日米、拡大抑止を強化＝安保「切れ目ない統合」表明―日朝協議、大統領が支持・首脳会談

　【ワシントン時事】岸田文雄首相は１０日（日本時間同）、米ワシントンのホワイトハウスでバイデン大統領と約１時間半会談し、共同声明を発表した。米国が「核の傘」を含む戦力で同盟国を守る拡大抑止を強化することで一致。威圧的行動を強める中国などを念頭に、安全保障分野で「切れ目のない統合」を目指す方針を打ち出した。

　共同声明は日米を「グローバル・パートナー」と規定。インド太平洋地域にとどまらず世界的な課題に一体で取り組む立場を表明した。

　会談後の共同記者会見で、大統領は今回の合意事項について「日米同盟発足以来、最も重要な進展だ」と強調。首相は「日本は常に米国と共にある」と語った。

　拡大抑止に関しては、「核を含むあらゆる能力を用いた日本防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント」を共同声明に明記。５月中にも開かれる見通しの外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会（２プラス２）で「突っ込んだ議論」を行うことを申し合わせた。

　東・南シナ海での中国による一方的な現状変更の試みを名指しで批判。沖縄県・尖閣諸島も対日防衛義務を定めた日米安保条約５条の適用下にあることを改めて示した。同時に、中国と意思疎通を重ねる重要性を指摘した。

　両首脳は、自衛隊と米軍それぞれの指揮統制の在り方を見直し、「作戦および能力のシームレスな（切れ目のない）統合」を図ることで合意した。陸海空３自衛隊を束ねる「統合作戦司令部」が今年度中に発足するのに合わせ、在日米軍の司令部機能を拡充する。

　防衛装備品の共同生産体制強化に関する「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議」（ＤＩＣＡＳ）の新設を確認。米英豪の枠組み「ＡＵＫＵＳ（オーカス）」と日本が先端軍事技術開発で協力していく方向性も共同声明に盛り込んだ。

　北朝鮮問題についても意見交換した。首相は拉致問題を解決するため日朝首脳会談の早期実現を目指して自身直轄のハイレベル協議を進める考えを説明。大統領はこれを支持する意向を伝えた。