炭酸飲料やジュースばかり飲む子ども叱るべき?心配な親に伝えたい2つの科学的事実

1

2024年04月12日 09:40  女子SPA!

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

女子SPA!

写真
 もやもやを解消するために。

 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

 先日あるママから相談を受けました。それは、「子どもが炭酸飲料や甘いジュースばかり飲むようになって心配です。このまま飲ませて大丈夫なのでしょうか?」という内容。これ、誰もが一度は心配になるテーマではないでしょうか?

◆炭酸飲料・甘いジュースについて“最低限知っておくべき事実”とは?

 心配の背景には、“炭酸飲料や甘いジュースはなんとなく悪そう”という漠然としたイメージが漂っているからかもしれません。裏返せば、どんなにすごい専門家でも、付き合い方の正解を明確に答えることは難しいとも言えます。

 そこで私は、日々食育を研究する立場として、多くの人々が抱いているかもしれないこのモヤモヤ感を少しでも解消できたらと考えました。

 まず、これまでにわかっている事実をお伝えするなら、2点。WHO(世界保健機関)や厚労省などの専門機関や公的機関が発信する情報において、炭酸飲料や甘いジュースは(多くの食品と同様に)肯定的に推奨されてはいないこと。そしていくつかの“注意喚起”が提示されているということです。

 今回これらの内容について深堀りするつもりはありませんが、最低限チェックしておくべき内容を冷静に整理しながら、もし子どもが飲みたがった場合の対応について考えていくことにしましょう。

◆2023年7月、WHOがアスパルテームに発がん性の可能性示す

 知っておくべき事実の一つ目は、人工甘味料「アスパルテーム」についてです。2023年に大きく報道されたので、記憶に残っている人もいるかもしれません。

 2023年7月14日、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は、低カロリーの炭酸飲料や清涼飲料水、食品などに広く使われている人工甘味料「アスパルテーム」について、“発がん性がある可能性がある”との見解を示しました。

 アスパルテームは、IARCの4分類において下から2番目の「2B」に分類。これはガソリンを使用したエンジンの排ガスや鉛などと同じレベルにあたります。

 一般的に使用されている量では安全性に大きな懸念はないとしているものの、潜在的な影響が報告されており、より多くの優れた研究によって調査する必要があると説明しました。

 このニュースをどう捉えるかは人それぞれですが、自分や子どもが飲んでいる飲料にアスパルテームが含まれているかどうかを確認する機会としても損はないでしょう。

 炭酸飲料やジュース以外にも、チェック対象を飲むヨーグルトなどに広げてみると、理解が深まるでしょう。

※参照:内閣府 食品安全委員会 アスパルテームに関するQ&A

◆「ペットボトル症候群」に要注意

 二つめは、多飲のリスクについてです。厚労省のサイトを見ていくと、糖類を含む嗜好飲料の多飲が肥満をきたす恐れがあるとして、注意喚起が行われています。

 さらに言及しているのは、「ペットボトル症候群」のリスクについて。汗をかいたときや疲労時に飲みたくなる炭酸飲料や清涼飲料は、多飲によって高血糖状態を招き、「ペットボトル症候群」という急性の糖尿病を引き起こすリスクがあります。

 症状は、のどが渇く、だるい、疲れやすい、イライラする、吐き気がするなどで、重度の場合は意識もうろう・昏睡などの症状を呈すことも。特に学童期の子どもは清涼感のある甘みを好むため、注意が必要です。

※参照:厚生労働省e-ヘルスネット「嗜好飲料(アルコール飲料を除く)」

◆子どもが炭酸飲料・ジュースを飲みたがったらどうするべき?

 これらの背景をふまえて、自分の子どもに炭酸飲料や甘いジュースを飲ませるか否かを、今一度考えてみるのはいかがでしょうか。

 この行為は、自分が不安にならないスタンスを確認することにもつながります。炭酸飲料や清涼飲料水に関連する論文を探してみたり、憧れるスポーツ選手が炭酸飲料や清涼飲料水飲んでいるか調べてみても良いかもしれません。

 これらは一般人でもある程度調べやすい環境になりつつありますし、医師や専門家に直接相談するのも有効でしょう。

 最後に私自身のエピソードをお伝えすれば、もともと炭酸飲料や甘いジュースを好まない子どもだったため、成人するまで飲んだことがほとんどありませんでした。我が家の小学2年生の息子も同様で、現段階では好んで飲むようなことがありません。

 今後もし飲みたがったとしたらむやみにりつけたり禁止するつもりはありません。まずは冷静に子どもの様子をしっかり観察する姿勢に徹しようと決めています。

 それら飲むことで食事の栄養バランスや食習慣が乱れていないか? 体重増加や健康状態、日々の言動に問題はないか? このようなことを冷静にチェックしていく姿勢を親が持っておくことで、むやみな不安や心配事を解消できるのではないでしょうか?

<文/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定