花王が回収したCO2を活用した植物工場「スマートガーデン」を構築 栽培した植物からエキス抽出まで

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2024年04月02日 18:21  Fashionsnap.com

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スマートガーデンを活用したローマカミツレ

Image by: 花王
 花王のマテリアルサイエンス研究所が、佐賀市が有する清掃工場から排出されるCO2を回収・精製できる設備を利用し、独自の植物工場「スマートガーデン(SMART GARDEN)」を構築した。スマートガーデンでは、使用電力や水使用量において環境負荷を低減しつつ、植物を効率よく栽培することが可能。さらに、栽培した植物からエキスの抽出まで一気通貫で行い、高純度・高効能な植物エキスを得ることができる成分制御技術を開発した。

 今回の研究成果は3月に行われた、化学工学会第89年会および日本農芸化学会2024年度大会で発表した。
 開発背景に、昨今の美容や健康を意識した製品に用いられる素材は、天然由来かつ高機能であることに加え、環境への配慮が求められているが、植物の栽培方法によっては大量の水を使用することによる水資源の枯渇などが懸念されるケースもあることを挙げた。そこで花王は、3つの循環による持続可能性をコンセプトに、新たに植物工場スマートガーデンを構築し、ローマカミツレとローズマリーを栽培する。
 循環の1つは、CO2の循環利用。佐賀市の清掃工場から出るCO2を、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)により回収・精製し再利用する。このCO2を植物に与えることで、生長速度が約20%向上することを確認した。2つ目は水耕栽培による水の循環利用だ。今回の栽培では水を繰り返し循環利用することで、露地での栽培品と比較して、水使用量は約40%に収まる。3つ目として、再生可能エネルギーを利用。使用する電力をすべて、地熱、水力発電といった再生可能エネルギーにすることで、CO2の排出を削減する。
 また温度や照度などの栽培条件を常時モニタリング、高度管理することで、水耕栽培での実績が少ないローマカミツレやローズマリーの量産に成功。さらにそれぞれの活性成分である「アピゲニン」と「ロズマリン酸」の量を高め、一定の基準以上になるタイミングで収穫するスキームも確立した。加えて高純度・高効能な植物エキスを叶える植物加工技術を開発。結果、スマートガーデンで栽培した植物を加工し、高純度化ローマカミツレエキスと高純度化ローズマリーエキスを抽出。これらのエキスは、着色の低減や菌の増殖抑制、糖化反応の抑制や肌バリアの改善効果を有することが確認できた。
 今後、スマートガーデンで栽培・加工するエキスを、花王グループの美容と健康をめざした製品などへの応用を検討していくとともに、将来的には海外を中心に原料として販売していく予定だ。 


■花王:公式サイト

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