する。

 芸能活動の厳しさに直面したなかで、救いになったのは10代から続けてきた「ダンプの仕事」だった。

「22歳で高校を卒業し、大型免許を取得したことで、ダンプ運転手の仕事の幅が広がりました。この仕事の最大の利点は『仕事量を調整できる』こと。芸能の仕事は急に入ることもよくあるので、うまくスケジュールの融通を利かせられたのは大きかったですね。

 家族経営の会社だったからこそ、いきなり休みを申し出ても許されたというか。逆に芸能の仕事が減っても、そのぶん実家の仕事を頑張ればいいので、そういう意味では今でも家族には本当に感謝しています」

◆ダンプ運転手は“天職”

 古澤さんにとって、華やかな芸能の仕事は「陽」、ダンプ運転手の仕事は「陰」。

 どちらの仕事もなくてはならないもので、同時にふたつの人生を歩んでいる感覚だという。

「もちろん、ダンプ運転手の仕事で辛いこともあります。起床は朝3時半。長時間の運転による腰の疲労。夜遅くまでのクラブ遊びや飲み会に参加できないなど、仕事の都合でどうしても大変に思う場面も、全くないわけではありません。それでも、私にとってダンプ運転手は“天職”だと思っています」

◆初めての青春を経験できたバチェラー出演

 2019年には「バチェラー・ジャパン」シーズン3に出演。

 恋愛リアリティ番組で「本気の恋」 と向き合った古澤さんにとって、ある種“初めての青春”だったと語る。

「ダンプカーで登場するシーンを見て、女性のファンが増えたのはすごく嬉しかったですね。ただ、自分は田舎娘だったので、周囲の参加者が身にまとうブランドも見分けがつかなかったんですよ(笑)。

 やはりガテン系の仕事は男性が多く、限られた世界にずっといたからこそ、バチェラーならではの雰囲気に戸惑う部分もあり、苦戦してしまったなと思っています」

 そして、コロナ禍では新たにTikTok(@mikufurusawa)を開設。

 ダンプ運転手としての素顔を投稿し、今ではフォロワー約29万人を誇るガテン系女子TikTokクリエイターまで成長した。

「会社の求人募集をするために始めたTikTokが、思いのほかバズったんですよ。ダンプ運転手の採用にも成功し、微力ながら会社に貢献できて良かった。うちの会社は平均年齢が60歳くらいで、ずっと同じ従業員の方が働いているので、もっと若い人に入ってきてもらいたいなと思っています」

◆“ガテン系女子”として作業着のプロデュースをしてみたい

 今後の展望についてはダンプ運転手を続けつつ、「作業着のプロデュース」と「恋愛リアリティ番組への再出演」を目標に掲げる。

「ガテン系の仕事に興味を持つ女性も増えて、私のSNSにも『子持ちやシングルマザーでもできますか?』という相談をもらいますね。ダンプ運転手は力仕事ではなく、残土や土砂を作業現場まで運ぶシンプルな内容なので、コツコツやるのが好きなタイプには向いていると思います。

 また、朝は早いですが、帰宅も早いので子持ちのママでも働ける。これからも、自分の活動を通して、ダンプ運転手の魅力を伝えていきたいですね」

<取材・文/古田島大介、撮影/藤井厚年>

【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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